暑い、とにかく今年の夏は異常に暑い。クーラーは飛ぶように売れ、さきほどニュースでは最後の一台を争う客の姿を報道していた。「全米が猛暑に襲われています。オフィスや家庭で、いっせいにクーラーを使いますから、間違いなくエネルギー消費量が大きく増えます。また、この熱波は農作物や家畜に被害を与える可能性があります」、と商品市場アナリストの、ジム・ワイコフ氏は言う。
ファースト・エナキャスト社のベン・スミス氏によれば、約85%の確率で、気温が上がると天然ガスの値段も上がる。「特に最近数年間の様子を見ると、天然ガスが発電用に使われる量が増大していますから、極端に暑い日が続くと、天然ガス市場は直接影響を受けます」、とスミス氏は付け加える。
アメリカで使われる20%の電気は、天然ガスによって生産されている。マネー・アンド・マーケッツ・ドット・コムの、ショーン・ブロドリック氏はこんなことを言う。「皆が同時にクーラーのスイッチを入れますから、送電網にかかる負担は膨大なものです。現に、ニューヨークやカリフォルニアでは、あちこちで停電が発生しています。」
米国の酷暑を喜んでいるのは、天然ガス投機者たちだ。7月初旬、天然ガスは5ドル47セントを記録し、2年ぶりの安値をつけた。しかし、異常な暑さが買い材料になって、先週木曜、値段は7ドル25セントまで急ピッチに回復した。ここが天井だろうか?「8月もこの暑さが続くことが、既に予報されています」、とベン・スミス氏は言う。
DTN社のアナリスト、ダリン・ニューソム氏は、「むこう30日から45日間で、天然ガスは8ドル50セント付近まで上がる可能性があります」、と述べている。
天然ガスの次に注目されるのがトウモロコシだ。インフォーマ・エコノミクスが発表した先週のレポートによれば、異常な熱波で、トウモロコシの質が四週間連続で下がっている。トウモロコシの質は、パーセンテージを使って、毎週農務省から報告されるが、一月前は高品質の71%、先々週は62%、そして先週は59%だ。
まだトウモロコシの減産は予想されていないが、DTNのニューソム氏はこんな見方をしている。「8月11日まで、農務省はトウモロコシの生産量予想を発表しません。しかし、異常な暑さによる被害を無視することはできません。トウモロコシは、数週間前に既にラリーを展開しましたが、中西部に降った雨で値段が下がりました。このように、トウモロコシ市場は天候に非常に敏感です。最悪の事態は既に去ったかもしれませんが、この暑さが続く限り、トウモロコシは以前の高値レベルに戻ることが考えられます。」
更に、あまりの暑さで家畜の食欲が減り、体重の減少も報道されている。現在、ライブキャトル(生牛)の先物は88セントで取引されているが、ニューソム氏は92セントから95セントを予測している。
(上記は、ダウジョーンズ社からの報道を要約したものです。)