卵子を提供する大学生が増えている。もちろん、女子大生ならだれでも良いというわけではなく、優秀な成績、そして平均以上の容姿などの条件が付く。USAトゥデイによれば、1回の卵子提供で2000ドルから1万ドル(23万4000円ー117万円)が手に入るから、学費稼ぎの一手段として学生の間で人気が上がっている。
アメリカで不妊治療ビジネスが誕生してから、約30年が経過した。今も変わらないが、このビジネスで最も重要な事は、卵子提供者を獲得することだ。しかし、インターネットが発達した今日、卵子提供者探しがより活発になった。「私たちは、赤ちゃんを売買しているのです」、とハーバード大学教授、デボラ・スパー氏は現状の改革を呼びかける。まるで卵子がネット上でオークションされているような状況だから、スパー氏は厳しい規制を提案している。
卵子を提供する場合、先ず提供者は健康診断に合格しなければならない。肉体的そして精神的な問題が無い、と判断された後、提供者は約1カ月間ホルモンを増強させるための注射を受ける。その結果、1回で10から15の卵子摘出が可能になる。
デボラ・スパー氏が主張するように、卵子提供は生命にかかわる事だけに、単にビジネスと割り切ることができない。倫理的な問題でもあるから、感情的な議論にもなりやすい。とにかく簡単に結論が出ないのだが、とうとう政府も動き始めた。
先日、アリゾナ州下院議会は、卵子提供者に対する支払金の禁止を可決した。まだ上院からの認可が必要だが、共和党のボブ・スタンプ氏は、こう述べている。「不妊治療業界は、若い女性を利用しているだけです。多くの学生は、多額の学生ローンという借金があります。そんな弱みに、業者たちはつけこんでいるだけにすぎません。」
さて、現在どんな卵子提供者が一番求められているのだろうか?正解はアジアの女性だ。例えば、クレッグズリスト(オンライン・サイト)には次のような募集がある。「求む。21才から25才のアジア女性。身長は155センチ以上。トップレベルの学校成績必須。報酬は1万ドル。」
中年の男性は、残念ながら卵子提供者になることはできない。だが、不妊治療産業ブームに乗ることはできる。さっそく人気株番組「マッド・マネー」の司会者、ジム・クレーマー氏の意見を聞いてみよう。
「不妊治療と聞いて直ぐ思いつくのは、ニューヨーク証券取引所に上場されているセロノ社(SRA)です。不妊治療だけが専門の会社ではありませんが、セロノはジュネーブに本拠地を置くバイオテクノロジー企業です。ウォールストリートのアナリストたちには人気の無い銘柄ですが、セロノの収益は着実に成長しています。魅力的な会社ですから、買収ターゲットになる可能性もありえます。」
先進国のほとんどは、卵子提供者に対する支払金は違法だ。米国と国境を共有するカナダも、卵子提供者は支払いを受け取る事が禁止されている。そんな状況だから、報酬を目当てにカナダからアメリカに若い女性が殺到しているという。