April 2006 のトップ・ストーリー一覧

地下ビジネス

背骨や膝の骨、それに皮膚などが盗まれたとして、1万6800以上の遺族が葬儀会社を訴えている。そんな物を盗んでどうするのか、と思われるかもしれないが、人体の部分は高い値段で売れる。連邦法は、人体の部分を売買することを禁じているが、死体取り扱い料金を請求することは許可されている。

例えば、死体を整えて医学部に解剖実習用として調達すると、最低でも5000ドル(約57万円)の死体取り扱い料金を受け取ることができる。しかし、死体不足の現状だから、料金が1万ドル以上になることも頻繁にあるようだ。人体部分の一般的な料金は、脳が600ドル(6万8000円)、そして肘と手がそれぞれ850ドル(9万7000円)だ。

死体を医学部などに提供する場合は、必ず遺族からの許可を得なければならない。しかし、上記したように、脳600ドル(6万8400円)、手850ドル(9万7000円)、そして肘850ドルの料金を請求できるのだから、人体売買という不法地下ビジネスを生んでしまった。

最近の事件では、ニューヨークの歯科医、マイケル・マストロマリノを中心とするグループが、葬儀会社と共謀して人体の部分を盗んでいた。一旦、盗まれた手や骨はバイオメディカル・ティッシュ・サービシズ(生物医学会社)に送られ、合法的に医学部へ調達する準備が整えられた。実際の数字はまだつかめていないが、少なくとも1000以上の死体から、人体部分が盗まれたようだ。

遺族が、亡くなった家族の体から、膝や肘の骨が盗まれていることに気がつくことは先ず無い。葬式では棺が開けられ、弔問者が故人の顔を見ることができても、膝が失われていることまでは確認できない。また、火葬されてしまうとDNAテストが不可能になってしまうから、灰となった骨が本当に亡くなった家族のものかも分からなくなってしまう。

合法的に死体が、無事に医学部や病院に運ばれたからといっても、それで安心することはできない。なぜなら、そこでも人体部分の盗難が起きているからだ。推定によると、毎年1万から1万2000の死体が医学部に提供されている。問題は規制機関が無いから、大学側は死体がどこから調達され、どんな目的に使われるかなどの情報を、どこにも報告する必要がない。

テキサス大学の医学部で起きた事件は、死体安置所に勤務する職員、アレン・タイラーによる犯行だった。人体がエイズにおかされているため、移植には不向きといったでたらめな書類を作成し、人体部分を盗んでいたようだ。FBIの捜査官によれば、タイラーは医師たちに盗んだ人体部分を売り、約20万ドル(2300万円)の金を手に入れていた。どちらにしても、口のきけない死人から盗むのだから、全く何と言っていいのか分からない。

業績が目覚しく伸びているなら、最高経営責任者の高額年俸やボーナスは納得できる。しかし、最近の傾向を見ると、経営者の手腕は年俸を決定する要素になっていない。こんな皮肉を言う人たちがいる。「高給を得るために、優れた業績を上げる必要はありません。最高経営者に求められているのは、鼓動する心臓を持っていることです。」

どの最高経営責任者が、並外れた正当評価額以上の年俸を手に入れているのだろうか?経済コラムニスト、マイケル・ブラッシュ氏はこう語っている。「毎日出社してくるだけで、多くの最高経営責任者は多額な収入を得ています。調査会社のポール・ホッジソン氏は、先日発表したレポートの中で、不法に高い年俸を受け取る、5人の最高経営責任者を暴いています。」

ホッジソン氏の言う「年俸」には、サラリー、ボーナス、ストックオプション、それに数々の特典(社有機、専用ドライバーなど)が含まれている。年俸の正当性を判断する手段として、ホッジソン氏は2001年から2005年までの株価成長を使っている。この期間、S&P500指数は+1%の低迷だったが、挙げられている5人の最高経営責任者の株は、同セクター企業の株と比較すると成績が一様に悪い。ブラッシュ氏の話に戻ろう。

「ファイザー社(製薬会社)の株価は、最高経営責任者、ヘンリー・マッキンネル氏の年俸とは正反対の動きです。この5年間で、株は35%の下落ですが、マッキンネル氏は7800万ドル(約89億円)の収入がありました。AFLーCIO(米労働総同盟産業別組合)のブランドン・リース氏は、株が下がっただけでなく、こんな馬鹿げた金額を最高経営責任者に払っているのだから、株主はハンマーで2度殴られたようなもの、と憤慨しています。」

株主からの非難に対して、ファイザー側はこう回答している。「製薬会社の業績を正確に評価するには、5年間という期間はあまりにも短すぎる。新薬品の開発、マーケティングにはかなりの時間を要するから、長期的な観点で会社成績を判断する必要がある。たしかに最近の株価は低迷しているが、1993年以来、ファイザー株は年間平均で13.3%の伸びがある。しかし同期間、S&P500指数は+10.6%だから、ファイザー株はマーケット以上の成績を上げている。」

残りの4人も記しておこう。メルク(製薬会社)のレイモンド・ギルマーチン氏(去年5月辞任)、AT&T(電話会社)のエドワード・ウィタカー氏、ベルサウス(電話会社)のF.デュアン・アッカーマン氏、そしてセイフウェイ(スーパーマーケット)のスティーブン・バード氏だ。

大した手腕の無い最高経営責任者に、なぜ高額な年俸を払い続けるのだろうか?ブラッシュ氏によれば、会社役員と最高経営責任者は、あまりにも親しい関係にありすぎることだ。役員は株主の利益を守らなければいけないのだが、現在役員の頭にあるのは、自分たちの利益を確保することのようだ。

ガソリンスタンドに行くのが嫌になる。先週だけで何と4.7%も跳ね上がり、1ガロンあたりのレギュラー・ガソリン価格は、全米平均で2ドル91セントになった。(1リットルあたり約90円)ロイターの報道によれば、これは史上4番目の高水準だ。

高いガソリンは政治家の直接責任ではないが、中間選挙を秋に控えて、共和党の議員は頭が痛い。そんな議員たちからの圧力に応えるように、ブッシュ大統領はオイル会社による、不当なガソリン価格操作がないかどうかを取り調べることを約束した。

PFCエネルギーのアナリスト、ジョージ・ベラネック氏はこう述べている。「政治的な対策が、実際にガソリンスタンドに反映されるには、かなりの時間がかかります。ですから、ワシントンの政治家たちは、現在のガソリン価格に何の影響も与えることはできないでしょう。」

ケイトー・インスチチュートのアラン・レイノルズ氏は、こんなことを言う。「ガソリンの値段が安定している時や、下がっている時には、誰も何も言いません。しかし、今日のように値段が上がり始めると、オイル会社が暴利をむさぼっている、と皆で非難の声を上げます。」

さて、4人の大統領は、どのように高いガソリン問題に対処しただろうか。さっそく見てみよう。

リチャード・ニクソン大統領(1969ー1974):1973年、アラブ原油禁輸措置で、ガソリン価格が40セント以下から1ドル以上に高騰した。大統領は、価格コントロール、ガソリン配給制度、そして高速道路の最高スピードを55マイル(88キロ)に引き下げた。そして、アラスカ・パイプライン建設を許可した。

ジェラルド・フォード大統領(1974ー1977):ニクソン政権時代の、アラブ原油禁輸措置問題を引き継いだ。基本的に、ニクソン大統領のやり方を継続したが、1975年、エネルギー・ポリシー法案を通過させ、新車の燃費が設定された。

ジミー・カーター大統領(1977ー1981):イスラム革命、イラン・イラク戦争で原油の生産が大幅に減り、オイル価格は1バレル34ドル、そしてガソリンは1ガロン1ドル50セントに急騰した。大統領は、オイル輸入量制限、エネルギー省の設置、そしてオイル会社に対して超過利潤税を課した。

ジョージ・ブッシュ大統領(2001ー現在):イラク、ナイジェリア、そしてメキシコ湾からのオイル生産量が、戦争、政治不安、そしてハリケーンで減産している。また、イランの原子力開発問題が、原油高騰につながっている。そこで大統領は、中東からのオイル輸入を2025年までに75%減らすことを提唱し、代替エネルギー開発として21億ドルの政府資金を割り当てた。

繰り返しになるが、11月には中間選挙がある。いったいガソリン高で、何人の共和党議員が落選するのだろう。どちらにしても、エネルギー銘柄は注目だ。

グローバル化の時代、と言われるようになってから、もうかなりの年数が経つ。毎日、人、物、金、情報などが国境を越えて、急速に移動している。そんな時代なのに、米国投資家たちは、外国株をアップル・コンピュータのように簡単に買うことができない。もちろん、外国株専門のミューチュアルファンドに投資すれば良いことかもしれないが、外国の個別銘柄を売買するのは楽でない。

外国株の成績が素晴らしい。最近12カ月間の米国市場(S&P500指数)は+14%だが、こんな数字がある。
コロンビア+138%、ロシア+128%、アルゼンチン+138%、ブラジル+62%、インド+90%、トルコ+74%、韓国+51%、ノルウェー+58%、オーストリア+56%、フィンランド+54%、日本+59%、カナダ+33%。

