ボーイズ・オブ・サマー、いよいよプロ野球シーズンが始まった。ひいきチームが勝っても負けても、実際に球場でゲームを観戦するのは楽しい。大画面テレビで見る野球も悪くないが、やはりそれでは現場の雰囲気を肌で感じることができない。ということは分かっているのだが、またチケット代が上がった。選手に高い年俸を払いすぎるからだ、と思うかもしれないが、CNNのクリス・イシドー氏はこんなことを語っている。
「今日、大リーグの平均年俸は290万ドル(約3億4200万円)ですが、ここ5年間で25%上昇しています。。球場のチケット代も5年間で、ほぼ選手の年俸と同率の上げですから、一見両者には相関関係があるように思われます。一つ付け加えますが、5年間で25%上昇した年俸は、米国インフレ率の2倍に相当します。
選手の年俸が、本当にチケット価格を決定しているのでしょうか?一般のビジネスを考えてみましょう。フォードやGMが、社員の給料を3%上げたからといって、車の値段を直ぐ3%引き上げるでしょうか?給料が5%減れば、ユナイテッド航空はチケット料金を5%値下げするでしょうか?答えは「ノー」です。航空チケット代や、車の値段を決めるのは社員の給料ではなく需給関係です。
野球のチケット代が上がったのは、ようするに、チケット需要が増えたからです。去年もチケット代は上がったわけですが、観戦者数は史上最高を記録しました。毎年発行できるチケット数は限られていますが、この供給量に関する面白い実例を紹介しましょう。
オークランド・アスレチックスは、球場の最上階スタンド席を今年完全に閉鎖しました。このため、今年発行されるチケット数は20%以上の減少です。アスレチックス関係者は、最上階席を削ることで、ファンがもっと近づいて座ることになるから、ゲームを観戦するムードが良くなると言いますが、球団側が期待しているのは、チケット売上の上昇です。最上階席が無くなり、供給量が減ったわけですから、これで前売り券販売が伸びます。今年オークランドは、チケット料金を25%引き上げています。
席の数を減らしたのは、オークランドが最初ではありません。前例があります。2004年、シカゴ・ホワイトソックスは最上階席の一部6600を閉鎖して、観戦者数上昇に成功しています。
もうひとつ、チケット代が上がっている理由は、新球場の建設です。ここ14年間で、26球団中14球団が新しい球場を造っています。問題は、新球場の席数は古いものより21%少ないのです。単に席数が少ないだけでなく、外野席を大幅に減らして、チケット代の高い内野席が増えています。ですから、平均チケット価格が上がっても当然です。」
1990年代から始まった新球場建築ブームだが、2009年、ニューヨーク・ヤンキースの新スタジアムが完成する。観客席数は、現在の球場より10%少なくなるそうだ。