グローバル化の時代、と言われるようになってから、もうかなりの年数が経つ。毎日、人、物、金、情報などが国境を越えて、急速に移動している。そんな時代なのに、米国投資家たちは、外国株をアップル・コンピュータのように簡単に買うことができない。もちろん、外国株専門のミューチュアルファンドに投資すれば良いことかもしれないが、外国の個別銘柄を売買するのは楽でない。
外国株の成績が素晴らしい。最近12カ月間の米国市場(S&P500指数)は+14%だが、こんな数字がある。
コロンビア+138%、ロシア+128%、アルゼンチン+138%、ブラジル+62%、インド+90%、トルコ+74%、韓国+51%、ノルウェー+58%、オーストリア+56%、フィンランド+54%、日本+59%、カナダ+33%。
こんな状態だから、アメリカ人の目は、どうしても海外に向いてしまう。今のところ、米国証券市場に上場されている、限られた数の外国株への投資、そして上記したように、外国株専門ミューチュアルファンドに頼る米国投資家だが、この状況が変わろうとしている。2006年の暮れまでに、Eトレードは外国証券市場に直結した、オンライン・トレードを計画している。まだ細かい内容は公表されていないが、これで個人投資家が直接外国市場へ参加できるわけだ。
多くの米国証券会社は、海外市場へのアクセスに関して、Eトレードのように積極的になれない。その最も大きな理由は外国為替だ。「アメリカの個人投資家たちは、ドルをベースにした投資が中心ですから、先ず外国為替に関する情報を十分に整える必要があります」、とEトレードのジャレット・リリエン氏(社長)は言う。
為替市場の動向は、外国株専門ミューチュアルファンドに大きな影響を与えるから、ファンドには為替のスペシャリストがいる。しかし、不慣れな個人投資家には、為替が難題になる可能性が高い。リリエン氏は、こう付け加える。「ヨーロッパのクリスマス休暇は長いですから、株式市場が休みの間に為替の影響で、株が下がっていなくても口座の価値が減るような事態も起きることでしょう。」
ただでさえ難しい株なのに、外国株投資には為替相場もからんでくる。そんな危険までおかして、オンラインで直接海外の証券取引所で、株を買う意味があるのだろうか?問題は為替だけでない。国々によって、独自の証券取引法があるから、トラブルが起きた時が面倒だ。
だが、米国個人投資家たちはこんなことを言う。「韓国のサムスンは、ロンドンに上場されていますが、アメリカには上場されていません。サムスンは、ここ一年間で60%も上げています。直接海外市場にアクセスできなければ、このような成長株を逃してしまいます。」