こんな状態だから、アメリカ人の目は、どうしても海外に向いてしまう。今のところ、米国証券市場に上場されている、限られた数の外国株への投資、そして上記したように、外国株専門ミューチュアルファンドに頼る米国投資家だが、この状況が変わろうとしている。2006年の暮れまでに、Eトレードは外国証券市場に直結した、オンライン・トレードを計画している。まだ細かい内容は公表されていないが、これで個人投資家が直接外国市場へ参加できるわけだ。

多くの米国証券会社は、海外市場へのアクセスに関して、Eトレードのように積極的になれない。その最も大きな理由は外国為替だ。「アメリカの個人投資家たちは、ドルをベースにした投資が中心ですから、先ず外国為替に関する情報を十分に整える必要があります」、とEトレードのジャレット・リリエン氏(社長)は言う。

為替市場の動向は、外国株専門ミューチュアルファンドに大きな影響を与えるから、ファンドには為替のスペシャリストがいる。しかし、不慣れな個人投資家には、為替が難題になる可能性が高い。リリエン氏は、こう付け加える。「ヨーロッパのクリスマス休暇は長いですから、株式市場が休みの間に為替の影響で、株が下がっていなくても口座の価値が減るような事態も起きることでしょう。」

ただでさえ難しい株なのに、外国株投資には為替相場もからんでくる。そんな危険までおかして、オンラインで直接海外の証券取引所で、株を買う意味があるのだろうか?問題は為替だけでない。国々によって、独自の証券取引法があるから、トラブルが起きた時が面倒だ。

だが、米国個人投資家たちはこんなことを言う。「韓国のサムスンは、ロンドンに上場されていますが、アメリカには上場されていません。サムスンは、ここ一年間で60%も上げています。直接海外市場にアクセスできなければ、このような成長株を逃してしまいます。」

ビジネスマンが怖いのは妻

資産家が財産を失う大きな原因は何だろうか?株や先物市場の暴落だろうか?それとも失業や倒産だろうか?経済コラムニストのマシュー・リン氏によれば、正解は離婚だ。「イギリスでは、宝くじの賞金並みの金額が、離婚条件として法廷で言い渡されるケースが増えています。ですから離婚後は、単に快適な暮らしではなく、億万長者の生活ができるのです。」リン氏の話を続けよう。

「ニュー・スター・アセット・マネージメントで、ファンドマネージャーを務めるアラン・ミラー氏は、裁判所から離婚条件として、妻に500万ポンド(約10億円)を支払うことが命ぜられました。3年にも満たない結婚生活でしたが、これでミラー氏は、向こう20年間、毎年25万ポンドを払わなければいけないのです。

WPPグループの最高経営責任者、マーチン・ソーレル氏も、3000万ポンドという膨大な金額を払っています。裁判所は、どの程度の支払いを夫に命じるのでしょうか?ロンドンの離婚専門弁護士、バーバラ・シンプソン氏によると、夫は少なくとも50%の財産を失うことになるようです。」

険悪な仲になってしまった妻と夫だから、たとえ半分でも財産は手放したくない。そこで夫はどうするか?リン氏の話に戻ろう。「3000万ポンドの支払いを命ぜられたソーレル氏は、お金以外にも妻のために、高級百貨店ハロッズの地下駐車場を手配することも離婚条件に加えられています。とにかく離婚は高くつきますから、グラント・ソーントン社の調べによると、16%の夫は外国の銀口座を設けて、妻から財産を隠そうとしています。しかし、ほとんどの場合、妻は夫の外国銀行口座の存在に気がついています。

財産は公平に分けられなければいけません。離婚の結果、妻の生活水準が極端に下がるようなこともあってはいけません。特に子どもがいる家庭なら、離婚は慎重に進めるべきです。

それでは、ソーレル氏が妻に3000万ポンドも支払う理由は、本当にあるのでしょうか?たしかに、ロンドンは生活費がかかります。しかし、数百万ポンドあれば、妻は十分に暮らしていくことができます。資産家の夫に対する巨額な判決は、極めて懲罰的で、完全に夫が犯罪人扱いされているとしか言いようがありません。」

離婚専門弁護士の、シンプソン氏はこう付け加える。「昔なら、妻は夫との関係を修復することに努力しました。しかし、今日、資産家の夫を持つ妻たちは迷うことなく離婚を選びます。夫の財産が2000万ポンドなら、妻には1000万ポンドの金が手に入ります。これだけの金が銀行口座にあれば、独身女性として優雅がライフスタイルを楽しめます。」

先週最も目立ったのは、火曜日に展開されたダウ指数195ポイントの上げだ。3月27、28日に開かれたFOMC(連邦公開市場委員会)の議事録が公表され、マーケット関係者は、金利引き上げ政策がほぼ終わりに近いことを確信した。

議事録によれば、労働賃金の上昇は穏やかであり、好況が続いていた住宅市場には減速の兆しが見える。エネルギー価格が高騰しているが、それは全体的な物価高に結びついていない。現時点において、たしかに米国経済には強い成長力があるが、これ以上の金利引き上げは経済に悪影響になる可能性がある。

連銀が、更なる金利引き上げを躊躇しているのだから、マーケットには買い手が殺到した。アナリストたちも、5月10日の連邦公開市場委員会が、最後の金利引き上げになるという見方に一致した。これで、今年の米国株式市場の上げは約束されたのだろうか?

「金利の上昇はこれからも続きます」、と言うのは経済コラムニストのジム・ジューバック氏だ。アナリストの見方は間違っているのだろうか?さっそく説明してもらおう。

「連銀がコントロールできる金利は短期金利だけです。長期金利をコントロールすることはできません。それでは、いったい誰が長期金利を決めるのでしょうか?正解は、米国債を大量に保有する日本、中国、それにサウジアラビアです。外国人の手によって、5年債、10年債の長期金利(利回り)が決定されるわけですが、現況を考慮すると、利回りは更に上昇するはずです。」

ジューバック氏は、国債利回りが上げ続ける理由を3つあげている。

1、2006年、米国経済の成長スピードは、外国の経済成長速度に劣ることが予想される。過去15年間、米国経済成長率は、常に日本を上回っていたが、今年は逆転することになりそうだ。バーンスタイン・リサーチによると、今年の米国経済は2.9%の伸び、そして外国経済は平均で3.4%の成長が予測されている。外国人投資家は、成長率が高い国へ資金を送るから、アメリカからは資金が流出しそうだ。

2、ヨーロッパ、日本での国債利回りが上昇し始めている。これは、米国債の利回りを押し上げる原因になる。4月18日、7年ぶりに日本の10年債は2%に復帰した。そして、欧州中央銀行は、6月に短期金利を現行の2.5%から2.75%に引き上げることになるだろう。

3、減速する米国経済はドル安に結びつく。ドルが下がると、ドルをベースにした投資リスクが高まるから、米国株や米国債が売られる結果になる。だから、海外からの資金を集めるには、どうしても高い利回りが必要だ。バーンスタイン・リサーチは、2006年、ドルは円とユーロに対して5%から7%の下落を予想している。

短期金利の引き上げは、来月で本当に終わるかもしれない。しかし、ジューバック氏が指摘する3点を考えると、火曜日の195ポイントラリーは行き過ぎだ。現に3月、日本は200億ドルに相当する米国債と株を売った、とジューバック氏は言う。単なる懸念だけでなく、外国人は米国から資金を移動させているようだ。

コンピュータが、ファンドマネージャーを失業させる時代が来るだろうか?「多くのマーケット関係者は、株式投資で良い成果を出そうと努力していますが、ほとんどの場合、時間と資金を無駄にしているだけです。しかしコンピュータには、私たち人間の持つ弱みが無いだけでなく、人間が犯す間違いを利用することもできるのです」、とマネー誌のインタビューでジョージ・サウター氏(バンガード社、チーフ・インベストメント・オフィサー)は力説する。

マネー誌によれば、サウター氏の意見を支持する、ウォールストリート関係者が確実に増加している。現在チャールズ・シュワブ(大手総合オンライン証券会社)には、9種類のクアント・ファンドと呼ばれるミューチュアルファンドがある。このファンドと、従来のミューチュアルファンドの決定的な違いは、売買判断から実際の売買までが全てコンピュータが行うことだ。まだシュワブのクアントファンドの歴史は浅いが、9種類のうち5つが3年間の実績があり、そのうちの4つは上位25%に入る成績を上げている。

ストラテジック・エクイティ・ファンドは、バンガード社が運用するクアント・ファンドだ。過去3年間の実績を見てみると、年間平均で27%の利益を出している。中型株投資が中心になり、このカテゴリーではトップクラスの成績だ。先月バンガード社は、小型株専門のクアント・ファンドも開始した。こんな他社の成功に刺激され、ジャニス・キャピタル、それにアライアンス・バーンスタインもクアント・ファンド運用に乗り出した。

インターネット株が棒上げ状態だった90年代、投資家たちは利益の少ないミューチュアルファンドに不満の声を上げていた。しかし、そんな熱狂的なマーケットも過ぎ去り、地味なマーケットが展開される今日、クアント・ファンドは平均以上の利益を上げている。ファンド調査会社のリッパーによれば、過去5年間、従来のミューチュアルファンドは年間で平均+4.3%だが、クアント・ファンドは+6.1%だ。

