金が高値を記録したのは、もう20年以上も昔の話だ。1オンス850ドルの頂点は1980年、そして1999年には、253ドルに低迷していた。こんなありさまだから、金は投資対象から外れ、長いこと話題にもならなかった。そして2005年、金が爆発した。12月500ドルを突破、翌月1月550ドル、4月600ドル、5月はピークの715ドル、現在600ドルに戻している。
激しい金の上昇が合図になり、金鉱株も人気を取り戻した。金鉱株といえば、米国投資者が真っ先に思いつくのが、ニューヨーク証券取引所に上場されているニューモント・マイニング(NEM)だ。バロンズ紙の報道によれば、コロラド州デンバーに本拠地を置くニューモント・マイニングは、単に優れた経営陣を有するだけでなく、過去4年間で膨大な鉱脈を発見している。
鉱脈を掘り当てる最高の方法は、実際に存在する金鉱の隣接地を調査するのが良い、と言われている。ニューモント・マイニングの保有する金鉱の3割以上はネバダ州、そして6割は海外の先進国にあり、その総面積は3240万エーカーだから、ほぼイギリスに匹敵する。
金の値段が上がると、金鉱株も上昇する。ここ5年間の動きを見てみると、金は122%の上げ、ニューモント・マイニングはそれを上回る186%の上昇だ。同期間、S&P500指数は、たったの+7%だった。更に強調したいのは、2001年から2004年半ばまでの値動きだ。この間、金は+45%、ニューモント・マイニングは+135%の伸びを展開し、最高経営責任者ウェイン・マーディー氏の手腕が称賛される結果となった。
今年の様子だが、金は14%増、しかしニューモント・マイニングはマイナス2%だ。「最近のニューモント・マイニングの値動きは、決して将来を予測しているわけではありません」、と経済コラムニストのロンダ・ブラマー氏は言う。説明を聞いてみよう。
「以前のような強さが見られないニューモント・マイニングですが、これは投資者にとって買いチャンスです。もちろん、金自体がベアマーケットに陥ってしまえば別ですが、今年ニューモント・マイニングには大きな収益の伸びが期待できます。三つの低コスト金鉱からの生産が本格的に始まり、現在53ドルほどの株価は75ドルから80ドルあたりを狙えると思います。
金は大豆やトウモロコシなどの商品とは違います。個人投資者だけでなく、機関投資家も含めて、インフレ対策として金は買われます。それに、不安定な株式市場や為替市場も金買いの原因となります。ニューモント・マイニング社長ピエール・ラソンデ氏は、18カ月以内に金が過去の最高値850ドルに挑戦することを予測しています。」
いつも金の上昇率を超えてきたニューモント・マイニング、今回も同様なことが繰り返されるのだろうか?RBCキャピタルのスティーブン・ワーカー氏は76ドル、そしてシティグループのアナリストは75ドルをニューモントの目標株価に設定している。