今日の米国株式市場は、ソフトランディング派とハードランディング派の戦いだ、と「マッド・マネー」(株番組)でジム・クレーマー氏は強調した。はたしてアメリカ経済は、ハードランディング派の言うように不景気に落ち込むのだろうか、それともソフトランディング派の唱える、急激な景気後退を招くことのない安定成長だろうか?
高騰する商品市場が、大きなインフレ懸念になっていたが、ここ数週間で商品市場は大幅な下落となった。そのため、6月に金利引き上げは無いとの見方が高まり、ソフトランディングの支持者が増え始めた。もちろん、また商品市場の上昇がスタートすれば、ハードランディング派が優勢になるわけだ。
どちらにしても、事実は5月の下げで多くの投資者が被害を受けた。ダウ指数は1.7%の下げ、S&P500指数はマイナス3.1%、そしてナスダック指数は何と6.2%の下落だ。「ブルマーケット終焉のサインが見え始めています」、と言うのは投資アドバイザーのヒュー・ジョンソン氏だ。ハードランディング派を代表するような意見だが、氏は100%の確率でベアマーケットが訪れることを予測しているわけではない。もっと話を聞いてみよう。
「安定成長か、それとも不景気かを議論するのではなく、今は投資ポートフォリオを守ることが先決です。やや反発を見せている株式市場ですが、これは持ち株の一部を処分する良い機会です。もちろん、私は全ての人に売りを薦めているのではありません。もし、資金の7割以上が、まだ株に割り当てられているなら、6割程度まで下げる必要があります。
投資するセクターも気をつけて選ぶことが大切です。不安定なマーケット状態ですから、資金は食品、飲料、そして薬などの生活必需品にしぼることが肝心です。大型企業だけを選ぶことも重要です。きびしい経済状況では、小型企業の下げが大きくなりますから、大型優良企業だけを投資対象にしてください。」
ゴールドマン・サックスのロバート・ホーマッツ氏は、こんな見方をしている。「木がどんなに大きく成長しても、空に届くことはありません。しかし、木はアメリカよりも外国の方が大きく伸びる傾向があります。目先のことにこだわるのではなく、長期的に展望するなら、資金の25%は外国株に割り当てるべきです。特に、アメリカには大きな貿易赤字がありますから、外国株の投資は重要です。」
さて、クレーマー氏だが、ハードランディングとソフトランディングの両方に備えて、次の銘柄を薦めている。
ハードランディング用銘柄
Verizon(VZ)、Pepsi(PEP)、Altria(MO)、Kimberly Clark(KMB)、GlaxoSmithKline(GSK)
ソフトランディング用銘柄
Catapillar(CAT)、ConocoPhillips(COP)、Chesapeake Energy(CHK)、Nabors(NBR)、Jos. A Banks(JOSB)。