名声は富を生むだろうか?そんな特集が、バンクレート・ドット・コムにあった。アカデミー賞やノーベル賞を取ったら、一生楽をして食っていけそうだが、どうやら必ずしもそうではないらしい。早速いくつか紹介しよう。
アカデミー賞と富
いつ、どのように、そしてどのカテゴリーで受賞したが重要になる。映画評論家のエマニュエル・レビー氏は、こう語る。「映画俳優の年齢は、受賞後の収入に決定的な要素になります。若ければ若いほど有利です。初めてのノミネートで受賞することも、収入を大きく増やす結果になります。典型的な例は、ダスティン・ホフマンです。1967年、「卒業」で29才の時アカデミーを受賞しましたが、出演料は1万7000ドルでした。しかし、受賞後は一気に40万ドルに跳ね上がっています。
映画俳優としてスランプ状態にある時の受賞も、収入に素晴らしい効果を与えます。好例はヒラリー・スワンクです。1999年、「ボーイズ・ドント・クライ」でアカデミーを取りましたが、その後まったく良い映画に恵まれず、俳優としてスランプに陥ります。そんな状況で現れたのが、スワンクの女優としての才能を正しく評価していたクリント・イーストウッド監督です。結果は、イーストウッド監督の目に狂いはありませんでした。「ミリオンダラー・ベイビー」で、スワンクは2度目の受賞をはたし、トップスターの座も獲得しました。」俳優や監督の受賞は収入を大幅に伸ばすが、それ以外の部門での受賞は単なる名声に終わるようだ。
トニー賞と富
トニー賞は、ブロードウェイ俳優に与えられる最高の賞だ。「アカデミー賞は直ぐ収入に影響しますが、トニー賞が直ぐ高収入に結びつくことはありません」、と演劇評論家のデービッド・シェワード氏は言う。「トニー賞は名誉ある賞ですが、受賞後の収入は5%から10%上がる程度です。受賞後、映画に出演して収入を大きく増やす道もありますが、ラスベガスでの公演も割りの良い収入になります。現にブロードウェイのスターは、ラスベガスで2万ドルから3万ドルの収入が一週間で得られるようです。」
ノーベル文学賞と富
「大きな賞は本の売上を上昇させますが、ノーベル文学賞は売上には好影響になりません」、と指摘するのはプレーリー・ライツ社のポール・イングラム氏だ。「ノーベル賞は作家の全作品が評価された上で与えられる物であり、一つの作品だけが対象になるわけではありません。ノーベル賞を受賞した作家に共通しているのは、受賞前に一定の読者層が既にあったという事実です。ですから受賞が原因となって、読者数を更に大きく伸ばすことは稀です。」本の売上は増えないかもしれないが、ノーベル賞の賞金額は魅力的だ。1千万スウェーデン・クローナだから、約1億5000万円になる。
詩人と富
詩を書くだけでは食べていけない。だが、詩人にも賞金が得られる賞がある。ノーベル賞とは比べ物にならないが、ウォレス・スティーブンズの賞金額は約1600万円だ。受賞後も各出版社から引っ張りだこ、ということは無いから、詩人の重要度は低い。
誰もが映画スターになれるわけではない。スターになったからといって、アカデミー賞が約束されたわけでもない。好きこそものの上手なれ。好きなことをして食べていけたら幸せだ。