そんな大金を何のために使うのだろうか?木曜、巨大サーチエンジン会社グーグルは、500万株に及ぶ自社株売りを発表した。既に80億ドルの現金を保有するグーグルだから、この自社株売りが完了すると、現金総額は100億ドルに膨れ上がる。
「たぶん、グーグルは企業買収のために、巨額な資金が必要なのだ。」「そうじゃない、金利が上昇しているから、単に利子稼ぎをしたいだけだ。」とにかく、掲示板、チャットルームでは議論が盛んだ。
なぜグーグルは、自社株売りに踏み切ったのだろうか?パシフィック・クレスト証券のスティーブ・ワインスタイン氏は、こう語っている。「私は、グーグルからの説明で納得しています。他の人気銘柄に比べると、グーグルの浮動株数は少ないのです。ですから、今回の自社株売りは投資者への配慮です。」
4月3日(月)から、グーグルはS&P500指数の一銘柄として取引が開始される。多くのファンドマネージャーは、S&P500指数を構成する銘柄を中心に投資するから、これからグーグルの需要はいっそう高くなる。またプログラムトレードも、S&P500指数の銘柄が狙われるから、グーグルの値動きは更に荒っぽくなることだろう。
ようするにグーグルは、月曜までにS&P500指数仲間入りの準備を済ませたかったようだ。「今回の自社株売りは現金目当てではありません。グーグルにとって、20億ドルなどいつでも簡単に出せる金です」、とワインスタイン氏は言う。
グーグルがS&P500指数に組み入れられることは、3月23日の取引終了後発表された。翌24日、ある興味深い出来事が起きた。スタイフェル・ニコラスのアナリスト、スコット・デビット氏がグーグルの格付けを、「ホールド」から「買い」に引き上げたのだ。だからどうした?と思われるかもしれないが、デビット氏は大のグーグル嫌いで有名だ。何故ここでグーグルを買う気になったのだろう?少し説明を聞いてみよう。
「収益0でスタートしたグーグルは、たった7年で収益60億ドルの企業に成長しました。同様な結果を達成するために、マイクロソフトは10年の年月が必要でしたから、これは超急成長と言うしかありません。サーチエンジン業界でグーグルは60%の市場を握り、第2位のヤフーは25%ですから、グーグルは圧倒的な強さです。
資金も豊富ですから、グーグルはトップクラスの人材を確保することができます。それにライバル会社からも、優秀な人材がグーグルに流入しています。これからも、次々と画期的なアイディアが発表され、単なるサーチエンジン会社ではなく、グーグルは世界的な情報ネットワーク企業に変身して行くことでしょう。」
もう一つ、デビット氏は、こんなことを指摘している。ほとんどの企業は四半期の収益見通しを発表するのだが、グーグルは一切そういった発表をしない。一株利益や売上予想をしなければならないアナリストにとって、正にグーグルはやりにくい企業だ。プロにも難しいのだから、一般投資家にとって、グーグルは不親切な会社、と言うこともできる。どちらにしても、月曜からグーグルは米国を代表する、S&P500指数の一員だ。