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世界的な不動産ブーム

まだ購入するつもりですか?そんなヘッドラインが目に飛び込んで来た。エコノミスト誌の報道によれば、現状では、住宅を買うよりも借りた方が割安になるという。2002年、世界住宅指数は生温い状態だったが、今この指数は多くの国々で沸騰している。更に付け加えれば、既に住宅市場の冷えこみが始まった国もある。

最も極端な下落を見せたのはオーストラリアだ。2003年、住宅価格は19%の上昇だったが、2005年第4四半期、この数値は+2.7%に落ち込んだ。コモンウェルス・バンク・オブ・オーストラリアの発表によれば(実際に売れた価格ではなく、契約書にサインした時点での価格が使われている)、2005年、平均住宅価格は7%の減少となり、地域別ではシドニーが16%の大きな下げとなった。最近また利上げが実施されたばかりだから、住宅市場は更に冷えこみそうだ。

イギリス住宅市場も、去年の夏から下向きになっている。2月終了時点で過去1年間を計ると+10%の結果なのだが、2005年7月から2006年2月で見るとマイナス20%だ。特定地域の物件だけが下げているのではなく、イギリス全体が不調のようだ。

今年に入りスローダウンが報告される米国住宅市場は、2005年、平均住宅価格は11.2%の上昇だった。特に伸びたのは、+20%のカリフォルニア州とワシントンDC地区だ。前連邦準備理事議長、アラン・グリーンスパン氏は不動産バブルを懸念していたが、全米不動産業協会の調査によれば、25%の物件は投資目的で買われ、オーナーが住むために購入されたわけではない。

ヨーロッパ大陸に目を移そう。フランスの平均住宅価格は16%増、そしてスペインがプラス17%だ。イタリア、スウェーデン、それにベルギーは10%以上の上げだったが、ドイツは下げている。ユーロ地域全体では、平均住宅価格は12.5%の上昇になり、ヨーロッパ中央銀行の金利政策に影響しそうだ。

オーストラリアとイギリスで住宅市場が冷え込んでいるのは、住宅価格が上がり過ぎ、初めて購入する人たちには困難な水準になってしまったためだ。しかし、借りる場合なら家賃はわずかに上がった程度で、地域によっては下がっている所もある。

エコノミスト誌は「家賃利回り」、という耳慣れないものを計算しているが、アメリカ、イギリス、スペイン、ニュージーランド、それにオーストラリアでは、家賃利回りが3.5%に満たない。これでは不動産ローンの利子以下だから、事実上家賃収入は利益になっていない。特にシドニーの家賃利回りは1%ということだから、オーナーは赤字に近い状態らしい。

それでは、サンフランシスコで80万ドルの住宅を購入して、毎月2000ドルで貸したとしよう。毎年家賃を3%の割合で値上げしていくと、7年後(固定資産税、不動産ローンも考慮)オーナーは12万ドル余分に支払っていることになるから、買うよりも借りた方が割安と結論することもできる。低金利時代なら別だが、金利が上昇しているアメリカやヨーロッパでは、住宅が割高になったようだ。

今年も歴史は繰り返す?

今年度後半、米国経済は減速する、という見方が強まってきた。ということは、持ち株を早々に全て処分した方が良いのだろうか?アメリカ株式市場の歴史をガイドにするなら、向こう6カ月間は舗装されていない道を運転することになるが、その後には強力なラリーが期待できる。

「人によって投資目的が違うように、短期投資型の人もいれば、長期投資専門の人もいます。全体的な相場観を持つことは構いませんが、それだけでポートフォリオ内容を極端に変えてしまうのは間違いです。たしかに、次の数カ月間は難しいマーケットになる可能性がありますから、目標株価に達した物を利食うのは悪くないアイディアです。これで重要な現金が手に入りますから、夏の終わりに予期される底での買いに備えることができます」、とクラーク・キャピタル・マネージメントのハリー・クラーク氏は言う。

ここで過去の様子を振り返ってみよう。大統領の任期二年目は、株式市場が低迷する傾向がある。2006年は、ブッシュ大統領の二期目の二年目だ。更に、スタンダード・アンド・プアーズ社の調べによれば、大統領任期二年目の第2四半期と、第3四半期が特に悪い。

1945年から2005年までの結果を紹介しよう。大統領任期の二年目の第1四半期、株式市場は平均で0.8%の上昇があった。第2四半期はマイナス2.0%、第3四半期は2.2%減、そして第4四半期は+7.6%だ。これが今年も繰り返されることになると、第2四半期が始まる4月から、第3四半期が終了する9月まで、マーケットは下向きになる。そして、秋には嬉しい上げ相場が待っているわけだ。

逆に最も調子が良いのは、大統領任期の3年目だ。第1四半期は+7.5%、第2四半期は+5.3%、第3四半期は1.9%増、そして第4四半期はプラス2.8%だ。

大統領の任期に関係なく、毎年第3四半期は成績がパッとしない。どうしてかお分かりになるだろうか?第3四半期は、7、8、9月の三カ月だから夏休みシーズンだ。機関投資家や、ファンドマネージャーはゴルフコースやヨットの上だから、マーケットは必然的に閑散としてしまう。

今年も歴史は繰り返すのだろうか?米国市場がブルマーケットに入ってから、既に3年が経過した。こんなデータがある。過去100年間で、ベアマーケットは3.3年に1度の頻度で訪れている。とすれば、そろそろ下げ相場が来ても、おかしくない頃だ。「2002年の10月から上げ相場が続いていますが、ほとんど大したプルバックが無いまま、ここまで来てしまいました。例えばS&P500指数ですが、10%以上の下方修正は、最近3年間で一度もありません。ですから、どこかで今までの上げを消化する期間が必要です」、と投資戦略家のサム・ストーボール氏は述べている。

大きな崩れを出すことなく、マーケットが高値圏を維持してこれた理由の一つは、金利引き上げ政策がそろそろ終わる、という仮定があったからだ。しかし、火曜の利上げ後に連銀から発表された声明には、更なる金利引き上げが示唆され、あともう一回で利上げは終わるという一般論が揺らいでしまった。金利、インフレ、経済の減速、やはり下げ相場の準備をした方が良さそうだ。

次はどの業種が注目されるだろうか?下の週足チャートで分かるように、オイル価格の急騰が主な原因となって、エネルギー・セクターが、過去2年間大きな上昇を展開した。

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上昇波動に最初から終わりまで乗るのは難しいが、どうやったら次の人気セクターを見つけることができるのだろう?こんな時、いつもヒントを与えてくれるのが、投資アドバイザーのハリー・ドマッシュ氏だ。さっそく話を聞いてみよう。

「どの株を買うべきか、といった個別銘柄選択が重要視されますが、投資で成功するためには、先ず適切なセクターを選ぶことから始まります。例えば、ここ数年間では平均以下のオイル銘柄が、トップクラスの出版銘柄を上回る好成績を出しています。ですから、下降基調にあるセクターではなく、強いセクターの銘柄を買うことが大切です。

上昇率に違いは生じますが、同セクターに属する銘柄は、株価の動き方がよく似ています。何と言っても同じ業種ですから、企業Aに好都合な条件は、ライバル会社にも良い結果をもたらすことになります。」

ミューチュアルファンドや機関投資家は、多くのアナリストを使ってマーケットを絶えず監視している。次のマーケットテーマをつかむには、どの業種から資金が逃げ出し、どこへ流入しているかを、いち早くつかむ必要がある。情報が揃ったら、あとは将来性の無いセクターから資金を引き上げて、次の主役セクターに資金を移動させるだけだ。これがセクター・ローテーションと呼ばれるものだが、個人投資家にとって肝心なのは、早期段階でセクター・ローテーションに気がつくことだ。ドマッシュ氏の話を続けよう。

「一口にセクターと言っても、そのセクター内の全銘柄が一斉にファンドによって買われるわけではありません。最初に買われるのは、ごく限られた数銘柄だけです。ですから私たちは、特異な動きを示す銘柄に注意を払わなくてはいけません。」

