資産家が財産を失う大きな原因は何だろうか?株や先物市場の暴落だろうか?それとも失業や倒産だろうか?経済コラムニストのマシュー・リン氏によれば、正解は離婚だ。「イギリスでは、宝くじの賞金並みの金額が、離婚条件として法廷で言い渡されるケースが増えています。ですから離婚後は、単に快適な暮らしではなく、億万長者の生活ができるのです。」リン氏の話を続けよう。
「ニュー・スター・アセット・マネージメントで、ファンドマネージャーを務めるアラン・ミラー氏は、裁判所から離婚条件として、妻に500万ポンド(約10億円)を支払うことが命ぜられました。3年にも満たない結婚生活でしたが、これでミラー氏は、向こう20年間、毎年25万ポンドを払わなければいけないのです。
WPPグループの最高経営責任者、マーチン・ソーレル氏も、3000万ポンドという膨大な金額を払っています。裁判所は、どの程度の支払いを夫に命じるのでしょうか?ロンドンの離婚専門弁護士、バーバラ・シンプソン氏によると、夫は少なくとも50%の財産を失うことになるようです。」
険悪な仲になってしまった妻と夫だから、たとえ半分でも財産は手放したくない。そこで夫はどうするか?リン氏の話に戻ろう。「3000万ポンドの支払いを命ぜられたソーレル氏は、お金以外にも妻のために、高級百貨店ハロッズの地下駐車場を手配することも離婚条件に加えられています。とにかく離婚は高くつきますから、グラント・ソーントン社の調べによると、16%の夫は外国の銀口座を設けて、妻から財産を隠そうとしています。しかし、ほとんどの場合、妻は夫の外国銀行口座の存在に気がついています。
財産は公平に分けられなければいけません。離婚の結果、妻の生活水準が極端に下がるようなこともあってはいけません。特に子どもがいる家庭なら、離婚は慎重に進めるべきです。
それでは、ソーレル氏が妻に3000万ポンドも支払う理由は、本当にあるのでしょうか?たしかに、ロンドンは生活費がかかります。しかし、数百万ポンドあれば、妻は十分に暮らしていくことができます。資産家の夫に対する巨額な判決は、極めて懲罰的で、完全に夫が犯罪人扱いされているとしか言いようがありません。」
離婚専門弁護士の、シンプソン氏はこう付け加える。「昔なら、妻は夫との関係を修復することに努力しました。しかし、今日、資産家の夫を持つ妻たちは迷うことなく離婚を選びます。夫の財産が2000万ポンドなら、妻には1000万ポンドの金が手に入ります。これだけの金が銀行口座にあれば、独身女性として優雅がライフスタイルを楽しめます。」