最近5年間だけの記録で判断するのは早すぎるかもしれないが、サウター氏は、「コンピュータは、人間特有の危険を犯すことなく、コンスタントに利益を上げることができます」、と述べている。また、コラール・ゲーブル氏(投資アドバイザー)は、「クアント・ファンドは、機関投資家の間に急激に広まっていくことでしょう」、という見方をしている。

サウター氏の言う、「人間特有の危険」を説明しよう。一般のミューチュアルファンドは、マネーフロー、一株利益、売上などを徹底的に調べてから投資判断をするが、経営陣に直接会って話を聞くことも重要な調査のひとつだ。しかし、クアント・ファンドは経営陣に会うことは無い。必要なのは数字だけだから、ファンドマネージャーのように、経営陣の人柄を気にすることはありえない。

シカゴ大学教授、リチャード・テーラー氏はこんなことを言う。「コンピュータには、今日は行けそうだ、などといった偏見を持つことはありません。まったく感情はありませんから、ダメなものを即座に損切ることができます。」バンガードのサウター氏は、こう付け加えている。「コンピュータに、高いボーナスや年俸を払う必要はありません。クアント・ファンドが主流になれば、ファンド会社の人員は現在の三分の一程度に減ることでしょう。」

「もうひとつ投資成績がパッとしない、といったメールが最近増えています」、とティム・ミドルトン氏は言う。経済コラム、そしてラジオで活躍する氏には、多くの相談や悩みが持ち込まれる。「驚くことですが、いまだにBuy And Holdの、長期投資が正しいと信じている投資者が大勢います。このやり方は、90年代の強烈なブルマーケットで通用した方法です。」

たしかに、株式投資というと長期投資が強調される傾向がある。しかし、ミドルトン氏は投資で成功したいなら、Buy And Holdを、完全にやめるべきだと言う。もっと説明してもらおう。

「買った株を長く持ち続ける、それは20世紀の話です。もし、2000年から去年の終わりまで株を持っていたとすると、年間での利益は4%にも満たない結果です。これでは、満足できるはずがありません。マイケル・キットセス氏(ピナクル・アドバイザリー・グループ)は、投資で好結果をあげる4条件を、ジャーナル・オブ・ファイナンシャル・プランニング誌で発表しています。

1、多くの銘柄に投資するのではなく、銘柄を厳選すること。
2、弱いセクターを避けること。
3、株だけに固執せず、商品市場も選択肢に含めること。
4、売買タイミングを習得すること。

なぜこれら4項目が重要なのでしょうか?1990年代終盤が好例ですが、株式市場に贅肉が付き過ぎると、マーケットは単に平均値へ戻るのではなく、以前の安値をテストする傾向があります。このテストによって起きる下げ相場が、一般に言われるベアマーケットです。ここ三年間、マーケットは上げが続いています。ですから、ここから更なる上昇を期待するのではなく、下げ方向に備えることが重要です。」

ミドルトン氏は、多くの銘柄に投資することを、巨大なミューチュアルファンドにたとえている。あれもこれも、と様々な株を買うのは、正にミューチュアルファンドがしていることだ。一見バランスがとれているように見えるが、マーケットが下げ始めると、つられたように下落してしまう。だから、銘柄を少数にしぼる必要があるわけだ。ミドルトン氏の話に戻ろう。

「悪いマーケット環境だからといって、全てのセクターがダメになることはありません。優れたセクター選びで有名な、ジャック・バワーズ氏は、先日次のような投資内容を発表しました。(注:これはフィデリティのセクターファンドの組み合わせ)

1、Fidelity Select Brokerage & Investment (FSLBX 証券会社を中心に投資) 20%
2、Fidelity Select Energy (FSENX エネルギー関連)17%
3、Fidelity Select Telecommunications (FSTCX テレコミュニケーション、通信関連) 17%
4、Fidelity Select Wireless (FWRLX ワイヤレス関連) 14%
5、Fidelity Select Technology (FSPTX テクノロジー関連) 14%
6、Fidelity Select Biotechnology (FBIOX バイオテクノロジー関連) 13%

インフレ対策も必要です。株だけに固執しないで、資金の一部を金に回すことも考えてください。」

4番目の売買タイミングの習得だが、これに欠かせないのがローソクチャートだ。日足と週足を中心にして、定期的に持ち株の、トレンドチェックを忘れないようにしよう。

「こんなに育児費が高いとは思ってもみませんでした」、とUSAトゥデイのインタビューに答えるのは、マーガレット・シュウォーツさんだ。できれば、週に2、3回、自宅で息子たちの面倒をみたいのだが、現実がそれを許さない。そろそろ4才になる二人の子どもには、保育所も含めて、毎月少なくとも1330ドル(15万6940円)の育児費が要る。

現在アメリカには、1200万人に及ぶ5才以下の子どもたちが、保育園や幼稚園に通っている。ナショナル・アソシエーション・オブ・チャイルドケア・リソースによると、子どもを一人育てるには、年間で3803ドルから13480ドル(44万8754円ー159万640円)の育児費が必要だ。

両親が揃っている家庭なら、育児費が収入を占める割合は、平均で10.6%ほどになり、母子家庭や父子家庭の場合なら、その割合は約30%に跳ね上がる。もちろん、住んでいる場所によって育児費には大きな差がある。例えばニューヨーク州を見てみよう。両親がいる家庭は、収入の11.5%が育児費にあてられ、母子家庭や父子家庭なら、収入のほぼ半分の40.4%だ。

ジョージア州は、比較的育児費が低い。両親の揃った家庭における、育児費が収入を占める比率は6.2%になり、父子家庭や母子家庭の比率は20.3%だ。

カリフォルニア州の幼稚園は異常に高い。ファイト・クライムは、こんな報道をしている。「毎日ではなく、パートタイムで子どもを幼稚園に通わせると、年間平均で4022ドルから5000ドル(47万4596円ー59万円)の費用がかかる。しかし、フルタイムでカリフォルニア州立大学に行くと、年間に必要な授業料は3164ドル(37万3352円)だ。(注:カリフォルニアには二つの州立大学システムがあり、3164ドルは安い方の授業料。)」

高騰する育児費は、中間所得階級にとって頭痛の種だ。マサチューセッツ州に住む、リサ・リベロさん(31才)には、今年1才のサムエル君がいる。マサチューセッツは、ニューヨークと同様に育児費が高いのだが、リベロさんは毎月デイケア・センター(育児所)に2000ドル(23万6000円)を払っている。全く不動産ローンのような金額だから、たとえ夫婦共稼ぎでも経済的な負担が大きい。そんなわけで、リベロさんは夫と相談して、安いデイケアセンターのある地域に引っ越すことにした。

小さな子どもを持つ親にとって、会社側からの協力は嬉しい。例えばサン・マイクロシステムズ社は、積極的に在宅勤務を取り入れている。現に、サンで働くメリー・スマガラディスさんは、こう語っている。「育児所は超過時間に対して、1.5倍の料金を請求してきますから、在宅勤務は本当に助かります。」

携帯電話、コンピュータ、それに高速インターネット、これだけあるのだから、もっと在宅勤務者の数が増えることだろう。

消費者物価指数はウソ!?

アメリカ政府は、インフレに関する情報を正確に公表しているだろうか?そんな質問をするのは、「ザ・キッチンテーブル・インベスター」の著者、ジョン・ワシック氏だ。最近激しく推移する金と国債市場を見ていると、政府は何か重要なことを隠しているのではないだろうか?それがワシック氏の疑問だ。

インフレを測る物差として一般的なのが消費者物価指数(CPI)だが、先ずこの指数をよく理解する必要がある。ワシック氏に説明してもらおう。「消費者物価指数の23%は、住宅価格で占められています。労働省によって住宅の値段が推定されますが、税金、住宅ローンの金利、それに実際に買った時点での価格などは無視され、推定価格はかなり低めに割り出されています。屋根を新しくしたり、増築などすれば住宅価格は上昇するのが普通ですが、労働省は一切そのようなことを考慮していません。

アナリストのジム・フロイト氏によれば、もし政府が正確に住宅価格を反映させると、消費者物価指数は現在の数値より1.5ポイント高くなるそうです。

住宅価格と同様に、医療費と大学教育費が、正しく物価指数に表れていません。カリフォルニア州メンローパーク市にある、カイザー・ファミリー・ファウンデーションの調べによると、2005年度、医療保険代は9%上昇しています。この上昇率は、個人所得上昇率の3倍以上にあたり、インフレ率を2.5倍も上回っています。

大学の授業料も大きく上がっています。2005ー2006学年度を見ると、私立大学は6%、そして州立大学の授業料は7%の上昇です。

エネルギー価格も忘れてはいけません。クルードオイルは、今年既に12%の上昇です。アメリカがイランを攻撃する可能性が報道され、オイル価格はとうとう70ドルを突破してしまいました。ただでさえ供給量が足りないのですから、まったく悪いタイミングでニュースが出たものです。