特異な動き、とドマッシュ氏は言うが、これは株価の推移ではなく、ファンダメンタルズに関する二つのことだ。
1、ウォールストリートのアナリストが大幅に収益や売上を上方修正している。
2、最近の収益や売上が、実際にアナリストの予想を大きく上回っている。

ドマッシュ氏によれば、大手証券のアナリストが意見を極端に上方修正すると、ほとんどの場合、株価はつられたように上がる。「もう一つ忘れてはいけないことは、いったん収益が上昇修正されると、他社のアナリストも後を追って、上方修正発表をする傾向があります。」

さて、それでは上記2つの条件に当てはまる上位200銘柄を見てみると、面白いことが分かる。半導体と言えば現在低迷中のセクターなのだが、半導体銘柄に対するアナリストの強気意見が目立つ。実際に名前を挙げれば、クレデンス・システムズ(CMOS)、アシスト・テクノロジーズ(ASYT)、それにウルトラテック(UTEK)などがある。

逆にアナリストの弱気意見が多いのは、インターネット・インフォメーション・プロバイダ、そしてインターネット・ソフトウェア関連だ。例を挙げれば、アプティマス(APTM)、ホームストア(HOMS)、シャンダ・インターアクティブ(SNDA)などだ。

銘柄を選ぶ方法として、ジェームズ・アルチャー氏(投資アドバイザー)は、こんなことを付け加えている。「インフレ懸念、貿易赤字など不安材料の多い今日このごろですから、経済にあまり左右されない業種を選ぶことも大切です。H&Rブロック(HRB)は好例です。経済が落ち込んでも人々は税金を免れることはできません。H&Rブロックは、税金のアドバイスから申告書作成まで全てやってくれますから、経済の浮き沈みに関係なく伸びが期待できます。問題は、現在ニューヨークから告訴されているので、実際に買うのは、判決が出てからになります。」

ある投資家の調査結果

安い所で買って高く売る。それとも、高く買ってより高い所で売る。どちらの方法が儲かるだろうか?そんな質問をするのは、個人投資家のトマス・ブルコースキー氏だ。「私は2000年から2002年のベアマーケットも含めて、高値を更新した勢いのある株だけを中心に投資してきました。多くの人たちは、私のやり方があまりにも危険だと言います。」世の中には、割安株イコール安全という考え方があるが、それは事実だろうか?ブルコースキー氏の話を続けよう。

「1991年から2005年までのマーケットを調べた結果、こんな事が分かりました。ブルマーケットの場合ですが、年間安値からまだ上げが3割以下の株がブレイクアウトすると、平均で38%の上昇がありました。逆に年間高値からの下げ幅が3割以下の株がブレイクアウトすると、36%の伸びがありました。

3割という設定ではあまり結果に差がないので、もっと数字を低くして1割で調べてみました。これもブルマーケットでの例ですが、年間安値から上げ幅が1割以下の株が上放れすると、平均上昇率は42%でした。そして、年間高値から下げが1割以内の株が上放れすると、平均で36%の上昇がありました。

ブルマーケットだけでは全体像がつかめませんから、ベアマーケットでも同様にデータを集めてみました。年間安値から上げが3割以内の株がブレイクアウトすると32%の上昇があり、年間高値から下げが3割以内の株がブレイクアウトすると伸び率は23%でした。年間安値から上げが1割以内の株が上放れすると、平均上昇率は36%、そして年間高値から下げ幅が1割以内の株がブレイクアウトすると23%の上げがありました。」

安値圏ブレイクアウトに、やや軍配が上がりかけているが、ブルコースキー氏は、こんな調査もしている。「ブレイクアウトの失敗率を調べてみました。ブル、ベアマーケットの両方を含めた数字になりますが、年間安値から上げが1割以内の株が上放れした場合、上昇率が20%以下になる確率は23%ありました。年間高値から下げ幅が1割以内の株を見ると、上昇率が20%以下になる確率は40%でした。」

自分の調査結果に、さすがにブルコースキー氏は驚いたようだ。「単なる机上論だ、と反論される方もいると思いますが、安値圏にある株が、一転反発するところで買うのが最も効果的です。チャートパターンとしては、ダブルボトム(二番底)が分かりやすいと思います。また、安値圏でのMACDやRSIの動きには注意を払う必要があります。株価が安値をつけても、逆にMACDが上がるようなら、これはディバージェンスと呼ばれる現象ですから、買いチャンスが近いサインです。」

安値圏で買うと言っても、下落中の株に手を出してはいけない。先ず下げのストップを確認し、ブルコースキー氏が指摘するように、二番底のようなチャートパターンが出来上がるのを待つことだ。よくアメリカ人が口にするが、落下中のナイフを受け取ろうなどと試みてはいけない。

(ブルコースキー氏のレポートは、トレード専門誌でよく見かける)

チャートと言えば、日本ではローソク足チャートが主流になる。しかし、アメリカでは下のようなバーチャートだ。

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全体的な流れは、バーチャートでも確認することはできるが、何かシックリしないものを感じられるのではないだろうか。それとも、慣れてしまいさえすれば、チャートの種類などどうでもよいことだろうか?

証券業界で25年以上の経験がある、スティーブン・ビガロウ氏はローソク足(キャンドルスティック・チャート)の大ファンだ。15年前にローソク足を発見したというから、氏はアメリカでいち早くローソクチャートを取り入れたパイオニア的存在だ。

いったいキャンドルスティックのどこに、ビガロウ氏は引かれたのだろう?氏の話を聞いてみよう。「株式投資の秘訣を、かなり長いこと探し続けてきました。手法に関する本やレポートは、全て読み尽くしたことでしょう。しかし、キャンドルスティックが、一大転換点になりました。ローソク足には、売買のタイミングが明瞭に表れます。ブルマーケット、ベアマーケットは関係ありません。もちろん、ローソク足は株だけに限らず先物市場にも使うことができます。」

ローソクチャートを見慣れた私たちにとって、ビガロウ氏の意見は新鮮な響きがある。氏の話を続けよう。「米相場の時代から、日本ではローソクチャートが使われていたようです。アメリカで一般的なバーチャートと、ローソク足の決定的な違いは何でしょうか?バーチャートの場合、高値と安値ばかりが注目されますが、ローソクチャートは始値と終値に最大の注意が払われます。」

投資心理という言葉があるように、株式市場は投資者の感情に左右される。この大衆心理も、ローソク足には明確に表示される、とビガロウ氏は言う。「キャンドルスティックを観察することで、感情的になった大衆を理解することができるだけでなく、それをトレードに利用することが可能になります。とにかく、先ずキャンドルスティックの読み方を身につけなければいけません。ローソク足は長期投資、スイングトレード、そしてデイトレードにも効果的に活用することができます。」

ここで思い出すのが、アメリカにローソクチャートを紹介したスティーブ・ニソン氏だ。もう15年以上も前の話になるが、先物市場アナリストとしてシアソン・リーマン・ハットンに勤務していた氏は、分析にローソクチャートを利用していることを、同僚や上司に打ち明けたことはなかったという。しかし今日、多くのトレーダーは氏に感謝のメールを送っている。ニソン氏のセミナーや本を通して、米国トレーダーたちは「同時」、「はらみ」などの新しい知識を得た。

ローソク足の利点について、ニソン氏はこう語っている。「バーチャートに応用できる物は、全てキャンドルスティックに適用できます。それだけではなく、ローソクチャートには独特な売買シグナルがあります。同時は既に有名ですが、かぶせ足、切り込み線など例は豊富です。ローソクチャートの最も優れている点の一つは、バーチャートよりも反転シグナルがハッキリと表れることです。」

さて、もう一度ローソクチャートの本を読み返してみよう。

ハワイへ出稼ぎ?

