ビジネスニュースほど愉快なものはない、とリバティー・トレーディング・グループのジェームズ・コルディエ氏は言う。「数カ月前になりますが、マスコミは不動産バブルを毎日のように報道していました。4月下旬、株式市場が天井を形成している時は、あとどこまでマーケットは上がるだろうか、といった予想番組が主流でした。しかし、金利不安が再度強くなり、株が大きく下げ始めると、今度は打って変わって大暴落が近い、と騒いでいます。」
最近不調なのは、株だけではない。商品市場も大幅な下げを展開している。さっそくテレビでは、世界経済が下向きになり、商品市場は本格的な長いベアマーケットに入る、と派手な報道だ。ニュースが当てにならない、と決めつけているわけではないが、コルディエ氏はこんなことを指摘している。
「最初に言っておきたいのは、ほとんどの場合、ジャーナリストたちによる、マーケットレポートに問題はありません。注意しないといけないのは、報道されるアナリストたちの意見です。同様なアナリストの見方が何度も報道されると、それがマーケットのテーマになってしまう傾向があります。
例えば今日のマーケットですが、今月も金利引き上げが予想され、テレビでは繰り返しアナリストの弱気論が放映されています。上げが急だっただけに、商品市場も下げていますから、これも株と同様に、弱気なアナリストばかり登場します。こんなニュースが中心ですから、見ている投資者も嫌でも弱気になってしまいます。これは誰でも知っていることですが、大衆と同じ行動をして儲かることはありません。今は売りではなく、短期的な買い場を探すべきではないでしょうか?
一般的な考え方は、上げ基調で買い、下げ基調での売りです。現在、株は下げ方向ですから、一般的な考え方を実行すると、持ち株を処分して一休み、または積極的な人は空売り、ということになります。この方法は、あまりにも短絡的です。下げ基調での空売りは悪くないですが、それよりもコールオプションを空売った方が効果的です。
もしマーケットが下がると思うなら、S&P500指数のコールオプションを空売るのです。株の空売りは下がった時のみ儲かりますが、コールオプションの空売りは、下げの時だけ儲かるのではなく、横ばいでも利益を上げることができます。たとえ思惑が外れて、マーケットが上昇しても、急激な上げでないかぎり、コールオプションの空売りでは儲けを出すことが可能です。」
証券会社によっては、個人投資者にコールオプションの空売りをさせてくれない。また、させてくれる会社でも、口座資金を多めに要求するところが目立つ。どちらにしても有効な投資方法だから、考慮する価値は十分にある。