いったいどこに政府が発表したインフレ率3.6%を見ることができるのでしょう?もし、あなたが手術を受け、大学の授業料を払わなければならないなら、インフレ率が3.6%でおさまるはずがありません。

適切な対策がなければ、インフレによって、あなたの投資は確実に目減りします。一般的には、金鉱株、金貨、それに金塊がインフレ対策に利用されますが、ほとんどの場合、投資者たちは極めて悪いタイミングで買ってしまいます。たしかに、金は1オンス600ドルを記録しました。しかし、20年前、金は800ドルを超えていたのです。ですから、熱狂的なブームに乗って20年前に金を買った人たちは、いまだに損をしているのです。感情的になってはいけません。今日の金ブームにも注意が必要です。」

なぜ米国政府は、実際より低い消費者物価指数を発表するのだろうか?理由の一つは、引退者に支払われる社会保障給付金だ。この金額は消費者物価指数を基準に決めるから、インフレ率は低い方が政府にとって都合が良い。特に高齢化が進み、引退者の数は増える一方だから、ますます低い物価指数が要求されるわけだ。

米国職業トップ10

将来性、収入、職場の環境などを考慮して、マネー誌とサラリー・ドット・コムが米国の職業トップ10を選び出した。さっそく見てみよう。

第1位:ソフトウェア・エンジニア
ほぼ全ての業種が、ソフトウェア・エンジニアを必要としている。コンピュータプログラムのデザイン、開発には高度な知識と、クリエイティブな頭脳が要求される。若い世代が圧倒的に多い職業だが、経験さえあれば年齢は関係ない。昇給や昇進を早めるためには、大学院レベルの教育が要る。平均年間収入は8万500ドル(949万9000円)、そして向こう10年間で、この業種は46%の伸びが予測される。

第2位:大学教授、助教授、講師
短大や市立大学が積極的に教授の採用を始めた。有名私立や州立大学には空きが少ないが、短大や市立なら、博士号が無くても職が得られる。フルタイムでなくとも、夜間大学での教職もあるから、パートタイムを考えている人には最適だ。教授の年間平均収入は、8万1500ドル(961万7000円)。この職種は、向こう10年間で31%の成長が見込まれる。

第3位:ファイナンシャル・アドバイザー
現在300の大学で、ファイナンシャル・プランニングが教えられている。弁護士や、既にMBAを取得した人たちが、ファイナンシャル・アドバイザーに転身する動きが目立つ今日この頃だ。平均年収は12万2500ドル(1445万5000円)だが、20万ドルを超える人たちも多い。向こう10年間で、この職種は26%増が予測されている。

第4位:人事アドバイザー
人事?と不思議に思われるかもしれないが、今日の人事課は、企業の利益に直接結びつく、重要な役割を果たしている。アウトソーシングや、優秀な人材のリクルートは人事アドバイザーの仕事だから、企業は常に積極的な人事アドバイザーを求めている。平均年収は73500ドル(867万3000円)。向こう10年間で、この職種は23%の成長が予想される。

第5位:フィジシャン・アシスタント(医師の助手)
医師の指示に従って、患者の治療にあたるのがフィジシャン・アシスタントだ。医療費の増大に伴い、コスト削減の一環として、フィジシャン・アシスタントの需要が増えている。平均年収は7万5000ドル(885万円)。向こう10年間で、この職種は50%の伸びが見込まれている。

第6位:マーケット・リサーチ・アナリスト
新製品は本当に売れるだろうか?こんな質問に答えるのが、マーケット・リサーチ・アナリストの仕事だ。統計学に通じていることは必須だが、学歴も大学院卒業が好ましい。平均年間収入は82500ドル(973万5000円)。向こう10年間で、この職種は20%増が予想される。

第7位:コンピュータITアナリスト
全世界がITアナリストを必要としている。平均年間収入は83500ドル(985万3000円)だが、シニア・データ・スペシャリストの年俸は10万ドル以上だ。

残りの3つは、8位が不動産鑑定士、9位が薬剤師、そして10位の心理学者へと続いている。

周期的に正しい投資?

アメリカ株に投資するなら、何月に買って何月に売るのが良いだろうか?こんな統計がある。トレーダーズ・アルマナックによれば、1950年から毎年11月1日にダウ指数を買って4月30日に売ると、年利で7.9%の利益が上がった。だから、1950年に1万ドル投資していれば、今日現在約50万ドルに膨れ上がっている。同様なやり方で、5月1日に買って10月30日に売ると、資金の1万ドルは今日9498ドルに減っている。

なるほど、それなら夏の相場は休もう、と結論したくなるが、本当にそうすることは正しいだろうか?「株式市場には一定のパターンが繰り返される、というカレンダーに基いた周期論がありますが、それは重要なことを無視しています」、と言うのはMSハウエルズのマイク・ハーレイ氏だ。「マーケットサイクルばかりに気を取られると、肝心な現在の市場分析を怠ってしまいます。」たしかに、現状を正しく把握することは大切だ。以前、アバロン・リサーチでアナリストを務めた、マーク・リクテンフェルド氏に現況を解説してもらおう。

「これも周期論で説明できることかどうかは分かりませんが、金利が上がり続けています。木曜、10年物国債の利回りが、2002年以来初めて5%を超えました。テクニカルアナリストのジョン・ローグ氏は、既に利回り6%を予想しています。金利に敏感な貴金属、電力、ガスなどの業種は注目です。

電力会社やガス会社などの公共株は、多額な変動利率の債務があります。金利が上昇すれば支払いも上がるわけですから、電力会社にとって金利上昇は悪材料です。積極的な投資家には、公共株の空売りを推奨します。公共株と言っても沢山ありますが、簡単な方法はユティリティーズ・スパイダー(XLU)を空売ることです。XLUは公共株に投資している上場投信ですから、これを空売るだけで十分な効果を得られます。

空売りはしたくない、そんな方々には二つのミューチュアルファンドがあります。ライデックス・ジュノ・インベスターは、国債の利回りが上がると、価格が上がる仕組みになっています。また、プロファンズ・ライジング・レイツ・オポチュニティも金利が上昇すると価格が上がるので、現在の経済環境に適したファンドです。

1970年以来、金利と同方向に金価格は推移しています。利益を上げることが投資の最大目的ですが、インフレ対策として、資金の一部を金投資にあてることをすすめます。金の現物を買っても悪くないですが、金価格に連動する、ストリート・トラックス・ゴールド・シェアズ(GLD)という便利な上場投信があります。株と同様に売買できますから、これが一番楽な金投資方法です。」

それ以外にリクテンフェルド氏は、株式市場が下がると上がるベア・プロファンドを推薦している。5月も近い。やはり持ち株を調整した方が良さそうだ。

ボーイズ・オブ・サマー、いよいよプロ野球シーズンが始まった。ひいきチームが勝っても負けても、実際に球場でゲームを観戦するのは楽しい。大画面テレビで見る野球も悪くないが、やはりそれでは現場の雰囲気を肌で感じることができない。ということは分かっているのだが、またチケット代が上がった。選手に高い年俸を払いすぎるからだ、と思うかもしれないが、CNNのクリス・イシドー氏はこんなことを語っている。

「今日、大リーグの平均年俸は290万ドル(約3億4200万円)ですが、ここ5年間で25%上昇しています。。球場のチケット代も5年間で、ほぼ選手の年俸と同率の上げですから、一見両者には相関関係があるように思われます。一つ付け加えますが、5年間で25%上昇した年俸は、米国インフレ率の2倍に相当します。

選手の年俸が、本当にチケット価格を決定しているのでしょうか?一般のビジネスを考えてみましょう。フォードやGMが、社員の給料を3%上げたからといって、車の値段を直ぐ3%引き上げるでしょうか?給料が5%減れば、ユナイテッド航空はチケット料金を5%値下げするでしょうか?答えは「ノー」です。航空チケット代や、車の値段を決めるのは社員の給料ではなく需給関係です。

野球のチケット代が上がったのは、ようするに、チケット需要が増えたからです。去年もチケット代は上がったわけですが、観戦者数は史上最高を記録しました。毎年発行できるチケット数は限られていますが、この供給量に関する面白い実例を紹介しましょう。

オークランド・アスレチックスは、球場の最上階スタンド席を今年完全に閉鎖しました。このため、今年発行されるチケット数は20%以上の減少です。アスレチックス関係者は、最上階席を削ることで、ファンがもっと近づいて座ることになるから、ゲームを観戦するムードが良くなると言いますが、球団側が期待しているのは、チケット売上の上昇です。最上階席が無くなり、供給量が減ったわけですから、これで前売り券販売が伸びます。今年オークランドは、チケット料金を25%引き上げています。

席の数を減らしたのは、オークランドが最初ではありません。前例があります。2004年、シカゴ・ホワイトソックスは最上階席の一部6600を閉鎖して、観戦者数上昇に成功しています。

もうひとつ、チケット代が上がっている理由は、新球場の建設です。ここ14年間で、26球団中14球団が新しい球場を造っています。問題は、新球場の席数は古いものより21%少ないのです。単に席数が少ないだけでなく、外野席を大幅に減らして、チケット代の高い内野席が増えています。ですから、平均チケット価格が上がっても当然です。」