先ず質問から始めよう。アメリカで、最も失業率の低い州はどこだろうか?正解は、観光客に人気のあるハワイだ。1月、全米の失業率は4.7%と発表されているが、ハワイは約半分の2.4%だった。低迷する自動車産業に従事する人には羨ましい話だが、AP通信によれば、現在ハワイは労働者不足に直面している。

企業やビジネスオーナーは、様々な好条件を提示して、人材獲得に必死のようだ。実例を挙げよう。ファースト・ハワイアン・バンクは雇用時に払う支度金を倍にしただけでなく、スポーツクラブの会員券も提供している。サクセス・アドバタイジング社の、べス・ブッシュ氏はこう語る。「職探しをしている人たちにとって、ハワイは夢のような州です。どんな人でも、ほぼ間違いなく簡単に仕事を見つけることができます。」

こんな状況だから、会社側は苦労して雇った社員を失いたくない。昇給、特別手当、そして超過勤務時間には割増賃金を払うなどして、社員の機嫌を取っている。

シングルマザーのジョエル・ブランチさん(27才)も、良い条件で就職することができた一人だ。毎週火曜と木曜に仕事を休むことが認められたから、大学へ通学することに全く支障が無い。「子どもと過ごす時間、それに大学のスケジュールに合った仕事を探していましたが、去年の8月、ジョージズ・アビエイションに就職が決まりました。既に昇給もあり、とても満足しています。」

果物をミキサーでジュースにした、スムージーを販売するジャンバ・ジュースは、こんな求人広告を出した。「支店長求む。契約金1万ドル(117万円)。」この契約金を採用時に受け取るには、会社側に最低3年間の労働期間を約束する必要がある。

「社員の採用、そして保持することがとても困難な状態です。どの会社も創造的な方法を使って、社員のニーズに対応しています」、とファースト・ハワイアン・バンク人事部のアイリス・マツモト氏は言う。

なるほど、ハワイなら直ぐ職が得られそうだ。この際、思い切って行ってみよう、と決心される方もいるかもしれないが、その前にいくつか考慮することがある。住宅市場が過熱しているから、なかなか手頃な価格の物件が見つからない。それなら家を借りよう、ということになるが家賃もやたらと高い。景気が良いから、とうぜん人が集まり、道路はいつも混んでいる。それに年間を通じて観光客も多いから、ハワイ住民にとって交通渋滞は悩みの種だ。

とにかく労働者不足のハワイだから、企業はリストラ関連ニュースに敏感だ。こんな報道がある。デルモンテ社のパイナップル工場は、2008年に閉鎖されることが決まった。この情報をつかんだシェラトン・ホテル・ワイキキは、700人の工場従業員をさっそく将来採用した。

ここで、もう一つ質問。こんな好景気は、はたしていつまで続くのだろうか?

なんでいつもこうなのだろう、と経済コラムニストのチャック・ジャフィー氏は溜め息をつく。「株式市場は天井を形成しているかもしれない今日、テレビでは何に投資するべきかが盛んに討論されています。雄牛の群れは、とうに目の前を走り去ったのですが、今になってやっとマスコミはブルマーケットに気がついたようです。」

えっ、米国市場はブルマーケットだったの?と言う人のために、ジャフィー氏はこんな説明をしている。「過去3年間を振り返ってみましょう。ほぼ全ての株式指数は、2003年3月に底打ちになりました。それ以来、小型株指数のS&P600は120%の上げ、大型株指数のS&P500は70%の上昇です。以前記録した5000ドルには、まだほど遠いですが、ナスダック指数も2003年から80%以上の伸びです。」

投資アドバイザーの、クレッグ・キャラハン氏はこう述べている。「今回のブルマーケットは、90年代のブルマーケットとは違った性格です。90年代は、収益が無くても、成長株というだけで株価は暴騰しましたが、今回は収益の裏付けがあります。エネルギー銘柄が大きく上げましたが、収益も同様な伸びですから、株価が正当評価額から、かけ離れすぎるという現象は起きていません。」

ブルマーケットは、市場全体が超割高にならない限り終了しない。キャラハン氏の意見が正しければ、既に3年が経過する上げ相場には、まだこれからも上昇する可能性が残っている。ジャフィー氏の話に戻ろう。

「現在のマーケット状況を正しく理解することの重要性は誰でも分かっていますが、問題は投資者の心理状態です。熱狂的な90年代のブルマーケットに比べれば、今回の上げは単なる安値からの反発、といった程度にしか見えません。特に90年代のインターネット株を経験した人なら、過去3年間の上げ相場には、何の魅力も感じなかったことでしょう。」

投資心理を研究する、リチャード・ガイスト氏もジャフィー氏に賛成だ。「多くの投資者は、現在のブルマーケットを認めることができません。確かに株式市場は3年間の上げが続いていますが、投資者たちの口座残高は、まだ90年代のレベルまで回復していません。せめて口座残高が元通りになれば、ブルマーケットを信じることができたのですが、現状では上げ相場という実感がわきません。ですから、大衆はサインを待っているのです。最近テレビでは、株の話題を取り上げることが多くなっています。これを買い出動サイン、と受け取る個人投資家が増えることでしょう。」

ガイスト氏は、株式市場の下方調整が近いことを強調しているが、更にこう付け加える。「もし、これから買うのでしたら、過去3年間で大きく上げた銘柄は避けるべきです。一銘柄だけに集中投資するのではなく、資金を分散させることも大切です。」

コーナーストーン・ウェルス・マネージメントの、レス・ナンバーグ氏の意見も記しておこう。「株で儲けた、という話を聞くようになったら、用心しないといけません。歴史を見ると、個人投資者たちは既に大きく上がった物だけを買う傾向があります。それでも最初のうちは利益が出るのですが、常に割高な物ばかりを追いかける結果になってしまいます。」

90年代のブルマーケットは、あまりにも強烈だった。まるでスペースシャトルが発射するような勢いだったから、やはり今日のマーケットでは物足りなさを感じてしまう人が多いのだろう。どちらにしても、上げが3年続いたことは事実だ。ガイスト氏が言うように、そろそろありそうなプルバックに警戒したい。

飛行機と昇格

マーシー・スミスさんが会社を辞めたのは、飛行機恐怖症が原因だった。USAトゥデイによれば、2年前、スミスさんはフィラデルフィアでの会議に出席するため、アトランタで飛行機に乗った。席についたところまでは良かったのだが、やはり怖くてたまらない。結局パニック状態に陥ってしまい、スミスさんは飛行機から逃げ出してしまった。

CNN、ギャラップ社、そしてUSAトゥデイの調べによると、27%の成人が飛行機に乗ることに何らかの恐怖を感じ、9%が極度の恐怖を感じる、と回答している。飛行機恐怖症のために、多くのアメリカ人が昇給のチャンスを逃しているのは事実だが、企業側も被害を受けている。本当ならAさんを重要な商談に送りたくても、Aさんの飛行機恐怖症がそれを許さない。代わりにBさんを起用することになるが、Aさんほど専門知識が無い。これでは、商談が難航する可能性がある。

2001年9月11日、テロリストにハイジャックされたジェット機が、ニューヨークの世界貿易センターに体当たりした。この事件を境に、飛行機での旅に不安を感じる人が増えたが、こんな事実もある。「9月11日以前は、上司に飛行機恐怖症を打ち明ける人は、ほとんどいませんでした。しかし、テロを理由にすることで、飛行機恐怖症は正当化され、遠方への出張を簡単に免れることができるようになりました」、と不安障害協会のジェリリン・ロス氏は言う。

トニー・コーンハイザー氏も、飛行機恐怖症に苦しむ一人だ。氏はスポーツ・ジャーナリストだから、場所がどこであろうと、競技場に行かなければならない。ニューヨーク、ダラス、シカゴ、とフットボールの試合を追うこともあるようだが、コーンハイザー氏は、会社から特別に手配されたバスで移動している。飛行機ならロサンゼルスからニューヨークまでは約5時間15分ほどだが、バスだと4日はかかるから大変だ。

