先ず質問から始めよう。アメリカで、最も失業率の低い州はどこだろうか?正解は、観光客に人気のあるハワイだ。1月、全米の失業率は4.7%と発表されているが、ハワイは約半分の2.4%だった。低迷する自動車産業に従事する人には羨ましい話だが、AP通信によれば、現在ハワイは労働者不足に直面している。
企業やビジネスオーナーは、様々な好条件を提示して、人材獲得に必死のようだ。実例を挙げよう。ファースト・ハワイアン・バンクは雇用時に払う支度金を倍にしただけでなく、スポーツクラブの会員券も提供している。サクセス・アドバタイジング社の、べス・ブッシュ氏はこう語る。「職探しをしている人たちにとって、ハワイは夢のような州です。どんな人でも、ほぼ間違いなく簡単に仕事を見つけることができます。」
こんな状況だから、会社側は苦労して雇った社員を失いたくない。昇給、特別手当、そして超過勤務時間には割増賃金を払うなどして、社員の機嫌を取っている。
シングルマザーのジョエル・ブランチさん(27才)も、良い条件で就職することができた一人だ。毎週火曜と木曜に仕事を休むことが認められたから、大学へ通学することに全く支障が無い。「子どもと過ごす時間、それに大学のスケジュールに合った仕事を探していましたが、去年の8月、ジョージズ・アビエイションに就職が決まりました。既に昇給もあり、とても満足しています。」
果物をミキサーでジュースにした、スムージーを販売するジャンバ・ジュースは、こんな求人広告を出した。「支店長求む。契約金1万ドル(117万円)。」この契約金を採用時に受け取るには、会社側に最低3年間の労働期間を約束する必要がある。
「社員の採用、そして保持することがとても困難な状態です。どの会社も創造的な方法を使って、社員のニーズに対応しています」、とファースト・ハワイアン・バンク人事部のアイリス・マツモト氏は言う。
なるほど、ハワイなら直ぐ職が得られそうだ。この際、思い切って行ってみよう、と決心される方もいるかもしれないが、その前にいくつか考慮することがある。住宅市場が過熱しているから、なかなか手頃な価格の物件が見つからない。それなら家を借りよう、ということになるが家賃もやたらと高い。景気が良いから、とうぜん人が集まり、道路はいつも混んでいる。それに年間を通じて観光客も多いから、ハワイ住民にとって交通渋滞は悩みの種だ。
とにかく労働者不足のハワイだから、企業はリストラ関連ニュースに敏感だ。こんな報道がある。デルモンテ社のパイナップル工場は、2008年に閉鎖されることが決まった。この情報をつかんだシェラトン・ホテル・ワイキキは、700人の工場従業員をさっそく将来採用した。
ここで、もう一つ質問。こんな好景気は、はたしていつまで続くのだろうか?