アラバマ州で狂牛病が報告された。そしてこのニュース直後、農務省は鳥インフルエンザに対しての準備を、本格的に進めていることも報道された。狂牛病や鳥インフルエンザは、単にレストランだけの問題ではない。サンダーソン・ファームズは鶏肉製造加工業者だが、今年に入ってから株価は33%の下落だ。牛肉鶏肉製造加工業者のタイソンも22%程安くなっているから、投資者は胃が痛むことだろう。
全ての肉類がダメなわけではない。現に、豚肉ソーセージで有名な、ボブ・エバンズの株価は1月から28%の上昇だ。去年ナスダック市場で取引が始まった、豚販売業者プレミアム・スタンダード・ファームズは13%の伸びを見せている。
AP通信によれば、「そろそろ渡り鳥の季節ですから、向こう数カ月間以内に、米国の鶏が鳥インフルエンザに感染する可能性があります」、と国土安全保障長官のマイケル・チャートフ氏は語っている。また、アラロン・トレーディングのモルガン・ペイスリー氏は、こう警告する。「鳥インフルエンザは、本当にアメリカを襲うだろうか、というのは正しい質問ではありません。鳥インフルエンザの鶏への感染は時間の問題です。」
世界保健機関の資料によると、2003年以来、鳥インフルエンザが人間に感染したことは175回あり、96人が死亡している。米国の歴史を振り返ってみると、人間への感染を防ぐために、1983年から1984年の間に1700万羽の鳥が殺された。これに費やされた経費は6200万ドルに及んだ。(実際に殺された鶏の数は不明)
アメリカは世界最大の鶏肉生産国であり輸出国でもあるから、鳥インフルエンザの発生によって受ける経済的ダメージは大きい。「鶏に鳥インフルエンザがうつるような事態が発生すれば、アメリカの養鶏業は壊滅の可能性があります。鶏だけでなく豚肉も取り扱っている業者は生存できますが、鶏だけに頼っている業者は生き残ることが難しいと思います」、とペイスリー氏は言う。
アメリカは、デンマークとカナダに次いで、世界第3位の豚肉輸出国だ。2005年、アメリカは110万トン(史上最高)の豚肉を輸出し、輸出量は15年連続で伸びている。
既に狂牛病で牛肉は不安な状態だから、実際に鳥インフルエンザが鶏に感染なら、米国内での豚肉需要は爆発的に増大することだろう。となれば、上記したボブ・エバンズやプレミアム・スタンダード・ファームズは、まだまだ上がるのだろうか?そして、サンダーソンとタイソンは暴落するのだろうか?アナリストたちの意見を要約しよう。
2003年の狂牛病騒動では、マクドナルドやアウトバック・ステーキハウスが投げられた。マクドナルドと同業のウェンディーズも売られたが、2003年5月20日に売った人たちは後悔したことだろう。なぜなら、ウェンディーズは2003年、37%の上昇を記録している。
タイソンとサンダーソンは既に悪材料が織り込まれ、株価はほぼ下げるところまで下げている。割安な株価だから、S&P社のアナリストはタイソンに買い推奨を出している。
ボブ・エバンズが買われているのは、狂牛病や鳥インフルエンザが真の原因ではない。アメリカでは、豚肉が生産されすぎ値段が安い。これは豚肉ソーセージメーカーのボブ・エバンズに好都合であり、高利益につながったわけだ。