投資者に共通して見られることは、非論理的になりやすく、自分たちの意見を過剰評価することだ、とエール大学教授、そしてイボットソン・アソシエーツ創始者のロジャー・イボットソン氏は言う。効率的市場という理論があるが、これは投資者に先入観が無く、論理的に適切な判断ができることを仮定している。もしこの理論が事実なら、株価は正当評価額を上回ることは決して無い。
1990年代の終わり、米国投資者は超割高になったインターネット銘柄に殺到した。長年にわたる心理学者たちの研究によれば、私たちが何かの決定をする時は、決まったようにに不合理な判断をする傾向がある。心理学と経済学が結びつくことで、行動経済学という新部門が誕生した。
行動経済学は、既に私たちが気がついている、現実の投資者は非論理的であり、状況を自分たちの都合の良い方向だけでしか判断できないことを証明した。投資者の近視的な行動が、結果的に不動産バブルやインターネット株バブル、そして季節的に起きる株の1月現象などを作り上げるわけだ。
投資で成功するためには、不合理な道理に合わない行動を排除しなくてはいけない。投資者が陥りやすい、5つの悪い癖を、イボットソン氏に説明してもらおう。
1、投資者は身近な株に引きつけらる。
米国投資者の401K口座(企業年金制度、確定拠出型年金)を見てみると、ほぼ25%が自社株で占められ、外国株はたったの7%しかない。海外マーケットを無視することは大きな利益を逃すことになり、自分に身近な株だけではバランスのとれた投資ができない。
2、投資者は感情に支配される。
後悔することを避けるために、投資者は中々損切りができない。どんなに株価が下がっても、もとの値段に戻ることを信じて持ち続ける。また、首尾よく株価が上がってもジックリと株を保持することができない。これも後悔を避けるためが原因だ。今売らなければ、明日は下がってしまう。そうなる前に利食っておこう、というわけだ。
3、投資者は自分の能力を過剰評価する。
これは女性よりも、男性が犯しやすいミスだ。自分は他の投資者よりも優れている。絶対に自分は、平均的な投資者ではない。ウヌボレと言うこともできるが、これは頻繁すぎる売買に結びつき、結果的に多額な手数料を支払うことになる。
4、近視的な状況判断。
有望な銘柄を見つけると、投資者は必要以上の資金をそれに割り当てる傾向がある。これで勝負だ、と大きな賭けに出るが、これは投資資金を分散させることを忘れた不適切な行動だ。ホームラン銘柄が、そう簡単に発見できることは無い。常にバランスを考慮して、衝動的な売買を避けたい。
5、貯蓄意識が無い。
株やファンドに投資していても、投資者には長期的な目標が無いから、儲かると直ぐ使ってしまう。現に、アメリカ人の貯蓄率は大恐慌以来初めてマイナスになり、貯蓄意識の欠乏が明確に表れている。長期的な視野に基いて、老後や子どものために着実な投資をしたい。