ジェリリン・ロス氏は、全ての飛行機恐怖症に悩む人たちは、精神医などの専門家に相談することを勧めている。絶対に治るという保証は無いが、カウンセリングやセラピーを繰り返すことで、ほぼ90%の人たちが、飛行機に乗れるようになるようだ。

ジョンズ・ホプキンズ大学のアラン・ラングリーブ氏によれば、飛行機恐怖症が仕事に支障を来たさない限り、専門医が利用されることはない。「このビジネス会議に出席しなかったら昇進できない。大事な社員教育だから、行かないと会社での地位が危なくなる。皆そんな切羽詰った状況になって、初めてカウンセラーに会う決心をします。」

さて、ここで話を戻そう。飛行機から逃げ出したスミスさんは、上司にこう連絡した。「航空会社の手違いで、フライトはオーバーブッキング状態でした。私の予約も取り消されてしまい、会議に行くことができませんでした。」結局これで、スミスさんと会社の関係がギクシャクしてしまい、辞表を提出することになったわけだ。その後スミスさんは、カウンセリングやセラピーを受けて、現在は違う業界で仕事をしている。まだ飛行機は怖いようだが、もうパニック状態に陥ることは無くなった、とスミスさんは言う。

ニック・バヨニス氏が、不動産セールスマンを辞めたのは1年前だ。ロサンゼルスの住宅は、過去4年間で140%以上の急騰だから、高収入を夢見て多くの人たちが不動産業界に転職した。しかし、金利上昇で住宅市場は下降が始まり、2月のロサンゼルス地域住宅売上数は、ここ5年間で最低の水準に落ち込んだ。「永久に不動産の好調が続く、とは思っていませんでしたが、本当に良いタイミングで辞めることができました」、とバヨニス氏は言う。

住宅市場の下向きが顕著になった今日、単に不動産セールスマンだけに限らず、多数の不動産関連職が減少しそうだ。USAトゥデイによれば、過去4年間で最も新規雇用が多かったのは不動産関連企業であり、2005年末現在、9.8%に当たる労働者人口が不動産関連企業に就業している。

まだどの程度、米国住宅市場が落ち込むかは分からないが、アメリカを不況から救った不動産だけに、この業界の長期低迷は米国経済に悪影響だ。先月、ワシントン・ミューチュアルは、10の不動産ローンセンター閉鎖を発表した。このため、2500人が職を失う結果となった。去年の11月には、アメリクエスト(不動産ローン会社)も1500人の人員削減を実施している。

ウェルズ・ファーゴー銀行の、スコット・アンダーソン氏はこう語る。「不動産業以外からの雇用創出が伸びないと、アメリカ経済は2007年に不況に襲われる可能性があります。雇用創出率の低下は、個人消費下落に結びつきますから、企業利益も最終的には減少です。」

先月発表された中古住宅販売件数は、5カ月連続の下落となった。住宅建築会社のKBホームズやトール・ブラザーズも、新築住宅需要が減少していることを認めている。エコノミストの見方によれば、今年の住宅販売数は去年のレベルを8%ほど下回ることになりそうだ。

不動産セールスマンのほとんどが、手数料収入に頼っているが、今年は厳しい年になることが予想されている。全米不動産業協会のデータによると、住宅市場が上向きなら、経験が2年までの新人セールスマンの平均手数料収入は年間で12852ドルある。(それ以上の経験年数がある場合は47187ドル)アメリカには、現在260万の不動産セールスマンがいるというから、生存競争も激しくなりそうだ。

ワシントン・ミューチュアルやアメリクエストの例で分かるように、住宅売上が下向きだから、不動産ローン業者も辛い状況だ。レストラン経営をやめて、2002年、不動産ローンブローカーに転身した、トニー・ガウチャー氏の話を聞いてみよう。「住宅は異常な勢いで売れていました。たとえ住宅を購入しない人でも、低金利でしたから、住宅ローンの借り換えが盛んでした。しかし、毎月のように引き上げられた金利のおかげで、去年の夏から不動産ローンビジネスは完全に干上がってしまいました。」

こう書いてくると、アメリカ不動産はお先真っ暗のようだが、JPモルガンのアンソニー・チャン氏は、米国不動産が暴落することはないと言う。住宅市場は下降が既に始まっているが、商業用ビル建築は逆に伸びている。また、存在する25%の住宅ローンは利率変動型だから、完全にローン借り換えビジネスが無くなってしまったわけではない。どちらにしても、投資者たちは金利引き上げ政策終了を待つ今日この頃だ。

早朝3時から夕方4時まで(ニューヨーク時間)、計13時間の株トレードが実現する可能性がある。ニューヨーク証券取引所は、既に報道されているように、ロンドン証券取引所の買収に乗り出した。ナスダックもロンドンに興味があるようだから、ニューヨークはボヤボヤしていられない。国際化する証券市場に備えて、フランクフルト証券取引所とパリ証券取引所の合併も計画されているようだ。

今日、国際大型企業の株は世界の取引所で売買できる。例えば、ニューヨークマーケット終了後、IBMに悪材料が出ると、早速ホンコン市場でIBMが大きく売られる。あまりにも下げが急激なら、ニューヨーク市場が始まる前に、IBMは底打ちになる可能性があるから、トレーダーたちは、ロンドン市場でIBMに買いを入れる。アメリカでは、深夜勤務の社員がIBMの異変に気がつき、ファンドマネージャーに連絡する。起こされたマネージャーは、ロンドンやパリに電話をしてIBMの買いを命ずる。しかし、ニューヨークがロンドンの買収に成立すれば、アメリカのファンドマネージャーは、海外支社を通さなくても、簡単にIBMが買えることになる。

合併や買収で、大きな国際証券取引所が誕生するば、単に13時間だけでなく、為替のように株も自宅から24時間トレードすることができる。今では、オンライントレードなど当たり前になっているが、10年前にオンライントレードを利用する個人投資家は少なかった。これと同様に、24時間の株トレードも、近い将来当然になるかもしれない。

マジェスティック・リサーチ社の、ダグ・アトキン氏はこう語っている。「24時間トレードを実現するための、テクノロジーは既に存在しています。理論上、国際的な証券取引所はロンドンや東京で取引されている株を自宅から簡単に売買することが可能になりますが、現実的な問題は、はたしてどの程度そんな需要があるかということです。」

24時間トレードは意味が無い、という人たちは次のような点を指摘する。今日、アメリカには時間外取引があるから、本当に売買したければ寄付きまで待つ必要はない。だが現実には、時間外取引の出来高は通常取引の2%にも満たない。だから、たとえ24時間トレードが実現しても、積極的な利用者は現れない、というわけだ。

米国の証券業界は、24時間トレードにあまり乗り気ではない。ニューヨーク証券取引所は、開始時間を1時間早めることを提案しているが、証券会社からの賛成が得られない。ニューヨーク時間の9時半に取引が始まるが、これは西河岸の朝6時半だ。1時間早まれば、社員は5時半前に出勤しなくてはいけない。現行の6時半でも早すぎるのに、5時半などもってのほかだ。

それなら1時間早めるのではなく、終了時間を1時間延ばして5時にするのはどうか?このアイディアも人気がない。特に、ニューヨーク証券取引所の職員が大反対だ。なんでも、ビュッフェ付きの最終列車(コネチカット州グリーンウィッチ行)は4時45分だから、1時間の延長は不都合ということらしい。24時間トレードは、やはり意味が無いのだろうか?

