「サムライ株」、と題してジム・クレーマー氏は、米国投資者に日本株を人気番組の中で推薦した。さっそく見てみよう。
1、三菱UFJフィナンシャル・グループ
なぜこの銘柄を買いたいのか?それは現在の日本が、1991年のアメリカに似ているからだ。その時アメリカは、ようやく不動産恐慌から抜け出そうとしていた。多くの銀行は倒産し、主要大手銀行だけが生き残った。しかし、不動産市場の底打ちは銀行株買いのシグナルとなり、特にシティバンクが魅力的だった。ようするに三菱UFJは、1991年のシティバンクと同様というわけだ。短期的に見た場合、日本の金利情勢が悪材料になる可能性がある、とクレーマー氏は言う。
2、キリンビール
アメリカのビール会社は買えないが、キリンビールは別だ、とクレーマー氏は強調する。キリンの、大豆をベースにしたビールには麦芽税がかからないから収益にはプラス材料だ。このビールは2005年の4月にデビューし、8月には売上が三倍に上昇した。アサヒビールも大豆をベースにしたビールを販売しているが、キリンのような勢いは無い。一つクレーマー氏は警告する。日本政府は、麦芽税を大豆ベースのビールにも適用する可能性があるから注意が必要だ。
3、クボタ
円安で恩恵を受けるのがクボタだ。円が下がれば、アメリカに入って来る日本製品の値段が下がる。ほとんどのアナリストたちは、まだ完全に円安メリットがクボタに与える影響を把握していない、とクレーマー氏は指摘する。だから、遅かれ早かれ、アナリストたちは収益上方修正の発表をすることになる、というわけだ。
大々的なリストラが成功したクボタだが、次のような問題点をクレーマー氏はあげている。
・キャタピラーという強敵がいるため、アメリカの中型トラクター市場に食い込むのは難しそう。
・円が高くなってしまうとクボタに悪影響だから、極端に円高に動く時は要注意だ。
4、松下電器産業
大画面プラズマテレビが人気だ。コーニング(GLW)も悪くないが、松下の方がより優れた投資対象になる、とクレーマー氏は断言する。2010年までには、松下が40%のプラズマテレビ市場を獲得することになりそうだから、間違いなく松下が世界一だ。最近の株式市場は、テクノロジー銘柄が敬遠されているから、短期的に松下は冴えない動きになりそうだ。
以上4銘柄の他に、クレーマー氏はホンダとトヨタ自動車も薦めている。ガソリン高が社会的な問題になっているにもかかわらず、相変わらずゼネラルモーターズとフォードは、燃費の悪い小型トラックの販売に力を入れている。しかし、トヨタとホンダはハイブリッド車や低燃費車に力を入れているから、高いガソリン問題を乗り越えることができるだろう。
三菱UFJフィナンシャル・グループ、クボタ、松下電器産業、とお馴染みな銘柄ばかりだが、これらの銘柄には一つの共通点がある。どれも米国株式市場に上場されているから、アメリカ人が簡単に買うことができるわけだ。