1990年代から始まった新球場建築ブームだが、2009年、ニューヨーク・ヤンキースの新スタジアムが完成する。観客席数は、現在の球場より10%少なくなるそうだ。

バスケット・アプローチ、という投資方法をご存知だろうか?バスケットボールのバスケットではなくて、この場合のバスケットは、果物などを入れる「かご」を想像してほしい。だれでも新鮮な果物で、かごをいっぱいにしたいように、バスケット・アプローチも、複数の有望銘柄だけに集中投資するのが狙いだ。

銘柄の選び方は一様ではないが、スティーブン・ブルワ氏(リアル・マネー・ドット・コム)のアイディアを聞いてみよう。「バスケットに入れる銘柄は、割安であることが重要です。割安株の利点は、思惑と反対に動いても下げ渋ることが多いですから、損が少ないことです。さっそく、二つのアイディアを紹介したいと思います。

最近、老化防止が人気投資テーマになっています。多くの関連銘柄は既に割高になっていますが、ていねいに探してみると、まだ大衆に発見されていない株が残っています。歳をとるのは嬉しいことではありませんが、確実に高齢者人口が増えています。米国を例に挙げれば、2030年には65歳以上の人口が、現在の2倍になると予測されています。

つい数日前ですが、私は複数の鏡を持って風呂に入りました。うまく角度を調整して、頭のてっぺんを見たのですが、なんとも惨めな状態です。そんなわけで、帽子を手放すことはできません。

具体的な銘柄ですが、ストライカー、ジマー、アラガンなどの大型株は避けるべきです。悪い会社ではありませんが、速い成長スピードが見込めません。私が好きなのは、予期しなかった成長の可能性がある、ニューベイシブ(NUVA)とバイアセル(VIAC)の二つです。

投資態度について少し話しましょう。あなたは「強気」ですか、それとも「弱気」ですか?よくそんな質問を耳にしますが、一つの見方だけに固執するのは危険です。経済環境が良くないから株はだめだ。このセクターは嫌われているから、それを買うことはできない。そのような考え方に慣れてしまうと、せっかくの投資チャンスを逃してしまいます。最終的に株を上げるのは需給関係ですから、くれぐれも先入観を排除することが大切です。」

次に、上記二銘柄の説明をしてもらおう。「歳をとると、腰や背骨に問題を起こしやすくなりますが、それがニューベイシブ(NUVA)の専門分野です。医療機器の販売もしていますが、一番の特色は独自のソフトウェアを使った、回復時間の早い手術です。現在20ドル以下の銘柄ですが、40ドルあたりを狙えると思います。

バイアセル(VIAC)は、幹細胞の分野から老化防止を研究しています。問題は、幹細胞研究に対する倫理問題という障害があります。それに幹細胞研究に関する偏見もあり、これはかなり長期投資になると思います。しかし、スペインで好結果が得られているように、バイアセル(VIAC)は注目に値する銘柄です。」高齢化する社会、たしかに幹細胞分野は面白そうだ。

二つの消費者信頼感指数

新規雇用の増大、5年ぶりの低失業率、生産性の向上、米国経済は好調だ。しかし、なぜか人々の顔色がすぐれない。表面だけを見れば、3月分の消費者信頼感は107.2と発表され、2月分の102.7を上回った。それなら、皆さん機嫌が良いはずだが、どうもそうではないらしい。

「たしかに消費者信頼感指数は上昇しましたが、この指数には二つの要素が含まれています」、と経済コラムニストの、マーシャル・ローブ氏は言う。「先ず、現状に対する消費者信頼感は、最近5年間で最高の133.3でした。もう一つの消費者信頼感は、3カ月から6カ月先を考慮した場合の指数ですが、これは去年の93.7から89.9の冴えないレベルに落ち込んでいます。」ようするに、米国消費者は現在の状態には満足しているが、将来にかなり不安を感じているようだ。

「これは不思議な現象です。現在のアメリカ経済が、強いことに間違いはありません。しかし、消費者は将来を楽観視できないのです。何故そんななに心配なのでしょう?こんなことが考えられます。不動産ブームが終わり、実際に住宅価格が下がっている地域があります。ですから、以前のように消費者はリッチな気分になれないのでしょう」、とゴールドマン・サックスのロバート・ホーマッツ氏は語っている。

更に、ホーマッツ氏の説明によれば、住宅価格が下落し始めると、消費者は前のように金を使わなくなるという。極端に消費が冷え込んでしまえば企業収益に響く。だから、最終的には株式市場にも悪影響になるわけだ。

バンク・オブ・ニューヨークの、マイケル・ウールフォーク氏は、こんな意見を述べている。「消費者が将来に対して悲観的な大きな理由の一つは、短期金利を上げ続ける連銀の金利政策です。住宅担保ローンの利子も当然上がっていますから、2年前のように簡単な資金繰りができません。金利引き上げは、はたしていつ終了するのでしょうか?強い経済、ほぼ完全に近い雇用状況を考えれば、連銀は金利を5%以上に引き上げるでしょう。(現在4.75%)」

消費者が不安になる、もう一つの理由として、ウールフォーク氏はエネルギー価格を指摘している。「クルードオイルは、1バレル68ドルですが、これは80ドルから90ドルに跳ね上がる可能性があります。サウジアラビア、イラン、イラク、ベネズエラ、ナイジェリア、それにボリビアなどの内政が安定しない産油国を考慮すれば、オイルが突然急騰しても、決して不思議ではありません。」

将来の不安材料なら、まだまだある。増え続ける国家予算赤字に貿易赤字。破綻しそうな社会保障給付金制度。それに、ニューヨークを襲ったような大々的なテロ事件が、またアメリカ国内で発生するかもしれない。どちらにしても、今のアメリカ人に一番痛いのは、ウールフォーク氏が挙げた金利上昇だ。貯蓄率0%のお国柄だから、何を買うにもクレジットカードが使われる。もちろん、クレジットカードの金利は極めて高い。やはり、アナリストが言うように、今年の後半は個人消費が低迷しそうだ。

儲けよう、と意気込んで投資するべきだろうか?それとも、損を出さないことを第一にするべきだろうか?「トレードの心理学」の著者、ブレット・スティーンバーガー氏は、こんな話を紹介している。

「三人の投資家が、それぞれ10万ドルずつファンドマネージャーに資金を運用してもらうことにしました。このファンドマネージャーは、独自の投資スタイルで優れた成績を上げていることで有名です。もちろん、期待どおりに行かないこともありますから、3.5%以上の損が出た銘柄は直ぐ処分するのが、ファンドマネージャーのモットーです。

さて三人の投資家ですが、Aさん、Bさん、Cさん、と呼ぶことにしましょう。旅好きのAさんは、10万ドルをファンドマネージャーに預けると、さっそく世界一周旅行に出かけました。14カ月後、旅から戻ったAさんの家には、毎月の投資状況を報告する、14通の明細書がありました。全部の封筒を開けるのが面倒だったので、Aさんは一番最近の報告書を見ることにしました。嬉しいことに、10万ドルで開始した投資は、なんと22万7000ドルに膨れ上がっていました。

Bさんも、毎月の報告書を見て喜んでいました。4カ月連続で資金は増え、残高は17万ドルです。しかし、次の2カ月は、Bさんの期待を裏切るものでした。17万ドルあった資金が、13万3000ドルに減っているのです。こんな状態では、10万ドルを割ってしまうかもしれません。心配になったBさんは、翌日ファンド会社に電話して、投資を解約しました。

投資を始めた一カ月後、Cさんの10万ドルは12万ドルになっていました。オンラインでも口座が見れると知ったCさんは、二カ月目から、毎日口座をチェックすることにしました。しかしCさんは、一日一日の口座残高の動きが、こんなに荒っぽいとは思ってもいませんでした。ある日1万5000ドル上昇したかと思えば、次の日は5000ドルのマイナスです。いったいファンドマネージャーは何をしているのだろう。こんなに残高が大きく動いたのでは、資金が無くなってしまうかもしれない。今なら4万ドルの利益がある。Cさんは、翌日投資を解約しました。

三人の投資結果を決めた要素は何でしょうか?もともと長期計画で始めた投資なのですが、BさんとCさんは、突然短期投資に変更してしまいました。実際に、同様な間違いを、多くのトレーダーたちも犯しています。数日間の値幅を取るはずのトレードが、目先の値動きに翻弄されて、ごくわずかな利益で銘柄を処分してしまうのです。」

日足を基本にしている投資者が、5分足チャートを活用する必要は全くない。日中の激しい動きに目を奪われて、ただ動揺してしまうだけだ。アンダーグラウンド・トレーダー・ドット・コムのジェイ・ユー氏も、必要の無いチャートを見る危険性を指摘している。日足から得た買いシグナルなら、売りシグナルも日足チャートから得るのが基本だ。ただでさえ感情的になりやすいトレード、自分のタイムフレーム以外のチャートはあまり見ないようにしよう。

