安い所で買って高く売る。それとも、高く買ってより高い所で売る。どちらの方法が儲かるだろうか?そんな質問をするのは、個人投資家のトマス・ブルコースキー氏だ。「私は2000年から2002年のベアマーケットも含めて、高値を更新した勢いのある株だけを中心に投資してきました。多くの人たちは、私のやり方があまりにも危険だと言います。」世の中には、割安株イコール安全という考え方があるが、それは事実だろうか?ブルコースキー氏の話を続けよう。
「1991年から2005年までのマーケットを調べた結果、こんな事が分かりました。ブルマーケットの場合ですが、年間安値からまだ上げが3割以下の株がブレイクアウトすると、平均で38%の上昇がありました。逆に年間高値からの下げ幅が3割以下の株がブレイクアウトすると、36%の伸びがありました。
3割という設定ではあまり結果に差がないので、もっと数字を低くして1割で調べてみました。これもブルマーケットでの例ですが、年間安値から上げ幅が1割以下の株が上放れすると、平均上昇率は42%でした。そして、年間高値から下げが1割以内の株が上放れすると、平均で36%の上昇がありました。
ブルマーケットだけでは全体像がつかめませんから、ベアマーケットでも同様にデータを集めてみました。年間安値から上げが3割以内の株がブレイクアウトすると32%の上昇があり、年間高値から下げが3割以内の株がブレイクアウトすると伸び率は23%でした。年間安値から上げが1割以内の株が上放れすると、平均上昇率は36%、そして年間高値から下げ幅が1割以内の株がブレイクアウトすると23%の上げがありました。」
安値圏ブレイクアウトに、やや軍配が上がりかけているが、ブルコースキー氏は、こんな調査もしている。「ブレイクアウトの失敗率を調べてみました。ブル、ベアマーケットの両方を含めた数字になりますが、年間安値から上げが1割以内の株が上放れした場合、上昇率が20%以下になる確率は23%ありました。年間高値から下げ幅が1割以内の株を見ると、上昇率が20%以下になる確率は40%でした。」
自分の調査結果に、さすがにブルコースキー氏は驚いたようだ。「単なる机上論だ、と反論される方もいると思いますが、安値圏にある株が、一転反発するところで買うのが最も効果的です。チャートパターンとしては、ダブルボトム(二番底)が分かりやすいと思います。また、安値圏でのMACDやRSIの動きには注意を払う必要があります。株価が安値をつけても、逆にMACDが上がるようなら、これはディバージェンスと呼ばれる現象ですから、買いチャンスが近いサインです。」
安値圏で買うと言っても、下落中の株に手を出してはいけない。先ず下げのストップを確認し、ブルコースキー氏が指摘するように、二番底のようなチャートパターンが出来上がるのを待つことだ。よくアメリカ人が口にするが、落下中のナイフを受け取ろうなどと試みてはいけない。
(ブルコースキー氏のレポートは、トレード専門誌でよく見かける)