ハリケーンと材木需給

世界的なカカオ豆不足だ、と経済コラムニストのケビン・カー氏は言う。カカオ豆は、ココアやチョコレートに欠かせない原料だが、アジア太平洋諸国でチョコレートの人気が急上昇している。毎年25%の割合でチョコレート需要量が増えているようだが、最も伸びているのが毎年30%増の中国だ。

既にチョコレート製造業者は砂糖の値上がりに直面しているが、今度は肝心なカカオ豆生産者が、アジアでの需要に追いつきそうもない。オイル、ガソリン、セメントなどの大量消費で知られる中国だが、いよいよチョコレートも主要消費リストに入ったようだ。

カカオ豆の60%は西アフリカで生産されるが、政府からの補助金が大幅に削られ、カカオ豆以外の農作物に切り替える農業経営者が続出している。また、ブラック・ポッド病と呼ばれる菌がまん延し始め、カカオ豆の生産量に大きな悪影響を与えそうだ。

これだけ需給がアンバランスなのだから、カー氏は商品市場でのカカオ買い、そしてハーシーズ(HSY)のようなチョコレート会社への投資を提案している。

需給という言葉で思い出すのが、2005年8月、メキシコ湾岸州を襲ったハリケーン・カトリーナだ。破壊された家屋数は30万にも及ぶから、住宅建築会社が忙しくなる。柱や床には木材が使われるから、注目は材木先物市場だ、という声が多かった。

それから6カ月の月日が流れたが、材木市場が急騰した、というニュースは未だに聞こえてこない。なぜ材木は上がらなかったのか?ナショナル・フューチャーズ・アドバイザリー・サービスのジョン・パーソン氏はこう語る。「メキシコ湾岸州の再建は長期計画です。一斉に全ての地域で建築が始まるわけではありませんから、急激に木材の需給バランスが崩れることは起きません。また、直ぐに家を建てたくても、多くの被害者は保険会社や政府との交渉に難航し、いつ資金が手に入るかが分からない状態です。」

ハリケーンが材木市場に影響を与えなかったのだから、材木市場を動かす一番の要因は何だろうか?「北米で木材需要を左右するのは住宅着工数です」、とランダム・レンクス社のジョン・アンダーソン氏は言う。米国住宅市場は冷えこみが始まり、木曜に発表されたデータによれば、2月の住宅着工数は7.9%減だった。

不動産が下向きになった今日、積極的に材木を買うトレーダーは少ない。アナリストのジム・ワイコフ氏の説明を聞いてみよう。「現在の材木市場はベアマーケット、と言うことができます。しかし、もし300ドルを割ったとしても、そこから更に大きな下落は無いと思います。どちらかと言えば、これからは300ドルと380ドルの間で動く、横ばい相場になりそうです。」

カカオ、材木、どちらも商品市場で売買できるが、株式市場と商品市場の決定的な違いは何だろうか?著名トレーダー、ラリー・ウィリアムズ氏の言葉を記しておこう。「私たちは株が無くても生きて行けます。しかし、大豆、オイルなどの商品には本物の需要と需給が存在します。大袈裟な表現をすれば、商品市場は本物のマーケットです。」

卵子提供者と株

卵子を提供する大学生が増えている。もちろん、女子大生ならだれでも良いというわけではなく、優秀な成績、そして平均以上の容姿などの条件が付く。USAトゥデイによれば、1回の卵子提供で2000ドルから1万ドル(23万4000円ー117万円)が手に入るから、学費稼ぎの一手段として学生の間で人気が上がっている。

アメリカで不妊治療ビジネスが誕生してから、約30年が経過した。今も変わらないが、このビジネスで最も重要な事は、卵子提供者を獲得することだ。しかし、インターネットが発達した今日、卵子提供者探しがより活発になった。「私たちは、赤ちゃんを売買しているのです」、とハーバード大学教授、デボラ・スパー氏は現状の改革を呼びかける。まるで卵子がネット上でオークションされているような状況だから、スパー氏は厳しい規制を提案している。

卵子を提供する場合、先ず提供者は健康診断に合格しなければならない。肉体的そして精神的な問題が無い、と判断された後、提供者は約1カ月間ホルモンを増強させるための注射を受ける。その結果、1回で10から15の卵子摘出が可能になる。

デボラ・スパー氏が主張するように、卵子提供は生命にかかわる事だけに、単にビジネスと割り切ることができない。倫理的な問題でもあるから、感情的な議論にもなりやすい。とにかく簡単に結論が出ないのだが、とうとう政府も動き始めた。

先日、アリゾナ州下院議会は、卵子提供者に対する支払金の禁止を可決した。まだ上院からの認可が必要だが、共和党のボブ・スタンプ氏は、こう述べている。「不妊治療業界は、若い女性を利用しているだけです。多くの学生は、多額の学生ローンという借金があります。そんな弱みに、業者たちはつけこんでいるだけにすぎません。」

さて、現在どんな卵子提供者が一番求められているのだろうか?正解はアジアの女性だ。例えば、クレッグズリスト(オンライン・サイト)には次のような募集がある。「求む。21才から25才のアジア女性。身長は155センチ以上。トップレベルの学校成績必須。報酬は1万ドル。」

中年の男性は、残念ながら卵子提供者になることはできない。だが、不妊治療産業ブームに乗ることはできる。さっそく人気株番組「マッド・マネー」の司会者、ジム・クレーマー氏の意見を聞いてみよう。

「不妊治療と聞いて直ぐ思いつくのは、ニューヨーク証券取引所に上場されているセロノ社(SRA)です。不妊治療だけが専門の会社ではありませんが、セロノはジュネーブに本拠地を置くバイオテクノロジー企業です。ウォールストリートのアナリストたちには人気の無い銘柄ですが、セロノの収益は着実に成長しています。魅力的な会社ですから、買収ターゲットになる可能性もありえます。」

先進国のほとんどは、卵子提供者に対する支払金は違法だ。米国と国境を共有するカナダも、卵子提供者は支払いを受け取る事が禁止されている。そんな状況だから、報酬を目当てにカナダからアメリカに若い女性が殺到しているという。

鳥インフルエンザと豚肉

アラバマ州で狂牛病が報告された。そしてこのニュース直後、農務省は鳥インフルエンザに対しての準備を、本格的に進めていることも報道された。狂牛病や鳥インフルエンザは、単にレストランだけの問題ではない。サンダーソン・ファームズは鶏肉製造加工業者だが、今年に入ってから株価は33%の下落だ。牛肉鶏肉製造加工業者のタイソンも22%程安くなっているから、投資者は胃が痛むことだろう。

全ての肉類がダメなわけではない。現に、豚肉ソーセージで有名な、ボブ・エバンズの株価は1月から28%の上昇だ。去年ナスダック市場で取引が始まった、豚販売業者プレミアム・スタンダード・ファームズは13%の伸びを見せている。

AP通信によれば、「そろそろ渡り鳥の季節ですから、向こう数カ月間以内に、米国の鶏が鳥インフルエンザに感染する可能性があります」、と国土安全保障長官のマイケル・チャートフ氏は語っている。また、アラロン・トレーディングのモルガン・ペイスリー氏は、こう警告する。「鳥インフルエンザは、本当にアメリカを襲うだろうか、というのは正しい質問ではありません。鳥インフルエンザの鶏への感染は時間の問題です。」

世界保健機関の資料によると、2003年以来、鳥インフルエンザが人間に感染したことは175回あり、96人が死亡している。米国の歴史を振り返ってみると、人間への感染を防ぐために、1983年から1984年の間に1700万羽の鳥が殺された。これに費やされた経費は6200万ドルに及んだ。(実際に殺された鶏の数は不明)

アメリカは世界最大の鶏肉生産国であり輸出国でもあるから、鳥インフルエンザの発生によって受ける経済的ダメージは大きい。「鶏に鳥インフルエンザがうつるような事態が発生すれば、アメリカの養鶏業は壊滅の可能性があります。鶏だけでなく豚肉も取り扱っている業者は生存できますが、鶏だけに頼っている業者は生き残ることが難しいと思います」、とペイスリー氏は言う。

アメリカは、デンマークとカナダに次いで、世界第3位の豚肉輸出国だ。2005年、アメリカは110万トン(史上最高)の豚肉を輸出し、輸出量は15年連続で伸びている。

既に狂牛病で牛肉は不安な状態だから、実際に鳥インフルエンザが鶏に感染なら、米国内での豚肉需要は爆発的に増大することだろう。となれば、上記したボブ・エバンズやプレミアム・スタンダード・ファームズは、まだまだ上がるのだろうか?そして、サンダーソンとタイソンは暴落するのだろうか?アナリストたちの意見を要約しよう。

