先週最も目立ったのは、火曜日に展開されたダウ指数195ポイントの上げだ。3月27、28日に開かれたFOMC(連邦公開市場委員会)の議事録が公表され、マーケット関係者は、金利引き上げ政策がほぼ終わりに近いことを確信した。
議事録によれば、労働賃金の上昇は穏やかであり、好況が続いていた住宅市場には減速の兆しが見える。エネルギー価格が高騰しているが、それは全体的な物価高に結びついていない。現時点において、たしかに米国経済には強い成長力があるが、これ以上の金利引き上げは経済に悪影響になる可能性がある。
連銀が、更なる金利引き上げを躊躇しているのだから、マーケットには買い手が殺到した。アナリストたちも、5月10日の連邦公開市場委員会が、最後の金利引き上げになるという見方に一致した。これで、今年の米国株式市場の上げは約束されたのだろうか?
「金利の上昇はこれからも続きます」、と言うのは経済コラムニストのジム・ジューバック氏だ。アナリストの見方は間違っているのだろうか?さっそく説明してもらおう。
「連銀がコントロールできる金利は短期金利だけです。長期金利をコントロールすることはできません。それでは、いったい誰が長期金利を決めるのでしょうか?正解は、米国債を大量に保有する日本、中国、それにサウジアラビアです。外国人の手によって、5年債、10年債の長期金利(利回り)が決定されるわけですが、現況を考慮すると、利回りは更に上昇するはずです。」
ジューバック氏は、国債利回りが上げ続ける理由を3つあげている。
1、2006年、米国経済の成長スピードは、外国の経済成長速度に劣ることが予想される。過去15年間、米国経済成長率は、常に日本を上回っていたが、今年は逆転することになりそうだ。バーンスタイン・リサーチによると、今年の米国経済は2.9%の伸び、そして外国経済は平均で3.4%の成長が予測されている。外国人投資家は、成長率が高い国へ資金を送るから、アメリカからは資金が流出しそうだ。
2、ヨーロッパ、日本での国債利回りが上昇し始めている。これは、米国債の利回りを押し上げる原因になる。4月18日、7年ぶりに日本の10年債は2%に復帰した。そして、欧州中央銀行は、6月に短期金利を現行の2.5%から2.75%に引き上げることになるだろう。
3、減速する米国経済はドル安に結びつく。ドルが下がると、ドルをベースにした投資リスクが高まるから、米国株や米国債が売られる結果になる。だから、海外からの資金を集めるには、どうしても高い利回りが必要だ。バーンスタイン・リサーチは、2006年、ドルは円とユーロに対して5%から7%の下落を予想している。
短期金利の引き上げは、来月で本当に終わるかもしれない。しかし、ジューバック氏が指摘する3点を考えると、火曜日の195ポイントラリーは行き過ぎだ。現に3月、日本は200億ドルに相当する米国債と株を売った、とジューバック氏は言う。単なる懸念だけでなく、外国人は米国から資金を移動させているようだ。