連銀はインフレのコントロールに失敗した、そんなアナリストたちの声が聞こえるようになった。たしかに、インフレ対策として人気のある金が、ここ8カ月で38%上昇している。「金は炭坑内のカナリアに例えられますから、これは警報シグナルとしての意味があります。金価格の動きを観察することで、現在デフレ懸念なのか、それともインフレ懸念なのか、といった大衆心理を理解することができます」、とエコノミストのブライアン・ウェスベリー氏は言う。

先回のFOMC(連邦公開市場委員会)で、値上がるガソリンやオイルなどの商品価格がインフレ原因の一つに数えられていたが、バンク・オブ・アメリカのピーター・クレッツマー氏は、こんな見方をしている。「1990年以来、商品価格とインフレには、はっきりとした相関関係がありません。金の上昇が始まったのは8月からですから、連銀が金利引き上げ政策を開始してから1年も経っています。1980年から1999年の間に、消費者物価は119%上がりましたが、金は逆に64%の下落でした。ですから、最近の金人気は、悪質なインフレ到来を予測しているわけではありません。

今日の商品価格は、世界的に需要が伸びているオイル、ガソリン、セメント、それに工業用金属に影響されています。オイル高、ガソリン高が話題になりますが、商品価格を示すCRB指数は1月に天井となりました。商品価格が経済全体を占める割合は、労務コストに比べたら小さなものです。ですから、インフレを予測する上で、最も重要なのは労務コスト分析です。」

と言われても、急騰する金価格は気になる。ひょっとしたら、アナリストが言うように、連銀はインフレを抑制できないかもしれない。やはり、万が一のためにインフレ対策投資をした方が良さそうだ。では何に投資するのか?ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェストの、マーク・ハルバート氏の意見を聞いてみよう。

「インフレ連動債券を考えてみることを勧めます。インフレ対策として金が一般的ですが、金投資ではインフレ連動債券のように利子収入を得ることはできません。簡単にインフレ連動債券を説明しましょう。支払われる利子ですが、これは国債や社債のように利率は固定されていますから変動することはありません。10年債を買えば、向こう10年間毎年同額の利子が受け取れるわけです。

単に利子だけでは国債と変わりありませんが、名前が示すように、この債券が持つ大きな特色は、インフレに連動することです。毎年2回、投資者に対する支払額は、消費者物価指数に合わせて調整されます。物価指数が上がれば当然支払いが増え、指数が下がれば支払いが減ることになります。年に2回の調整は、5月1日と11月1日に行われます。先回は、ハリケーンの影響でオイルやガソリンの急騰がありましたから、消費者物価指数は予想以上に上がり、投資者への支払いも増えました。」

よし、さっそくインフレ連動債券を買ってみよう。だが、ハルバート氏はこんな忠告を付け加えている。「今直ぐ買うのはうまい方法ではありません。ハリケーンのように、消費者物価指数を大きく上昇させるような出来事は最近起きていませんから、今は様子を見るべきです。毎年2回の調整日に注意して、物価指数に影響を及ぼしそうな事件が起きた時が買いのタイミングです。」

先ず、下のチャートを見てほしい。

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何回か50日移動平均線を割ることもあったが、これは先日25年ぶりの高値を記録した、金の日足だ。長い冬眠だっただけに、金投資者はさぞ喜んでいることだろうが、コインには裏と表があるように、喜んでいる人の影には苦々しく思っている人たちもいる。

結婚式シーズンが近づいているが、CBSニュースは、若いカップルが高い指輪の値段に驚かされるだろう、と報道している。異常な速度で金が上昇だから、指輪、ネックレス、ブレスレットなども値上がっているわけだ。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によれば、金を使った宝石価格は、去年同時期と比較すると10%から20%高くなっている。

「商品市場で金が25%上がったからといって、小売店も同様に25%値上げするわけではありません」、とティファニー社のマーク・アロン氏は言う。「金属価格の上昇は、たしかに小売店での値上げにつながりますが、マーケットでの価格が上がる度に小売店も値上げしていたのでは、売上が低下してしまいます。ですから、他社に負けない魅力的な値段を設定することが鍵です。」

こんな意見もある。「大手宝石店は、今のところ目だった値上げをしていません。ほとんどの大幅値上げは、独立系や小型小売店で起きています。例えば大手ティファニーですが、巨大な購買力がありますから、ある程度までの金価格上昇に耐えることができます。もちろん限度がありますから、更なる金の上昇は、ティファニーだけでなく、他の大手宝石店を値上げに踏み切らせることでしょう」、とモーニングスター社のキム・ピキオラ氏は述べている。

宝石は生活必需品ではない。結婚指輪なら話は別だが、消費者は高くなった宝石を避けることだろう。カリフォルニア州バークレー市で宝石店を経営する、アナ・フレクサー氏の話を聞いてみよう。

「当店には、ティファニーのような店で高価な宝石を買えない方々や、格安品を求めるお客様が訪れます。ですから、派手なものが選ばれることはなく、最低限の要素を満たす宝石が中心です。以前は、指輪やイヤリングを誕生日プレゼントとして購入する方が多かったのですが、最近の値上がりでデジカメなどが選ばれるようになってしまいました。

指輪の場合ですが、お客様の指にフィットするように、サイズを調整する必要があります。これには金を足すことになるので、40ドル余分に費用がかかります。前なら20ドルで済んだのですが、金価格の急上昇で、当店でも最小限の利益を確保するために値上げすることになりました。たったこの20ドルの差が売上に悪影響ですから、小売店経営者には厳しい状況です。」

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の統計によると、2005年度、アメリカでは180億ドルの金を使った宝石の売上があり、これは2004年度を5%上回った。全世界を見ると、売上の三分の一はインドと中国で占められている。重さで換算すると、589トンの売上があったインドが世界最大の金宝石市場だ。(アメリカは353トン)

アジア太平洋地域での売上は、今年も好調になる、と予測しているティファニー社は更なる中国市場開拓を計画している。現に、第1四半期、ティファニーの売上は米国内でやや減少したが、海外での売上は予想以上に増大した。特に伸びたのは、二桁台の成長を記録した日本での売上だ。

ジョン・ネイダー氏(金アナリスト)は、「金価格は上昇することはあっても、現在の価格から大きく下げることはないでしょう」、と言う。また、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のジョン・キャルノン氏は、海外では金を自国の貨幣より重要視する傾向が見え始める、と指摘しているから、まだしばらく金人気は続きそうだ。

アメリカの高校生と株

米国の将来が心配だ、そんな声が聞こえてくる。アメリカの高校三年生を対象に、経済知識がテストされたのだが、結果があまり芳しくない。問題は合計で30。一問紹介しよう。

子どもの誕生祝いとして、ケリー夫妻に現金が手に入りました。さっそく、それをもとにして、ケリー夫妻は子どもの大学教育のために投資することにしました。次のどの方法が、最も資金を大きく増やすことができるでしょうか?(投資期間は18年)

A、国債 44.8%
B、定期預金 34.8%
C、普通預金 6.3%
D、株 14.2%

数値は、生徒が実際にどう選択肢を選んだかのパーセンテージを示し、正解はDの株。

テスト結果は不合格。平均正解率は52.4%と発表され、初めてこのテストが実施された、1997年の57%を下回った。もっとも2年前は52.3%だったから、わずかながら向上した、と冗談を言うこともできる。「高校生の経済知識不足は深刻な問題です。社会保証給付金制度が不安定な今日、国民は積極的に401K(確定拠出型年金)などを活用して、自分の判断で投資をしなければいけません。テスト成績を見る限り、今の高校生には一般的な投資知識が欠乏しています」、とニューヨーク州立大学のルイス・マンデル教授は語っている。

今回のテストについて、連邦準備銀行で行われた記者会見の要点を記しておこう。

・テストに参加したのは、37州の合計5775人の高校三年生。

・白人生徒の平均正解率は55%、黒人生徒は44.7%、そして中南米系生徒が46.8%だった。黒人生徒と白人生徒の成績が、こんなに離れたのは今回が初めてになる。

・家庭収入が、年間8万ドル以上ある生徒の平均正解率は55.6%、そして家庭収入が年間2万ドル以下の生徒は48.5%の平均正解率だった。これほど二者間の数値が開いたことは、今までに一度も無い。

・2004年、20%の高校三年生は財産管理や、パーソナル・ファイナンスに関する授業を受けたが、2005年、このパーセンテージは17%に減少した。驚くべきことは、これらの授業を受けた生徒達のテスト結果は、受けなかった生徒のテスト成績に劣っている。授業以外に、株投資クラブ(実際の資金を使うのではなく、株ゲームのような形で他の生徒と競う)に参加していた生徒のテスト結果は、クラブに属していない生徒の成績を上回った。

・性別で比べると、結果には歴然とした違いは無い。男子生徒の平均正解率は52.6%、女子生徒は52.3%だった。

上記の問題に、正しくD(株)と答えられた生徒は14.2%にすぎなかったが、こんなに正解率が低かったのはテスト史上初だという。また、経済知識を欠いているのは高校生だけではない。先月、ファイナンシャル・サービス・フォーラムで報告された統計によれば、43%の社会人が投資知識の乏しさを認めている。情報化社会、という言葉が使われるようになってかなりの年月が経つが、経済情報は相変わらずうまく活用されてないようだ。

