事の始まりは、月曜の連銀議長バーナンキ発言だった。米国経済は減速が始まっているが、インフレも悪化しているというスタグフレーション論だ。今まではソフトランディングか、それともハードランディングかが議論されていたが、これで第三の見方が出てしまった。
「スタグフレーションには同意できません」、とジム・クレーマー氏(ザ・ストリート・ドット・コム)は言う。「現在マーケットでは、銀行株が買われています。ということは、ソフトランディングのシナリオです。スタグフレーションで上がるのは金だけですが、5月に730ドルの高値を記録した金は、今日630ドルまで下落しています。」
バーナンキ氏の見解が正しいかどうかは別として、頻繁に発表される連銀からの意見に、投資者たちは困惑している。「いい加減にしてほしいです!もう連銀関係者の意見は聞きたくありません」、と憤慨するのは投資戦略家のエド・ヤーデニ氏だ。開放的に情報を流す連銀の態度は良いのだが、問題は情報が矛盾している。
たとえば月曜のバーナンキ発言では、現行のインフレ率は非常に懸念すべきレベルに達していることが強調され、マーケット関係者は6月の金利引き上げは間違いない、と判断した。しかし先日の議会証言で、たとえインフレの危険があっても連銀は金利引き上げを一時停止する意向がある、とバーナンキ氏は述べている。こんな態度の変わりようだから、月曜ダウ指数は200ポイント近い大幅下落になった。
悲観的なムードに包まれるマーケットだが、もちろん全てがダメなわけではない。代替エネルギー、もっと具体的に言えばエタノール銘柄が強い。経済コラムニスト、ロバート・ウォルバーグ氏の話を聞いてみよう。
「原油が70ドル以上の今日、代替エネルギーが注目されています。特に人気を集めているのがエタノール銘柄です。今年に入ってから、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)は68%、そしてパシフィック・エタノール(PEIX)は137%の上昇です。エタノール銘柄に乗り遅れたからといって、まだ諦めることはありません。なぜなら、三つのエタノール銘柄のIPO(新規公開株)が控えているのです。
最も前評判の良いベラサンの初取引は、6月12日の週に予定されています。1730万株が発行され、公募価格は18ドルから20ドルが予想されています。初値は、公募価格を大幅に上回るかもしれませんが、ベラサンはアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドに次ぐ、全米で第2位のエタノール生産会社です。新規株発行で得た資金は設備投資に使われ、2008年までに生産量を現在の年間2億3000万ガロンから、5億6000万ガロンに増やすことが計画されています。」
アベンタイン・リニューアブル・エネルギーとホークアイ・ホールディングズが残り二つのエタノール新規公開株だが、これらはベラサンほど魅力が無い、とウォルバーグ氏は言う。アベンタインは775万株が発行されるが、そのうちの140万株はインサイダーの持ち株だ。ほぼ全てのホークアイ経営陣は、ハートランド・ポーク(食品セクター)出身で、エタノール業界の経験が浅いようだ。