ベテラントレーダー、ラリー・ウィリアムズ氏が少し変わったことを言った。もう引退してしまったが、プロバスケットボール界の問題児として有名だった、デニス・ロッドマンという選手がいた。腕はイレズミだらけ、それにイヤリングの数も、一つや二つではなかった。マイケル・ジョーダンというスーパースターもチームにいたが、とにかくロッドマンは目立った。
「トレーダーとして成功したければ、ロッドマンのようになりなさい」、とウィリアムズ氏は言うのだ。もちろん、腕にイレズミを入れて、髪の毛を派手に染め、それぞれの耳に複数のイヤリングをつけることを推奨しているわけではない。(異端トレーダーのイメージ作りには役立つかもしれない。)しかし、ロッドマンから私たちは学ぶべきことがあるようだ。ウィリアムズ氏の話を聞いてみよう。
「本やセミナーを通して、多くのトレーダーに効果的な売買手法を紹介してきました。さまざまな質問のメールや、セミナー受講生の方々から直接話を聞いて分かったのですが、単に手法を学ぶだけではトレーダーとして成功できないようです。いったい何が欠けているのでしょうか?
ロッドマンは、ショーマン的要素も多分に持っていましたが、間違いなくバスケットボール・プレーヤーとしてもスターと呼べる選手でした。なぜでしょうか?有名な話ですが、まだロッドマンが大学にいたとき、コーチはこんなことを忠告したそうです。「攻撃を考える必要は全く無い。お前は守り(ディフェンス)だけに徹しろ。」正にこの言葉が、一流ディフェンス・プレーヤーとしてのロッドマンを築き上げたのです。
これも引退した選手ですが、ボー・ジャクソンという、プロ野球とプロフットボールの両方をプレーしたスポーツマンがいました。しかし、彼はロッドマンのようにスターになることはできませんでした。二つのプロチームに属するという華やかな生活でしたが、いったいジャクソン選手にとって、どちらのスポーツが専門だったのでしょう?ロッドマン選手のように、一つのことだけに集中(フォーカス)した方が良かったのではないでしょうか?
これも古い話ですが、私が1万ドルの資金を110万ドルに増やしたときを振り返ってみると、私はロッドマン選手のように一つのことだけ、ようするにトレードだけに集中(フォーカス)していました。釣り、ゴルフ、野球観戦、旅行、そんなことは一切しませんでした。四六時中、トレードのことばかり考えていました。たしかに、家庭生活をおろそかにしてしまいましたが、結果的には大きな利益を手に入れることができたのです。」
ここで一つ思い出した。相場師として活躍した、近藤信男氏はこんなことを語ったそうだ。「俺は相場師だ。相場に生き、相場に死ぬ。相場以外のことに手を出すのは、すべて邪道だ。」