4月だ。新しい四半期が始まった。過ぎ去った第1四半期を振り返ってみると、S&P500指数は+3.8%を記録し、これは1999年以来の好成績だ。ダウ指数は+3.6%、そしてハイテク銘柄の多いナスダックは6%の上昇となった。
多くのアナリストやエコノミストは、今年後半の米国株式市場に悲観的な意見を発表している。しかし短期的には、まだ買い手が優勢になるようだ。「第1四半期は、なかなか良い結果だったと思います。もちろん、第1四半期の上げを見ただけで、今年全体が上昇マーケットになると単純に結論するのは間違いです。2006年度全体を考慮すると、S&P500指数は、一桁台の成長になると思われます。一桁と言っても1から9までありますが、かなり低い一桁台になることでしょう」、とチーフ・インベストメント・オフィサーのラム・コルーリ氏は言う。
短期的に上昇マーケットが続く理由を、ライフタイム・ファイナンシャル・サービスのポール・レビーン氏はこう説明している。「執拗な金利引き上げが続いていますが、連銀は同時にマネーサプライ(通貨供給量)も増やしています。また、下降が始まった住宅市場も株に好条件になります。不動産投資家たちは、物件を売って得た現金を株式市場へ移動させることを考えています。また、季節的な要因もあります。月の初めや、四半期が開始する第1週めには401K(確定拠出型年金)の資金が大量に株式市場へ流入します。」
ストック・トレーダーズ・アルマナック社の統計によると、ダウ指数にとって4月はラッキーな月だ。1950年以来、平均すると、ダウ指数は4月に1.8%の上昇を記録している。逆にナスダックとS&P500指数は、あまりパッとしないようだから、買いは大型ブルーチップ銘柄に絞った方が良さそうだ。
注目の雇用統計が、今週金曜に発表される。アナリストの意見を総合すれば、熱過ぎず冷た過ぎずの結果になりそうだから、インフレ懸念が一時的にマーケットから消えるかもしれない。
今月の中旬から、いよいよ決算シーズンが始まる。かなり強い収益が報告されるようだから、これもマーケットに好材料になる可能性がある。トーマス・ファイナンシャルは、第1四半期の収益が、去年の同時期を11.3%上回ることを予想している。これが実現すると、11四半期連続の二桁上昇になる。
「企業収益はプラス材料です。問題は10年物国債です。上昇が続く利回りに衰えは見えず、5%に差し迫っています。これは、いつ金利引き上げ政策が終了するかが分からなくなってしまったためです。金利引き上げサイクルが、完全に終了しない限り、企業収益ニュースだけでは買い材料になりません」、とコルーリ氏は語る。
レビーン氏も、こう付け加えている。「また上昇が始まったオイル価格が、株式市場に水を注す可能性があります。先週、金市場が大きく上げましたが、これは投資者たちの強いインフレ懸念の表れです。」
一般的なアナリストの意見を記しておこう。「次のFOMC(連邦公開市場委員会)は5月ですから、まだ先の話です。それまでに、決算だけでなく様々な経済指数が発表されます。マーケットの上げ基調は崩れないと思いますが、かなり荒れることが予想されます。」