2003年の狂牛病騒動では、マクドナルドやアウトバック・ステーキハウスが投げられた。マクドナルドと同業のウェンディーズも売られたが、2003年5月20日に売った人たちは後悔したことだろう。なぜなら、ウェンディーズは2003年、37%の上昇を記録している。

タイソンとサンダーソンは既に悪材料が織り込まれ、株価はほぼ下げるところまで下げている。割安な株価だから、S&P社のアナリストはタイソンに買い推奨を出している。

ボブ・エバンズが買われているのは、狂牛病や鳥インフルエンザが真の原因ではない。アメリカでは、豚肉が生産されすぎ値段が安い。これは豚肉ソーセージメーカーのボブ・エバンズに好都合であり、高利益につながったわけだ。

埃をかぶった有望銘柄

物置に埃だらけになったタイプライターがあった。隣には、カセットテープレコーダーや白黒テレビもある。更に奥を見れば、3カ月と乗らなかった自転車、大学時代に使った教科書、それに古雑誌に古新聞、なぜ捨ててしまわなかったのだろう。スペースを無駄にしているだけだ。まるでゴミの山だが、はたしてこの中に価値ある物が埋もれている可能性があるのだろうか?

「株の世界にも、物置と同様な事が起きます」、と言うのは投資コラムニストのリック・ムナリズ氏だ。証券取引所に上場されている、全ての銘柄が注目されているわけではない。理由は様々あるが、いったん投資者に嫌われてしまうと、その銘柄は忘れ去られ、物置の古新聞のように蜘蛛の巣に覆われてしまう。しかし、だからといって埃をかぶった株は投資対象にならない、と断言することもできない。ムナリズ氏の話を聞いてみよう。

「株式市場の歴史を振り返ってみると、見捨てられていた株が復活することは頻繁に起きています。ですから、人々から見向きもされず低迷が続く株は、単に次のチャンスを待っているだけです。

忘れ去られている株には二つの特徴があります。先ず、現在の株価が帳簿価額以下で取引されています。もう一つは、予想される一株利益をもとに計算された株価収益率は16以下です。今日、これら二つの条件を満たす銘柄は66ありますが、4つ紹介しましょう。

PCコネクション(PCCC):2005年度は、ガッカリな内容でした。売上は7%の上昇でしたが、一株利益は逆に33セントから18セントに減少です。現在の株価収益率は15.6ですが、来年度の収益予想を使って出した株価収益率は10です。PCコネクションが上向くには、IT関連製品の売上上昇が鍵です。

ペリー・エリス(PERY):株価収益率は9.2のかなり低い水準です。男性用スポーツウェア専門店、と聞いたら冷たいものが背筋を走るかもしれませんが、ペリー・エリスは着実に成長しています。

ボーダフォン(VOD):大手携帯電話サービスのボーダフォンですが、1999年以来、一株利益は赤字が続いています。経営陣の手腕を疑問視する人たちもいますが、キャッシュフローは健全な状態です。また、買収される可能性もありますから注目したい一銘柄です。

REXストアズ(RSC):大手ベスト・バイと同業種の家電小売業者です。REXストアズは、小さな市や町を中心に224の店舗があります。株価純資産倍率はかなり魅力的ですから、ベスト・バイによる買収もあるかもしれません。

人気が無いだけで、その株をゴミと判断するのは早すぎます。どんなに埃をかぶった株でも、それに価値を見出すことができるなら、恐れずに投資することです。忘れないでください。大化けする株は、最初から人気があったのではありません。ゴミの中から宝を掘り出すのは、長期投資の大きな楽しみです。」

注:上記4銘柄は買い推奨ではなく、ムナリズ氏が提案する投資アイディアであることを強調しておきたい。

人に言えない事を日記に書いたのは、インターネットが発達する前の子どもたちだ。現代の子どもは、親にも兄弟にも知られたくない秘密を、マイスペース・ドット・コムで公表する。シャノン・サリバンさん(14才)も、マイスペース・ドット・コムを頻繁に利用する、ソーシャル・ネットワーカーの一人だ。

しかし、シャノンさんは大きな誤りに気がついた。楽しみながら、色々な情報をマイスペース・ドット・コムで他の人たちと交換してきたが、シャノンさんは、あまりにもプライベートな事をサイトに載せていた。自分の本名だけでなく、顔写真、住所、生年月日、それに電話番号も公開してしまったから、誰でもシャノンさんの家に行くことができる。「私は自分をとても危険な状態においてしまいました。テレビのニュースで、多くの性犯罪者が、マイスペース・ドット・コムのようなソーシャル・ネットワーク・サイトにアクセスしている、と報道しているのを見ました。怖くなったので、私はマイスペース・ドット・コムに載せた全情報を削除しました。」

ソーシャル・ネットワーク・サイトやブログは、性的犯罪、個人情報泥棒などに悪用されてしまうことがあるが、当然それ以外にもブログが注目される理由がある。例えば、多くの大学は学生たちのブログを監視している。キャンパスで起きる問題の一つに、未成年者の飲酒がある。どの寮で何時にパーティーがある、といった情報はブログで発表されるから、キャンパスポリスは見逃すことができない。 

サラリーマンも、ブログに書く内容は注意した方が良い。ビジネス・ウィーク誌によれば、社員のブログを監視する企業が増えている。実際の社名は挙げられていなかったが、社員を採用する際、就職志望者のブログを調べる企業も存在するようだ。

ソーシャル・ネットワーク・サイトには、毎日膨大なアクセス数があるから、本格的なビジネスに発展できるかもしれない。そんな訳で、ニュース・コープはマイスペース・ドット・コムの親会社を5億8000万ドルで買収した。ソーシャル・ネットワーク・サイトの収入源は広告だが、フォーレスター・リサーチ社のクリス・チャーロン氏は、こんな事を語る。「多くのスポンサーは、ソーシャル・ネットワーク・サイトに広告を出すことに消極的です。マイスペース・ドット・コムのコンテンツは、利用者たちによって作られたものです。ですから内容は多岐多様です。これでは、どの程度広告効果があるのか全く見当がつきません。」

ジュピター・リサーチ社の、ネイト・エリオット氏も悲観的な意見だ。「マイスペース・ドット・コムの利用者に共通して言えることは、サイトに対する忠誠心が無い、ということです。ようするに、とても移り気なのです。一つのソーシャルグループに参加しても、そこに長居することは先ずありません。それに、もっと刺激的な新しいソーシャル・ネットワーク・サイトトが出来れば、直ぐ皆そちらへ行ってしまいます。また、サイトの登録者数を信用するのも間違いです。登録しただけで、全く利用しない人たちが多く存在することも事実です。こんな状況では、広告主は躊躇してしまいます。」

明確なビジネスモデルが存在しないソーシャル・ネットワーク・サイトは、宝くじのようなものだ、とポール・ケドロスキー氏(ベンチャー・キャピタリスト)は言う。「現時点では、ソーシャル・ネットワーク・サイトの将来性に漠然と期待しているだけです。早く誰かが買収してくれないだろうか、これが投資者の本音です。」

どんなに周りが弱気になっても、いつも強気な投資者がいる。上げ相場はブルマーケット、そして下げ相場はベアマーケットだが、いつも強気な投資家はパーマブルと呼ばれる。二つの単語、パーマネント(永久的)とブル(強気)の合成語だ。あなたはパーマブルだろうか?パーマブルの相場観を見てみよう。

