早朝3時から夕方4時まで(ニューヨーク時間)、計13時間の株トレードが実現する可能性がある。ニューヨーク証券取引所は、既に報道されているように、ロンドン証券取引所の買収に乗り出した。ナスダックもロンドンに興味があるようだから、ニューヨークはボヤボヤしていられない。国際化する証券市場に備えて、フランクフルト証券取引所とパリ証券取引所の合併も計画されているようだ。
今日、国際大型企業の株は世界の取引所で売買できる。例えば、ニューヨークマーケット終了後、IBMに悪材料が出ると、早速ホンコン市場でIBMが大きく売られる。あまりにも下げが急激なら、ニューヨーク市場が始まる前に、IBMは底打ちになる可能性があるから、トレーダーたちは、ロンドン市場でIBMに買いを入れる。アメリカでは、深夜勤務の社員がIBMの異変に気がつき、ファンドマネージャーに連絡する。起こされたマネージャーは、ロンドンやパリに電話をしてIBMの買いを命ずる。しかし、ニューヨークがロンドンの買収に成立すれば、アメリカのファンドマネージャーは、海外支社を通さなくても、簡単にIBMが買えることになる。
合併や買収で、大きな国際証券取引所が誕生するば、単に13時間だけでなく、為替のように株も自宅から24時間トレードすることができる。今では、オンライントレードなど当たり前になっているが、10年前にオンライントレードを利用する個人投資家は少なかった。これと同様に、24時間の株トレードも、近い将来当然になるかもしれない。
マジェスティック・リサーチ社の、ダグ・アトキン氏はこう語っている。「24時間トレードを実現するための、テクノロジーは既に存在しています。理論上、国際的な証券取引所はロンドンや東京で取引されている株を自宅から簡単に売買することが可能になりますが、現実的な問題は、はたしてどの程度そんな需要があるかということです。」
24時間トレードは意味が無い、という人たちは次のような点を指摘する。今日、アメリカには時間外取引があるから、本当に売買したければ寄付きまで待つ必要はない。だが現実には、時間外取引の出来高は通常取引の2%にも満たない。だから、たとえ24時間トレードが実現しても、積極的な利用者は現れない、というわけだ。
米国の証券業界は、24時間トレードにあまり乗り気ではない。ニューヨーク証券取引所は、開始時間を1時間早めることを提案しているが、証券会社からの賛成が得られない。ニューヨーク時間の9時半に取引が始まるが、これは西河岸の朝6時半だ。1時間早まれば、社員は5時半前に出勤しなくてはいけない。現行の6時半でも早すぎるのに、5時半などもってのほかだ。
それなら1時間早めるのではなく、終了時間を1時間延ばして5時にするのはどうか?このアイディアも人気がない。特に、ニューヨーク証券取引所の職員が大反対だ。なんでも、ビュッフェ付きの最終列車(コネチカット州グリーンウィッチ行)は4時45分だから、1時間の延長は不都合ということらしい。24時間トレードは、やはり意味が無いのだろうか?