今年度後半、米国経済は減速する、という見方が強まってきた。ということは、持ち株を早々に全て処分した方が良いのだろうか?アメリカ株式市場の歴史をガイドにするなら、向こう6カ月間は舗装されていない道を運転することになるが、その後には強力なラリーが期待できる。
「人によって投資目的が違うように、短期投資型の人もいれば、長期投資専門の人もいます。全体的な相場観を持つことは構いませんが、それだけでポートフォリオ内容を極端に変えてしまうのは間違いです。たしかに、次の数カ月間は難しいマーケットになる可能性がありますから、目標株価に達した物を利食うのは悪くないアイディアです。これで重要な現金が手に入りますから、夏の終わりに予期される底での買いに備えることができます」、とクラーク・キャピタル・マネージメントのハリー・クラーク氏は言う。
ここで過去の様子を振り返ってみよう。大統領の任期二年目は、株式市場が低迷する傾向がある。2006年は、ブッシュ大統領の二期目の二年目だ。更に、スタンダード・アンド・プアーズ社の調べによれば、大統領任期二年目の第2四半期と、第3四半期が特に悪い。
1945年から2005年までの結果を紹介しよう。大統領任期の二年目の第1四半期、株式市場は平均で0.8%の上昇があった。第2四半期はマイナス2.0%、第3四半期は2.2%減、そして第4四半期は+7.6%だ。これが今年も繰り返されることになると、第2四半期が始まる4月から、第3四半期が終了する9月まで、マーケットは下向きになる。そして、秋には嬉しい上げ相場が待っているわけだ。
逆に最も調子が良いのは、大統領任期の3年目だ。第1四半期は+7.5%、第2四半期は+5.3%、第3四半期は1.9%増、そして第4四半期はプラス2.8%だ。
大統領の任期に関係なく、毎年第3四半期は成績がパッとしない。どうしてかお分かりになるだろうか?第3四半期は、7、8、9月の三カ月だから夏休みシーズンだ。機関投資家や、ファンドマネージャーはゴルフコースやヨットの上だから、マーケットは必然的に閑散としてしまう。
今年も歴史は繰り返すのだろうか?米国市場がブルマーケットに入ってから、既に3年が経過した。こんなデータがある。過去100年間で、ベアマーケットは3.3年に1度の頻度で訪れている。とすれば、そろそろ下げ相場が来ても、おかしくない頃だ。「2002年の10月から上げ相場が続いていますが、ほとんど大したプルバックが無いまま、ここまで来てしまいました。例えばS&P500指数ですが、10%以上の下方修正は、最近3年間で一度もありません。ですから、どこかで今までの上げを消化する期間が必要です」、と投資戦略家のサム・ストーボール氏は述べている。
大きな崩れを出すことなく、マーケットが高値圏を維持してこれた理由の一つは、金利引き上げ政策がそろそろ終わる、という仮定があったからだ。しかし、火曜の利上げ後に連銀から発表された声明には、更なる金利引き上げが示唆され、あともう一回で利上げは終わるという一般論が揺らいでしまった。金利、インフレ、経済の減速、やはり下げ相場の準備をした方が良さそうだ。