1、マーケットが下がる度に、「これは健康的な修正だ」、と宣言する。
2、横ばいマーケットは、次の上昇相場に備えての休憩だ。
3、企業の収益が、アナリストの予想を下回っても心配することはない。重要なのは、来期の収益に向上が見込めるかどうかだ。
4、自分の持ち株を、「買い」から「売り」に格下げするアナリストは全て間違っている。
5、予想より悪い経済指数発表に拍手喝采する。なぜなら、これで連銀の金利引き上げ政策が終わるからだ。
6、超弱気なアナリストや、エコノミストの意見を歓迎する。マーケットの底では、弱気論が主流になるから、上昇相場開始が近い。
7、持ち株の10%下落は悪いニュースではない。これは、絶好な買いチャンスだ。
8、マーケットの下落は、株の価値を理解できない売り手の責任だ。
9、オイルが60ドルに下がり、これで株が上がると判断する。
10、たとえ逆にオイルが70ドルに高騰し、株式市場に悪影響になっても、マーケットは打たれ強いと自分に言い聞かせる。

パーマブルの反対は、常に弱気なパーマベアだ。パーマベアの相場観を紹介しよう。

1、マーケットが上がる度に、「これは不健全な投機熱だ」、と結論する。
2、どんなに強いチャートパターンを見ても、それは下げ相場における一時的なラリー、と判断する。
3、強気アナリストに対する反論者として、よく株番組に招かれる。
4、強い経済指数はマーケットに悪材料になる。なぜなら、それは金利引き上げにつながる。弱い経済指数も、マーケットに悪材料だ。なぜなら、それは不況を予測している。
5、横ばいは、更なる下落の前に訪れる。
6、ニクソン大統領が、金本位制度を廃止したことを、今でも苦々しく思う。
7、空売りは気にならないが、株を買うと眠れなくなる。
8、1987年の暴落がとても懐かしい。
9、「売り」から「買い」への格上げは、株の分析を知らないアナリストのすることだ。
10、アナリストの発表する強気論は、マーケットにマイナスだ。だれでも天井では強気だから、下げ相場は近い。
11、株価の10%上昇は、大きな空売りチャンスだ。
12、マーケットの上昇は、何も分かっていない素人投資家の責任だ。
13、両親が株の話をしたら、それはマーケットが天井にある証拠だ。
14、だから両親の買った株は、全て空売り対象だ。

さてここで、空売りで有名なヘッジファンド・マネージャー、ビル・フレッケンスタイン氏が語る、空売りの心得を記しておこう。

1、とかく空売りは批判されやすい。しかし、企業による誤魔化しを発見したなら周りからの圧力に屈してはいけない。
2、大衆の持つ強気心理を過小評価してはいけない。
3、連銀の政策には十分注意を払うこと。

「ウィークエンド・アナリスト」、という言葉がある。毎日仕事に忙しい人でも、週末なら経済欄に目を通す時間がたっぷりある。先週の主なニュースや、アナリストの発表を振り返って投資戦略を練るわけだ。はたして、米国個人投資者たちは、どんなニュースに目を留めるだろうか。さっそく、新聞や経済サイトを見てみよう。

嫌でも目につくのが、AT&Tのベルサウス買収記事だ。今後も電話業界では、頻繁な吸収合併が起きるだろう、という内容だから投資ヒントになる。直接AT&Tを買ってみよう、と思う人もいるだろうが、それでは面白みに欠ける。もっと良いアイディアはないだろうか?

更に調べて行くと、投資者たちはハリー・ドマッシュ氏(投資アドバイザー)の記事にぶつかることだろう。とかくAT&Tのような巨大電話会社ばかりが注目されやすいが、投資者たちは小さな電話会社の存在を忘れている、とドマッシュ氏は指摘する。

大手電話会社は、ニューヨークやシカゴなどの都市マーケットを独占する。多くの企業が、大都市やその周辺に所在するわけだから、都市マーケットが重要であることは理解しやすい。資金的に大手と競争ができない小型電話会社は、農村や人口の少ない田舎が主な市場だ。利用者が少ないわけだから、大手にとって田舎のマーケットは全く魅力が無い。それが事実なら、小型電話会社に投資する意味があるのだろうか?

ドマッシュ氏を引用すれば、小型電話株には成長株に期待できない要素がある。それは高配当金だ。人口の少ない地方マーケットでビジネスを展開する小型電話会社は、市場の拡張には最初から興味が無い。だから自然とキャッシュフローが良くなり、自社株の買い戻しや、高い配当金の支払いが可能になる。

ドマッシュ氏が勧めるのは、6%以上の配当金を払う小型電話会社に狙いを定めることだ。なぜ6%以上を選ぶのだろうか?6%以上の配当金があれば、たとえ悪いニュースが発表されても、株価が回復しやすいからだ。ドマッシュ氏はこう説明する。20ドルで取引されている電話会社があるとしよう。6%の配当なら、年間で支払われる配当金は、一株当たり1ドル20セントになる。さてこの電話会社、運悪く予想を下回る四半期の決算を発表した。失望売りが続出して、株価は20ドルから15ドルに転落してしまう。ここで単純計算をすると、15ドルの株が1ドル20セントの配当を払うということは8%の配当利回りだ。この数値は新たな買い手を呼ぶことになり、下がった株価が回復することになる。

実際の銘柄だが、ドマッシュ氏は5つを挙げている。アラスカ・コミュニケーションズ(ALSK、配当利回り7.5%)。シチズンズ・コミュニケーションズ(CZN、配当利回り7.5%)。コモンウェルス・テレフォン(CTCO、配当利回り6.3%)。アイオワ・テレコミュニケーションズ(IWA、配当利回り9.1%)。バラー・コミュニケーションズ(VCG、配当利回り11.6%)。念のために記しておくが、これは買い推奨ではなく、一つの投資アイディアだ。

全体的に言えることは、今週末は株警戒論が多い。これは米国株だけでなく、海外市場も含めてだ。特に、ファンドマネージャーのマーク・ブシェー氏は、持ち株を最低限に減らすことを強く勧めている。金曜、米国株式市場は反発を見せたが、出来高は平均以下だった。以前ならアップル・コンピュータやグーグルなどのリーダー株があったが、現在のマーケットに強いリーダーは存在しない。それに半導体セクターの低迷も気になる。必要以上に、慎重な銘柄選択が重要になりそうだ。

「毎月10万円は夢じゃない!株で3000万円儲けた私の方法」、と言えば主婦トレーダー、山本有花氏の本だ。アメリカで山本氏の名を知る人は先ずいないが、実は先日、ニューヨーク・タイムズ紙に山本有花氏に関する記事が載った。内容を見てみよう。

「毎朝自宅のコンピュータを使って、山本氏は株、為替、そして先物を分析し、デイトレードで素早く稼ぐ。セミナー講師、そして著作活動もする氏は、今や時の人となっている。山本氏によれば、日本には夫に内緒で株のオンライントレードをする主婦が増えているという。

証券業界自由化による手数料の大幅引き下げ、そして高速インターネットの普及が、日本にデイトレーダーを増やした大きな原因だ。日本証券業協会の資料によれば、オンライン証券会社が保有する口座数は790万に及び、1999年の29万6941から飛躍的な伸びを見せている。

日本経済を牛耳る巨大企業の体制側は、デイトレーダーに対して冷ややかな態度だ。今のところデイトレード人気は、体制側にあまり貢献することが無い、若者や主婦に限られている。「デイトレードでは全ての人が平等です。成功の鍵を握っているのは、あなただけです」、と山本有花氏は言う。」

更にニューヨーク・タイムズは、29%の取引がオンライン証券を経由し、この大量な個人投資者参加が、東京市場のボラティリティを高めていることを説明している。また、現在の日本は1990年代後半の米国市場に似ているようだ。正確に言えば、1999年の状況に近い。米国のオンライントレーダーはドット・コム熱に冒され、暴騰するインターネット銘柄を追いかけていた。最終的にバブルは弾け、信用取引を積極的に利用していたオンライントレーダーは大怪我をした。

ニューヨーク・タイムズ紙は、ライブドア事件も取り上げている。三週間で90%以上の下落という凄まじさだが、これは一時的にデイトレードに水を注した程度で、1999年にアメリカを襲ったインターネット株急落とは比べ物にならない。ようするに、日本のオンライントレード人気は、まったく衰えていないわけだ。

