Tuesday May 23, 2006

US Market Recap

アナリストも大衆の一人

バブルが弾けた2000年、いったい何パーセントの株に売り推奨が出されたのだろうか?正解は、たったの5%だ。投資者の資金を守るために、とうぜん売りが薦められるべきだったが、事実は割高なインターネット銘柄が推され続けた。50%の下落など良い方で、シエナやCMGIのように、99%の価値を失う株も続出した。

それから5年、「現状は今日もあまり変わりがありません」、とリッチ・スミス氏(フール・ドット・コム)は言う。話を聞いてみよう。

「インターネットバブルが弾けた後、新しいトレンドが生まれました。アナリストたちが、売り推奨を出すようになったのです。そこで、少し調べてみました。2000年から2004年までに、売りが推薦された株は、年平均で19%の伸びがありました。買いとホールドの格付けが発表された銘柄は、年平均で7%の上昇です。

アナリストは馬鹿ではありません。皆すばらしい学歴があります。問題は、彼らの意見が投資者に大した利益をもたらさないことです。覚えておいて欲しいことがあります。格上げ、格下げ、買い推奨などを発表するのは、セル・サイド( 証券会社)のアナリストです。証券会社は手数料収入を上げなくてはいけません。売り推奨を連発したのでは、大衆が恐れてマーケットに参入してきません。これでは、証券会社の収入が落ちてしまいます。ですから必然的に、アナリストは買い推奨が圧倒的に多くなります。

買い推奨が多いのは、手数料だけが目当てではありません。例を挙げましょう。設定は5年前です。あなたがアナリストなら、人気株サン・マイクロシステムズと、水道の蛇口メーカー、アメリカン・スタンダードのどちらに買い推奨を出すでしょうか?結果的には、地味な蛇口メーカーは3倍以上になり、人気株のサンはバブル崩壊で大暴落になりました。しかし5年前、アメリカン・スタンダードを推薦するアナリストはいませんでした。

なぜアナリストは蛇口メーカーの買い推奨を出せなかったのでしょうか?現在、アップル・コンピュータには17の買い推奨、8のホールド推奨が出ていますが、売りを薦めるアナリストは一人もいません。アップルが悪い決算を発表して、株価が急落したとしましょう。アナリストは慌てるでしょうか?もちろん、動揺するアナリストなど一人もいないことでしょう。皆が皆、買いとホールド推奨ですから、アップルに騙された、の一言で終わりです。

皆と足並みを揃えていれば安心です。当たればヒーローですが、20人のアナリストが買いを出している時、自分だけ売りを推薦することは勇気が要ります。外れたら、たぶん上司にこう言われるでしょう。「なぜ売りを薦めたのだ?皆が買っているのに、どうしてそんな馬鹿な事を言ったのだ?」

アナリストも大衆の一人です。牛は群れの中で行動する限り安全です。しかし、群れから離れた牛はオオカミの餌になってしまいます。投資で成功するためには、大衆の一部になってはいけません。カウボーイのように、少し離れた場所から、牛の大群を観察するべきです。買いのチャンスは、アナリストの売り推奨です。パニック売りが殺到し、株価は正当評価額以下に下がることでしょう。」

(出張のため、12日から23日までは有名トレーダーの談話やインタビューの一部をお届けします。)

本マガジンは客観的情報の提供を目的としており、投資等の勧誘または推奨を目的としたものではありません。各種情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負いかねます。

発行:株式会社ブレイクスキャン 監修:株式会社デイトレードネット