人に言えない事を日記に書いたのは、インターネットが発達する前の子どもたちだ。現代の子どもは、親にも兄弟にも知られたくない秘密を、マイスペース・ドット・コムで公表する。シャノン・サリバンさん(14才)も、マイスペース・ドット・コムを頻繁に利用する、ソーシャル・ネットワーカーの一人だ。
しかし、シャノンさんは大きな誤りに気がついた。楽しみながら、色々な情報をマイスペース・ドット・コムで他の人たちと交換してきたが、シャノンさんは、あまりにもプライベートな事をサイトに載せていた。自分の本名だけでなく、顔写真、住所、生年月日、それに電話番号も公開してしまったから、誰でもシャノンさんの家に行くことができる。「私は自分をとても危険な状態においてしまいました。テレビのニュースで、多くの性犯罪者が、マイスペース・ドット・コムのようなソーシャル・ネットワーク・サイトにアクセスしている、と報道しているのを見ました。怖くなったので、私はマイスペース・ドット・コムに載せた全情報を削除しました。」
ソーシャル・ネットワーク・サイトやブログは、性的犯罪、個人情報泥棒などに悪用されてしまうことがあるが、当然それ以外にもブログが注目される理由がある。例えば、多くの大学は学生たちのブログを監視している。キャンパスで起きる問題の一つに、未成年者の飲酒がある。どの寮で何時にパーティーがある、といった情報はブログで発表されるから、キャンパスポリスは見逃すことができない。
サラリーマンも、ブログに書く内容は注意した方が良い。ビジネス・ウィーク誌によれば、社員のブログを監視する企業が増えている。実際の社名は挙げられていなかったが、社員を採用する際、就職志望者のブログを調べる企業も存在するようだ。
ソーシャル・ネットワーク・サイトには、毎日膨大なアクセス数があるから、本格的なビジネスに発展できるかもしれない。そんな訳で、ニュース・コープはマイスペース・ドット・コムの親会社を5億8000万ドルで買収した。ソーシャル・ネットワーク・サイトの収入源は広告だが、フォーレスター・リサーチ社のクリス・チャーロン氏は、こんな事を語る。「多くのスポンサーは、ソーシャル・ネットワーク・サイトに広告を出すことに消極的です。マイスペース・ドット・コムのコンテンツは、利用者たちによって作られたものです。ですから内容は多岐多様です。これでは、どの程度広告効果があるのか全く見当がつきません。」
ジュピター・リサーチ社の、ネイト・エリオット氏も悲観的な意見だ。「マイスペース・ドット・コムの利用者に共通して言えることは、サイトに対する忠誠心が無い、ということです。ようするに、とても移り気なのです。一つのソーシャルグループに参加しても、そこに長居することは先ずありません。それに、もっと刺激的な新しいソーシャル・ネットワーク・サイトトが出来れば、直ぐ皆そちらへ行ってしまいます。また、サイトの登録者数を信用するのも間違いです。登録しただけで、全く利用しない人たちが多く存在することも事実です。こんな状況では、広告主は躊躇してしまいます。」
明確なビジネスモデルが存在しないソーシャル・ネットワーク・サイトは、宝くじのようなものだ、とポール・ケドロスキー氏(ベンチャー・キャピタリスト)は言う。「現時点では、ソーシャル・ネットワーク・サイトの将来性に漠然と期待しているだけです。早く誰かが買収してくれないだろうか、これが投資者の本音です。」