DRホートン、Pulteホームズ、レンナー、KBホームズ、Tollブラザーズ、といえば主な住宅建築銘柄だが、去年の夏から30%から50%の大幅下落だ。AGエドワーズのアナリストは、こんなメモを顧客に送った。「住宅市場のソフトランディングシナリオは、もはや無効です。」米国住宅市場は、暴落の運命にあるのだろうか?
ビジネスウィーク誌の報道によれば、6月13日、ハーバード大学は米国不動産に関する楽観的なレポートを発表した。さっそく要点を見てみよう。
楽観的といっても、上昇する不動産ローンの金利とエネルギー価格が悪影響になり、ハーバード大学の研究員たちも、住宅市場の冷えこみを予測している。しかし、健全な雇用状況や移民による人口の増加は、更に住宅需要を伸ばす結果になるから、あるていど住宅市場の冷えこみを抑えることができる。
研究員の一人、レイチェル・ドゥルー氏はこう語っている。「パニックする必要は全くありません。たしかにアメリカの住宅市場は下向きになりますが、急激な後退を招くことなくソフトランディングになるはずです。住宅価格の大暴落を予想するアナリストもいますが、それは極論です。たとえバブルが弾けても、空気はゆっくりとしたペースで抜けていきますから、暴落はありえません。
1980年代のテキサス、そして1990年代にカリフォルニアで大きな住宅価格の下落がありましたが、これは住宅マーケットが熱くなり過ぎて起きたわけではありません。一番の原因は、急ピッチな住宅建築です。新築住宅数が極端に増え、市場の需給関係が完全に崩れてしまいました。また、80年代にはオイル産業の不振でテキサスは失業問題が深刻になり、同様に90年代のカリフォルニアも、軍事産業の低迷で多くの失業者が出ました。」
楽観的なハーバードの見方に同意する人でも、住宅市場は冷え込むわけだから、ここで積極的に不動産投資をすることはありえない。しかし、「待った!」の声が聞こえてくる。「不動産悲観論が主流の今日ですが、まだ良いチャンスが残っています」、とロバート・キヨサキ氏(「金持ち父さん、貧乏父さん」の著者)は言う。少し話を聞いてみよう。
「誰でも不動産で儲けられる時代が終わりました。これからは、プロだけが生き残れるマーケットです。ブルマーケットでは、物件の値段が面白いように上がりましたから、売り手は簡単に予想以上の利益を得ることができました。現在の状況では、前のように素早く物件が売れませんから、売り手に焦りが見え始めています。買い手は、物件の正当評価額などを詳しく調べることで、かなり有利な条件で住宅を購入できることでしょう。とにかく今は、慎重に情報を集めて、じっくりと売り手と交渉する、プロの態度が必要です。」
ハーバード大学のレポートは、2005年までの資料をもとに作成された。だから、今年に入ってからの住宅市場冷えこみは含まれていない。レイチェル・ドゥルー氏は、2006年度第1四半期の住宅価格下落は、予想以上に大きかったと言う。しかし、氏のソフトランディングのシナリオは変わらない。