世界には、どのくらい原子炉があるかご存知だろうか?国際原子力機関のレポートによれば、その数は441だ。一旦稼動が始まった原子力発電所は、電気スタンドのように、簡単にスイッチを切ることができない。それに、現在建設中の原子力発電所が130あるから、ウランの需要はますます増える一方だ。

「金と銀ばかりが話題になりますが、金属市場でホットなのはウランです。あまり皆さん知らないのですが、去年ウランは80%の上昇、そして今年は既に13%も上がっています」、とマネー・アンド・マーケッツのショーン・ブロードリック氏は言う。そんなにウランが人気なら、何かうまい投資方法はないものだろうか。ブロードリック氏の話を続けよう。

「今日、中国には3つの原子力発電所があります。実際の発電量はまだ低く、中国で使われる電気の2.3%が原子力発電所で生産されています。最近の報道によれば、中国政府は原子力発電に本腰を入れて、2020年までに発電量を5倍以上に増大させる計画です。このゴールを達成するために、中国は毎年2つの原子炉を建設するようですから、ウランの需要量も現在の300万ポンドから1800万ポンドに膨れ上がることが予想されます。

インドのウラン需要も大幅に上昇することでしょう。毎年インドは100万ポンドのウランを消費していますが、2010年には200万ポンドの消費が予測されます。インドで生産されるウランは100万ポンドですから、インドはウラン輸入国になるわけです。」中国はオーストラリアからウランを輸入し、インドはロシアから輸入できるようだが、ロシアでの生産量が低下しているため、近い将来ロシアもウランを海外から輸入しなければならない日が来るようだ。ブロードリック氏の話に戻ろう。

「ロシア、中国、インドがウランの輸入国になるのですから、世界的なウラン不足時代がやって来るはずです。狙いはウラン鉱山関連株の、フロンティア・ディベロプメント・グループ(FRG)です。FRGの主な業務は、カナダ、トルコ、そしてメキシコでのウランと金の探鉱開発です。

最近超人気の金と銀ですが、フロンティア・ディベロプメント・グループはトルコに大きな金鉱と銀鉱を発見しました。推定される金は160万オンス、そして推定される銀は860万オンスです。さっそく金と銀のチャートを見てください。素晴らしい上げ方に驚かれることでしょう。フロンティア・ディベロプメント・グループの強みは、単にウランだけではなく需要度の高い金属にも手を伸ばしていますから、ビジネスに多様性があります。また先日の発表によると、フロンティアはユーコンにある銅、金、ウラン鉱を買収し、実際に調査が今年の夏から開始されます。」

ブロードリック氏は、こんなことも付け加えている。「たしかにフロンティアは毎年損失がありますが、重要なのはフロンティアには借金がありません。時価総額は2億1500万ドルの会社で、株価は5ドル20セントです。少なくとも倍になってもおかしくない株だと思います。」

柔軟性が求められる企業

社員の都合に合わせて、勤務時間を調整してくれる企業が増えている。子どもを幼稚園に迎えに行きたい。毎週火曜と木曜は大学に行きたい。そんな望みが、かなうようになったのだから、たしかに時代は変わった。しかし、ABCニュースによれば、一見思いやりのある企業の態度は親切心から出たものでは無いという。

社員のスケジュールを配慮した、柔軟性がある会社側の姿勢は企業イメージ改善に役立っている。これで優秀な人材が集めやすくなっただけでなく、優れた社員を他社に引き抜かれる可能性も減る。結果的に働きやすい職場になるのだから、生産性も向上するわけだ。

一口に勤務時間の調整といっても、やり方は一つだけではない。実際の例を見てみよう。

1、一週間40時間労働が一般的だが、ほとんどの場合、毎日8時間働いて週五日勤務することになる。義務付けられた40時間を4日間で消化するなら、毎日10時間働けばよいことになる。これで休みが一日増えるから、正に週休三日制だ。

2、在宅勤務(テレコミューティング)
職種によるが、毎日会社へ行かなくても仕事は自宅で出来る。コンピュータ、ビジネス専用電話、ハイスピードインターネットなど揃えば週二日は在宅勤務が可能だ。現に在宅勤務と通常勤務を組み合わせることで、仕事の能率が上がっている。それに通勤日数も減るから、ガソリンが節約できる。

3、休暇の数え方
普通なら有給休暇年10日、といった形で休暇の数え方は日数が基本だが、これを時間に変える企業が増えている。休暇の一日分は8時間に換算され、有給休暇年10日なら計80時間だ。何故これが社員に便利なのか?時間制が採用されることで、社員は4時間だけの休みが取れるから、休暇日数を無駄にすることがない。

4、既に連邦政府機関でも実施されているが、支障の無い範囲で、社員や職員が仕事の開始終了時間を決定できる。とにかく毎日8時間働けば良いのだから、それは9時から5時までに限らず、8時から4時、7時から3時など好きな時間帯を選べる。

5、単なる雑用なのだが、どうしても勤務時間中に会社から抜け出さなければならないことがある。例えば、車の修理だが、自分で行かなくても会社側がやってくれる。残業で遅くなる時は、会社が自宅へ家族のために夕食を届けてくれる。忙しくて床屋に行く暇が無ければ、会社が理容師をオフィスまで呼んでくれる。これなら、勤務時間の無駄使いを防げそうだ。

6、フルタイムからパートタイムに転向
給料が減ることになるが、子どもの面倒をみなければいけない人には良い方法だ。会社側にしても、新しい人を雇って一から仕事を教えるよりも、経験のある人をパートでおいておく方が効率的だ。

勤務時間を11時から7時に変更してほしい、週二日在宅勤務したい、などと頼んでも直ぐ会社側に受け入れられないかもしれない。昔ながらのやり方に慣れた上司なら、先ず首を縦に振ることはないだろう。しかし、社内で仲間を集めて、2週間だけ在宅勤務をテスト的にやることを上司に頼んでみるのも一つの手だ。

国境を完全に封鎖しろ!不法滞在者を強制送還せよ!政府は新しい機関を設けて、海外からの労働者をもっと厳しく監視するべきだ。中間選挙を控えて、移民が今アメリカで大きな話題になっている。不法滞在外国人が、そんなにアメリカ社会に悪影響を与えているのだろうか?

議会で移民法の改正が討論されているが、エコノミストたちは、こんなことを指摘している。たとえ移民規制がおだやかなものであったとしても、それは多くの業種に影響を与えることになりそうだ。特に建築や農業は、賃金の安い海外労働者に頼っているから、移民規制はコスト増大につながる。もちろん、新規制が実施されれば、不法滞在者に取り上げられていた仕事がアメリカ市民に戻るのだから、失業者がある程度減ることだろう。

JPモルガンのチーフ・エコノミスト、アンソニー・チャン氏はこう述べている。「不法就労者が、アメリカ市民から職を奪っている、とよく耳にしますが、たしかに一定の職種にはそういうことがあるようです。しかし、多くの不法滞在者が就いている職は低賃金ですから、ほとんどのアメリカ市民が避ける職業ばかりです。」

とかく移民問題になると、感情的になってしまう人が多いが、今のアメリカには肝心なことが分かっていない。アナリストやエコノミストは、不法滞在者が米国経済に与えている影響を簡単に調べることは不可能を主張するだけで、それ以上先に話が進まない。もし全ての雇主が米国市民と、合法的に滞在する人だけを雇ったら、それは国内総生産にどう影響するだろうか?政府に支払われる所得税も増えるはずだ。しかし、スタンダード・アンド・プワーズ社のデービッド・ワイス氏によれば、そのような数値を弾き出すことは無理だと言う。

先ず、アメリカ政府は正確な不法滞在外国人数をつかんでいない。これでは計算しようにも、何も計算できない。アナリストの推測によれば、現在アメリカには900万から2000万の不法滞在者がいるようだが、これでは幅がありすぎて使いものにならない。

移民研究センターは、もっと厳しい移民法の必要性を説いている。最近出された報告書によると、2000年3月から2005年3月までの間に創出された雇用の、たった9%がアメリカ市民に行ったようだ。「9%という数字だけを見ると少なく感じますが、これを正しく理解するには、2005年までの強い米国経済を把握する必要があります。新しいビルやオフィスが次々と建築されましたから、当然それに伴って多数の清掃員や駐車場係員などの仕事が生まれたわけです」、とハワード・へイギ氏(労働省)は説明する。

現在、890万人に及ぶアメリカ市民が仕事を探している。「もし本当に政府が国境を封鎖し、不法就労者の取り締まりを徹底するなら、平均労働賃金は上昇することでしょう。しかし、雇用者側は高い賃金を払って、米国市民を採用するでしょうか。たぶん、アウトソースが活発になり、わざわざアメリカ市民を雇うことはないでしょう」、とアンソニー・チャン氏は述べている。

移民の国アメリカ、いよいよ本格的に移民法を改正する時が来たようだ。

4月だ。新しい四半期が始まった。過ぎ去った第1四半期を振り返ってみると、S&P500指数は+3.8%を記録し、これは1999年以来の好成績だ。ダウ指数は+3.6%、そしてハイテク銘柄の多いナスダックは6%の上昇となった。

