トレンド・ノックアウト、ダブルトップ・ノックアウト、蝶ネクタイ。変な名前だが、これらはスイング・トレーダー、デイブ・ランドリー氏の得意技だ。単にトレードだけでなく、投資アドバイザーとしても活躍する氏には、さまざまな質問や相談が持ち込まれる。ここで、最も多い相談の一つをランドリー氏に語ってもらおう。
「見るからにボディービルダー、まるでアーノルド・シュワルツェネッガーのような男性からの相談でした。仕事を辞めて、来週からデイトレーダーになると言うので、どの程度の経験と実績があるかを聞いてみました。回答は、全くの初心者なので来週からセミナーなどを受けて徹底的に勉強するつもり、というものでした。
いきなり会社を辞めるのではなく、少しずつトレードの勉強をしていくことを勧めましたが、よほど決心が固いと見え、なかなか説得することができません。その時、ふとある考えが浮かびました。夕食を兼ねての相談だったので、私は少し突き出た腹を軽き叩きながら、こう言いました。今夜はダイエットを忘れて、大いに食べよう。来週からボディービルディングを始めて、来月の大会で優勝を狙うことにしよう。この言葉で、彼は納得してくれました。」
先ず夢を持つこと。そして現実的な計画に従ってゴール達成に向けて歩み続ける。ここで、トレードを成功に導く8つのルールをランドリー氏から紹介してもらおう。
1、理論的に正しいトレード方法を身に付けること
火星と金星の並び方が悪いから、今日は株が下がる。天秤座の位置が株式指数に好影響を与えそう。占いのような手法に頼るのではなく、統計の裏付けがある、確率の高いパターンだけを習得しよう。
2、株数は少なめに
どんなに確実に見えるパターンでも、必要以上に多い株数を買ってはいけない。たった一度のトレードが、口座残高に大打撃を与えることがあることを覚えておこう。
3、ニュースは無視
良いニュースだからといって直ぐ買うのはいけない。肝心なのはニュースではなく、ニュースに株価がどう反応するかだ。
4、トレード手法の利点欠点を理解すること
横ばいマーケットでうまく行く手法は、トレンドが明確なマーケットでは役に立たないことが多い。状況に合わせて、トレード手法を使いこなそう。
5、最善の銘柄を選ぶこと
将来に期待して、いつ上がるとも分からない銘柄を買ってはいけない。買うなら強い上昇基調にある、しっかりした株だけを狙うことだ。
6、毎日トレードする必要は無い
絶好なコンディションが毎日訪れるはずがない。トレードは、自分が設定する条件が全て揃った時だけだ。
7、全体的な流れを把握すること
個別銘柄だけに目が行ってしまうが、マーケット全体、それに各セクターのトレンドにも気をつけよう。
8、適切なトレード管理
株が買えたら直ぐ損切り注文を入れること。思惑どおり株が上がったら、一度に全部売るのではなく、分散して利食うことが大切だ。
ランドリー氏は、8番目の売りを分散させることを特に強調する。誰にでも経験のあることだが、売ったとたんに株が暴騰することがある。また、損切りの値段設定にも注意が必要だ。あまりにも見え透いた位置に損切りを入れることは、マーケットメーカーにみすみす株を奪われる結果になりやすい。それを防ぐには、買値から25セント下がったら損切る、といったように皆が好む最近の安値などを利用しないことだ。