成長株を見つける方法の一つとして、ウィリアム・オニール氏は、収益が少なくとも毎年15%から50%の伸びがある企業を選ぶことを薦めている。しかし、INGインベストメント・マネージメントの、フェルナンド・ガーザ氏はこんなことを言う。「2003年からの動きを見ると、収益内容の悪い株が大きく上げています。第1四半期だけでも、収益内容が悪い企業の株は、内容の良い企業の株より17%以上も伸びています。」
もはや株式投資に、収益や一株利益を考慮する必要は無いのだろうか?「収益内容の悪い会社を、怪しげな企業と呼ぶことにしましょう。もちろん、怪しげな銘柄の上昇が、いつまで続くかは誰にも分かりません。しかし、長期的な投資には、収益の質を無視することはできません」、と語るのはジョン・ワゴナー氏(経済コラムニスト)だ。
「収益の質」、「収益内容が良い」とはどういう意味だろうか。ワゴナー氏の話を続けよう。「1993年にさかのぼりますが、ボストン・チキンという株が新規公開されました。覚えている方もいるかもしれませんが、取引が開始された初日、株価は倍になってしまったのです。その後ボストン・チキンはどうなったでしょうか?1998年、ボストン・チキンは連邦破産法第7章の適用を申請しました。ようするに破綻です。言うまでもありませんが、株券は単なる紙になってしまったわけです。
収益内容が分かっていれば、ボストン・チキンに投資することはありえませんでした。しかし、収益の質を簡単に説明することは楽なことではありません。なぜなら、それを理解するためには、バランスシートを細かく調べる必要があるからです。しかし、少なくともこの点に注意してください。売上が下がっているにもかかわらず、逆に一株利益が上がっているなら、それは大きな警告シグナルです。
スタンダード・アンド・プアーズ社(S&P)は、一株利益と配当金の一貫性を調べることで、収益内容の質を検討しています。例えば、S&PによってAプラス、A、そしてAマイナスの評価を受けた企業は、平均で15.7の株価収益率(PER)があります。Bプラス、B、Bマイナスと評価された企業のPERは平均で18.1です。Bマイナスだけを見るとPERは極めて高い28です。
PERは単に株価が割高か、それとも割安かを示すものではなく、収益の質を反映しています。ですから、S&PからAプラス、A、そしてAマイナスの評価を受けた株に投資対象を限定することが大切です。1990年からの成績ですが、Aプラス、A、そしてAマイナスに代表される収益の質の良い株は+453%、収益の質が悪い株は+44%です。」