多くのアナリストやエコノミストは、今年後半の米国株式市場に悲観的な意見を発表している。しかし短期的には、まだ買い手が優勢になるようだ。「第1四半期は、なかなか良い結果だったと思います。もちろん、第1四半期の上げを見ただけで、今年全体が上昇マーケットになると単純に結論するのは間違いです。2006年度全体を考慮すると、S&P500指数は、一桁台の成長になると思われます。一桁と言っても1から9までありますが、かなり低い一桁台になることでしょう」、とチーフ・インベストメント・オフィサーのラム・コルーリ氏は言う。

短期的に上昇マーケットが続く理由を、ライフタイム・ファイナンシャル・サービスのポール・レビーン氏はこう説明している。「執拗な金利引き上げが続いていますが、連銀は同時にマネーサプライ(通貨供給量)も増やしています。また、下降が始まった住宅市場も株に好条件になります。不動産投資家たちは、物件を売って得た現金を株式市場へ移動させることを考えています。また、季節的な要因もあります。月の初めや、四半期が開始する第1週めには401K(確定拠出型年金)の資金が大量に株式市場へ流入します。」

ストック・トレーダーズ・アルマナック社の統計によると、ダウ指数にとって4月はラッキーな月だ。1950年以来、平均すると、ダウ指数は4月に1.8%の上昇を記録している。逆にナスダックとS&P500指数は、あまりパッとしないようだから、買いは大型ブルーチップ銘柄に絞った方が良さそうだ。

注目の雇用統計が、今週金曜に発表される。アナリストの意見を総合すれば、熱過ぎず冷た過ぎずの結果になりそうだから、インフレ懸念が一時的にマーケットから消えるかもしれない。

今月の中旬から、いよいよ決算シーズンが始まる。かなり強い収益が報告されるようだから、これもマーケットに好材料になる可能性がある。トーマス・ファイナンシャルは、第1四半期の収益が、去年の同時期を11.3%上回ることを予想している。これが実現すると、11四半期連続の二桁上昇になる。

「企業収益はプラス材料です。問題は10年物国債です。上昇が続く利回りに衰えは見えず、5%に差し迫っています。これは、いつ金利引き上げ政策が終了するかが分からなくなってしまったためです。金利引き上げサイクルが、完全に終了しない限り、企業収益ニュースだけでは買い材料になりません」、とコルーリ氏は語る。

レビーン氏も、こう付け加えている。「また上昇が始まったオイル価格が、株式市場に水を注す可能性があります。先週、金市場が大きく上げましたが、これは投資者たちの強いインフレ懸念の表れです。」

一般的なアナリストの意見を記しておこう。「次のFOMC(連邦公開市場委員会)は5月ですから、まだ先の話です。それまでに、決算だけでなく様々な経済指数が発表されます。マーケットの上げ基調は崩れないと思いますが、かなり荒れることが予想されます。」

アップルコンピュータが誕生してから30年になる。狭いガレージから始まった会社が、今や世界に影響を及ぼす企業になっているのだから、夢は大きい方が良い。ところで、皆さんはどの程度アップルコンピュータをご存知だろうか?さっそくビジネスウィークが出題する、アップルクイズに挑戦してみよう。

1、1976年秋、まだアップルコンピュータはガレージ(自宅の車庫)を本拠地にしていたが、この時点でアップルコンピュータを買収しようとした企業はどれ?(正解は一番下を参照)

A、IBM
B、ナショナル・セミコンダクタ
C、コモドア・ビジネス・マシーンズ
D、NCR

2、アップルコンピュータの初代最高経営責任者は誰?

A、スティーブ・ジョブズ氏
B、マイク・マークラ氏
C、スティーブ・ウォズニアク氏
D、マイケル・スコット氏  

3、スティーブ・ジョブズ氏の兄弟姉妹で、有名な小説家になったのは誰?

A、モナ・シンプソン氏
B、ダン・ブラウン氏
C、トム・クランシー氏
D、アン・タイラー氏  

4、マッキントッシュ開発チームを作ったのは誰?

A、スティーブ・ジョブズ氏
B、マイク・マークラ氏
C、ジェフ・ラスキン氏
D、スティーブ・ウォズニアク氏  

5、未来を予想する最高の方法は、自分で未来を創り上げることだ、と言ったのは誰?

A、ジーン・ルイス・ガッセー氏
B、スティーブ・ジョブズ氏
C、アラン・ケイ氏
D、ジョン・スカリー氏  

6、1985年、アップルコンピュータのコマーシャルに出演した政府関係者は誰?

A、ロナルド・レーガン氏
B、アラン・グリーンスパン氏
C、ウォーレン・バーガー氏
D、ジェラルディン・フェラーロ氏

7、スティーブ・ジョブズ氏、そしてスティーブ・ウォズニアク氏はアップルコンピュータの創始者だが、実はこの二人、アタリ社のためにゲームを作っている。そのゲームとは何?

A、スペースインベーダー
B、Galaga
C、パックマン
D、ブレイクアウト

8、スティーブ・ジョブズ氏は、何回タイム誌の表紙に載った?

A、2回
B、5回
C、7回
D、6回

9、スクルージ・マクダックとは何のこと?

A、スティーブ・ジョブズ氏の長説教がありそうなことを伝える、社員間での暗号。
B、ピクサーが制作した、発表されなかった短編映画のタイトル。
C、Macに初めて登場した画像。
D、これからピクサーが制作する映画のタイトル。

1、正解はC。
マイケル・マロン氏によると、コモドア・ビジネス・マシーンズは、オーナーのスティーブ・ジョブズ氏に10万ドルの買収額を提示した。

2、正解はD。スコット氏は、フェアチャイルド・セミコンダクタの重役だった。

3、正解はA。

4、正解はC。

5、正解はC。この言葉は、まだケイ氏がゼロックスにいるころ言ったようだ。

6、正解は、最近連邦準備理事議長を辞めたアラン・グリーンスパン氏(B)。

7、正解はD。

8、正解はDの6回。

9、正解はC。このキャラクターは、ディズニーが作ったドナルドダックの叔父さん。

そんな大金を何のために使うのだろうか?木曜、巨大サーチエンジン会社グーグルは、500万株に及ぶ自社株売りを発表した。既に80億ドルの現金を保有するグーグルだから、この自社株売りが完了すると、現金総額は100億ドルに膨れ上がる。

「たぶん、グーグルは企業買収のために、巨額な資金が必要なのだ。」「そうじゃない、金利が上昇しているから、単に利子稼ぎをしたいだけだ。」とにかく、掲示板、チャットルームでは議論が盛んだ。

なぜグーグルは、自社株売りに踏み切ったのだろうか?パシフィック・クレスト証券のスティーブ・ワインスタイン氏は、こう語っている。「私は、グーグルからの説明で納得しています。他の人気銘柄に比べると、グーグルの浮動株数は少ないのです。ですから、今回の自社株売りは投資者への配慮です。」

4月3日(月)から、グーグルはS&P500指数の一銘柄として取引が開始される。多くのファンドマネージャーは、S&P500指数を構成する銘柄を中心に投資するから、これからグーグルの需要はいっそう高くなる。またプログラムトレードも、S&P500指数の銘柄が狙われるから、グーグルの値動きは更に荒っぽくなることだろう。

ようするにグーグルは、月曜までにS&P500指数仲間入りの準備を済ませたかったようだ。「今回の自社株売りは現金目当てではありません。グーグルにとって、20億ドルなどいつでも簡単に出せる金です」、とワインスタイン氏は言う。

グーグルがS&P500指数に組み入れられることは、3月23日の取引終了後発表された。翌24日、ある興味深い出来事が起きた。スタイフェル・ニコラスのアナリスト、スコット・デビット氏がグーグルの格付けを、「ホールド」から「買い」に引き上げたのだ。だからどうした?と思われるかもしれないが、デビット氏は大のグーグル嫌いで有名だ。何故ここでグーグルを買う気になったのだろう?少し説明を聞いてみよう。

「収益0でスタートしたグーグルは、たった7年で収益60億ドルの企業に成長しました。同様な結果を達成するために、マイクロソフトは10年の年月が必要でしたから、これは超急成長と言うしかありません。サーチエンジン業界でグーグルは60%の市場を握り、第2位のヤフーは25%ですから、グーグルは圧倒的な強さです。

資金も豊富ですから、グーグルはトップクラスの人材を確保することができます。それにライバル会社からも、優秀な人材がグーグルに流入しています。これからも、次々と画期的なアイディアが発表され、単なるサーチエンジン会社ではなく、グーグルは世界的な情報ネットワーク企業に変身して行くことでしょう。」

もう一つ、デビット氏は、こんなことを指摘している。ほとんどの企業は四半期の収益見通しを発表するのだが、グーグルは一切そういった発表をしない。一株利益や売上予想をしなければならないアナリストにとって、正にグーグルはやりにくい企業だ。プロにも難しいのだから、一般投資家にとって、グーグルは不親切な会社、と言うこともできる。どちらにしても、月曜からグーグルは米国を代表する、S&P500指数の一員だ。

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