1995年1月17日、神戸を襲った大地震は24万の家屋を破壊し、6000人以上の命を奪った。救助隊の直接的な働き以外にも、日本全国そして海外から薬、食料品、毛布、テントなどが送られた。こんな過酷な状況で、生存者の方々が最も欲した物の一つは水だった。清潔な水を飲みたい。体を洗いたい。ご飯を炊きたい。とにかく水が切望されたようだ。
「1950年以来、世界の人口は2倍になりました。しかし、水の使用量は2倍ではなく3倍に膨れ上がっています。石油なら、新しい油田を開発することで供給量を増やすことができますが、水はそう簡単にいきません。どんなに科学が発達しても、水を生産することはできません。」、とアナリストのジョン・ディッカーソン氏は言う。
エキスパートの調べによれば、中国には水不足が見られるようだ。近代化が進む中国には、カナダとほぼ同量の水があるが、中国の人口はカナダの100倍に相当する。更に、中国の総水量を中国人一人当たりに換算してみると、その量は世界平均の四分の一しかない。そのため中国の440の市は、定期的な水不足に悩まされている。
半導体、バイオテクノロジー、エネルギー、鉄などが投資対象に選ばれることが多いが、忘れてはいけないのが水だ。投資ニュースレターのエディター、ジョン・マークマン氏は興味深い例を挙げている。
「今年の動きを見てみましょう。バイオテクノロジー指数は8%の上昇、半導体指数は+6%、エネルギー・セクター指数は2%増、そして鉄などのベーシック・マテリアルズ指数は+3%です。まだこの存在を知らない人が多いのですが、水関連株に投資する、パワーシェアズ・ウォーター・リソース・ポートフォリオ(PHO)、という上場投信がありますが、これはなんと既に15%の上昇です。
私たちは鉄が無くても生きていけます。オイルを使わなくても、死ぬことはありません。もちろん、金(ゴールド)も生活必需品ではありません。しかし、水無しでは絶対に生きていくことは不可能です。長くても、10日ともたないことでしょう。水の需要は、毎年上がっています。水は金利、インフレ、不況、そして為替レートなどに左右されることのない、誰もが必要とする貴重な物資です。
誤解を防ぐために、一つ説明しておきましょう。地球上から水が無くなってしまうことはありません。科学者たちが言うように、現在地球には1千万年前と同じ量の水があります。問題は環境汚染が進み、安心して飲める水が不足するということです。現に中国が直面する水不足も、この環境汚染が原因です。
宇宙船から地球を見ると、豊富な水があることが分かります。しかし、安心して飲めるのは1%にも満たないのです。国連の統計によると、今日10億人の人たちが水不足に直面しています。この状況は更に深刻になることが予測され、2025年には、25億人の人々が極度の水不足に陥るようです。人類はオイルをめぐって、何度も戦争を起こしました。ある専門家の意見ですが、近い将来、アフリカと中東で水権利獲得をかけて戦争が始まる可能性があるようです。」水投資、どうやら考えてみる必要がありそうだ。