Wednesday March 22, 2006

US Market Recap

不動産業界冷えこみがアメリカを不況にする?

ニック・バヨニス氏が、不動産セールスマンを辞めたのは1年前だ。ロサンゼルスの住宅は、過去4年間で140%以上の急騰だから、高収入を夢見て多くの人たちが不動産業界に転職した。しかし、金利上昇で住宅市場は下降が始まり、2月のロサンゼルス地域住宅売上数は、ここ5年間で最低の水準に落ち込んだ。「永久に不動産の好調が続く、とは思っていませんでしたが、本当に良いタイミングで辞めることができました」、とバヨニス氏は言う。

住宅市場の下向きが顕著になった今日、単に不動産セールスマンだけに限らず、多数の不動産関連職が減少しそうだ。USAトゥデイによれば、過去4年間で最も新規雇用が多かったのは不動産関連企業であり、2005年末現在、9.8%に当たる労働者人口が不動産関連企業に就業している。

まだどの程度、米国住宅市場が落ち込むかは分からないが、アメリカを不況から救った不動産だけに、この業界の長期低迷は米国経済に悪影響だ。先月、ワシントン・ミューチュアルは、10の不動産ローンセンター閉鎖を発表した。このため、2500人が職を失う結果となった。去年の11月には、アメリクエスト(不動産ローン会社)も1500人の人員削減を実施している。

ウェルズ・ファーゴー銀行の、スコット・アンダーソン氏はこう語る。「不動産業以外からの雇用創出が伸びないと、アメリカ経済は2007年に不況に襲われる可能性があります。雇用創出率の低下は、個人消費下落に結びつきますから、企業利益も最終的には減少です。」

先月発表された中古住宅販売件数は、5カ月連続の下落となった。住宅建築会社のKBホームズやトール・ブラザーズも、新築住宅需要が減少していることを認めている。エコノミストの見方によれば、今年の住宅販売数は去年のレベルを8%ほど下回ることになりそうだ。

不動産セールスマンのほとんどが、手数料収入に頼っているが、今年は厳しい年になることが予想されている。全米不動産業協会のデータによると、住宅市場が上向きなら、経験が2年までの新人セールスマンの平均手数料収入は年間で12852ドルある。(それ以上の経験年数がある場合は47187ドル)アメリカには、現在260万の不動産セールスマンがいるというから、生存競争も激しくなりそうだ。

ワシントン・ミューチュアルやアメリクエストの例で分かるように、住宅売上が下向きだから、不動産ローン業者も辛い状況だ。レストラン経営をやめて、2002年、不動産ローンブローカーに転身した、トニー・ガウチャー氏の話を聞いてみよう。「住宅は異常な勢いで売れていました。たとえ住宅を購入しない人でも、低金利でしたから、住宅ローンの借り換えが盛んでした。しかし、毎月のように引き上げられた金利のおかげで、去年の夏から不動産ローンビジネスは完全に干上がってしまいました。」

こう書いてくると、アメリカ不動産はお先真っ暗のようだが、JPモルガンのアンソニー・チャン氏は、米国不動産が暴落することはないと言う。住宅市場は下降が既に始まっているが、商業用ビル建築は逆に伸びている。また、存在する25%の住宅ローンは利率変動型だから、完全にローン借り換えビジネスが無くなってしまったわけではない。どちらにしても、投資者たちは金利引き上げ政策終了を待つ今日この頃だ。

Stocks You Need To Know About

チャンネルの効用

ラスベガスのホテル、MGMが格上げされ好調なスタートを切った。下は日足だが、右上がりのチャンネル内で推移しているのがよく分かる。特に上辺は利食いの目安になるから、チャンネルを利用する投資者は多い。赤い線がちょうど真ん中に入っているが、これで株の深追いを防ぐことができる。株が上がっている時は、どうしても買いたくなるが、株価が既に中央の線より上なら出せる利益も少なくなる。

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Wall Street English

ほとんどヒント無し

予想されたように、昨夜の演説でバーナンキ連邦準備理事議長は、具体的な金利政策に関することは、何も語らなかった。しかし、演説内容を分析したエコノミストたちは、こんな意見を発表している。

Economists said the Bernanke speech was not groundbreaking, but perhaps tilted slightly toward the view that the Fed rate hikes would last a little longer and go a little higher than the market now expects.

バーナンキ氏のスピーチには何も目新しいものはなかったが、金利引き上げサイクルは私たちが思っているよりも少し長めになり、金利も予想しているレベルよりわずかに高くなりそうだ。

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