物置に埃だらけになったタイプライターがあった。隣には、カセットテープレコーダーや白黒テレビもある。更に奥を見れば、3カ月と乗らなかった自転車、大学時代に使った教科書、それに古雑誌に古新聞、なぜ捨ててしまわなかったのだろう。スペースを無駄にしているだけだ。まるでゴミの山だが、はたしてこの中に価値ある物が埋もれている可能性があるのだろうか?
「株の世界にも、物置と同様な事が起きます」、と言うのは投資コラムニストのリック・ムナリズ氏だ。証券取引所に上場されている、全ての銘柄が注目されているわけではない。理由は様々あるが、いったん投資者に嫌われてしまうと、その銘柄は忘れ去られ、物置の古新聞のように蜘蛛の巣に覆われてしまう。しかし、だからといって埃をかぶった株は投資対象にならない、と断言することもできない。ムナリズ氏の話を聞いてみよう。
「株式市場の歴史を振り返ってみると、見捨てられていた株が復活することは頻繁に起きています。ですから、人々から見向きもされず低迷が続く株は、単に次のチャンスを待っているだけです。
忘れ去られている株には二つの特徴があります。先ず、現在の株価が帳簿価額以下で取引されています。もう一つは、予想される一株利益をもとに計算された株価収益率は16以下です。今日、これら二つの条件を満たす銘柄は66ありますが、4つ紹介しましょう。
PCコネクション(PCCC):2005年度は、ガッカリな内容でした。売上は7%の上昇でしたが、一株利益は逆に33セントから18セントに減少です。現在の株価収益率は15.6ですが、来年度の収益予想を使って出した株価収益率は10です。PCコネクションが上向くには、IT関連製品の売上上昇が鍵です。
ペリー・エリス(PERY):株価収益率は9.2のかなり低い水準です。男性用スポーツウェア専門店、と聞いたら冷たいものが背筋を走るかもしれませんが、ペリー・エリスは着実に成長しています。
ボーダフォン(VOD):大手携帯電話サービスのボーダフォンですが、1999年以来、一株利益は赤字が続いています。経営陣の手腕を疑問視する人たちもいますが、キャッシュフローは健全な状態です。また、買収される可能性もありますから注目したい一銘柄です。
REXストアズ(RSC):大手ベスト・バイと同業種の家電小売業者です。REXストアズは、小さな市や町を中心に224の店舗があります。株価純資産倍率はかなり魅力的ですから、ベスト・バイによる買収もあるかもしれません。
人気が無いだけで、その株をゴミと判断するのは早すぎます。どんなに埃をかぶった株でも、それに価値を見出すことができるなら、恐れずに投資することです。忘れないでください。大化けする株は、最初から人気があったのではありません。ゴミの中から宝を掘り出すのは、長期投資の大きな楽しみです。」
注:上記4銘柄は買い推奨ではなく、ムナリズ氏が提案する投資アイディアであることを強調しておきたい。