強い上げ相場が続く時は儲けやすい。確かに、ドット・コム銘柄が総崩れになり、相場全体の冷えこみが始まった時、次々とアメリカのデイトレーダーたちは廃業し、サラリーマンの生活に戻った。日本には、まだそんな厳しいマーケット環境は訪れていない。松井証券取締役マーケティング部長、矢吹行弘氏の言葉がニューヨーク・タイムズに引用されていた。「デイトレーダーにとって、真のテストは下げ相場です。難しい相場が到来した時、はたしてどの程度のトレーダーが生存することができるでしょうか。」

「9時から5時まで」、という映画があったが、アメリカ人のほとんどは9時から5時まで会社勤めだ。90年代にデイトレードが流行った理由の一つは、この単調なサラリーマン生活から抜け出し、自由なライフスタイルを獲得することだ。日本の雑誌などで優雅な生活を送るデイトレーダーが持てはやされるように、90年代のアメリカも同じだった。午前中でトレードを終え、午後は毎日好きなゴルフを楽しむ。デイトレードは、正に企業という階級組織からの解放手段だったわけだ。

アメリカの真似をして、日本でデイトレードが流行った、と思っている人もいるが、「日計り」という表現は「デイトレード」という言葉が生まれる前から存在していた。アメリカに追従というよりも、日本の社会自体が大きく変わっている。終身雇用など死語になり、サラリーマンには過酷な世の中だ。低手数料、高速インターネット、それに最も重要な上げ相場と揃ったのだから、デイトレードに人気が集まっても当然だ。あとは矢吹氏が言うように、真のテスト、下げ相場が来た時、どう乗り越えるかだけだ。

先ず、ナスダック指数の日足チャートを見てほしい。

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高値圏で横ばい状態なのだが、CNNの報道によれば1月から個人投資者たちは、積極的に株式市場へ資金を移動させているという。いつ終了するか分からない金利引き上げ政策、今年後半に予想される企業収益の減退、最近下げてはいるが、依然として高レベルなエネルギー価格、急騰する国債利回りとインフレ懸念、株には厳しい環境だ。

何故こんな悪条件の下で、個人投資家は株を選んだのだろう?2000年のインターネットバブルで分かるように、歴史を振り返ると、個人投資家は上げ相場の最終段階でマーケットに押し寄せる傾向がある。今回も大衆は間違っているのだろうか。マネー・マネージャーのウィリアム・ハンマー氏は、こんな見方をしている。「個人投資家たちは、いつもタイミングが悪いと言われますが、それは単なる一般論です。低位株が徹底的に狙われているなら話は別ですが、そんな様子は全くありません。不動産が冷えこみ始め、投資者たちは株に資金を移動させているようです。」

株と不動産を比較したら、株の方が魅力的だろうか?人気株番組「マッド・マネー」の司会者、ジム・クレーマー氏はこう語る。「今日の株式市場は、2000年の4月に似ています。連銀の金利引き上げ政策で、株式市場の利益は100%消滅してしまいました。今回も連銀は、米国経済を破壊することでしょう。こんな状況で生き延びることができるのは、スーパーマケットだけです。」

スーパーマーケットだけ、というのは大袈裟だが、クレーマー氏の狙っている銘柄を紹介しよう。2005年、68万6000の被害者を出した、個人情報泥棒が社会的な問題になっている。インターセクションズ(INTX)は、個人情報の管理、個人情報盗難防止、そして犯人捜査を専門に行う企業だ。

時流に乗ったビジネスだから行ける、ということだけがインターセクションズの強みではない。グーグルのような人気株は多くのアナリストによって追われているが、インターセクションズを調査するアナリストの数は少ない。ようするに、この会社はまだ投資者には馴染みが無く、頻繁な買い推奨も出ないから株価はまだ割安だ。

数カ月前、インターセクションズは収益面の問題で株価が下落し、低迷が今日まで続いている。しかし、悪材料は既に株価に織り込まれ、低位株だけに株価は動きやすい、とクレーマー氏は力説する。間違っても成り行き注文をしないように、との注意もクレーマー氏は付け加えている。

もう一つクレーマー氏の推奨銘柄を記そう。「ニューヨーク・タイムズからの記事ですが、東アジアでヌードルブームが起きています。このブームで恩恵を受けるのは、東京証券取引所に上場されているハウス食品(2810)です。直接海外のマーケットで投資することはあまり好きではありませんが、ハウス食品には大きな伸びが期待できます。」

難しい問題を抱えた米国株式市場だが、トレーダーズ・アルマナック社の、ジェフリー・ハーシ氏の言葉を書いておこう。「3月にマーケットが何回かピークになったことがあります。大幅な下げが10月頃まで続きますが、投資家にとって秋は、絶好の買いチャンスになります。」

3月28日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、短期金利が4.75%に引き上げられることを疑うマーケット関係者はいない。これが最後の引き上げになる、といった声も全く聞こえてこないから、5月の会議でも金利が上げられることことだろう。

いったい、いつになったら金利引き上げ政策が終わるのだろう?セント・ルイス連邦準備銀行のウィリアム・プール氏は、ロイターとのインタビューで、こんなことを言った。「悪質なインフレに襲われるよりも、金利は上げ過ぎになるところまで上げてしまった方が無難です。今後も予想以上の経済成長が続くなら、連銀はもっと強くブレーキを踏まなくてはいけません。」

経済が減速しない限り、連銀は金利引き上げ政策をやめそうにない。これでは最後の利上げが、いつになるか見当がつかない。投資戦略家のブライアン・スタイン氏も指摘しているが、現在マーケット関係者を一番悩ませているのが金利動向だ。

株投資者は、金利上昇を嫌う。上がる金利は好調な経済を示しているが、利子の支払いも上昇するわけだから、企業収益に悪影響だ。「少なくとも、あと2回金利が引き上げられることでしょう。企業の収益も減少する可能性があります。実際に第1四半期の決算が公表されるまで、金利が企業に及ぼした結果を正確に把握することはできません。ですから投資者にとって、現在のような環境で積極的に株を買うことは難しい、と言えます。」、とエコノミストのジョン・ノリス氏は語る。

急騰する国債利回りにも注目が必要だ。10年物国債利回りは4.75%を記録し、2004年6月以来の高水準に達した。これが意味することは、投資者は高インフレを予測し、金利引き上げサイクルは予想以上に長引く、と読んでいることだ。

金利の上昇は、単にアメリカだけの出来事ではない。最近金利を上げたヨーロッパ中央銀行は、更なる利上げを示唆し、多くのアナリストは日銀も長期続けてきたゼロ金利ポリシー終了を予想している。

それでは、投資者はどうしたらいいだろうか?ヘッジファンド・マネージャー、バリー・リットホルツ氏の意見を聞いてみよう。「米国株式市場は、先ず一旦下げてからラリーを展開することになりそうです。現在低迷する株を持っているなら、早い処分を勧めます。」

レイモンド・ジェームズのジェフリー・サウト氏も消極的だ。「金利引き上げの幽霊に、ウォールストリートは脅かされることでしょう。完全に金利引き上げが終了するまで、買いは控えるべきです。早ければ夏、遅くても秋には株が買える環境が出来上がると思います。もちろん、現在のマーケットでも利益を上げることはできます。肝心なのは、銘柄選びを極めて慎重にすることです。」

もし夏まで株を休むなら、ジョン・ノリス氏はマネーマケット・ファンドを勧めている。「以前は1%そこそこのマネーファンドでしたが、今日では4.3%から4.4%の利子が得られます。マネーファンドは、金利が上げれば自動的に利子も上がるので、定期預金より有利です。」

「何のために解体したのだ?」早速そんな声が聞こえてくる。電話会社AT&Tは、670億ドルでベルサウス買収計画を発表した。これが実現すれば、年間売上1200億ドルの巨大電話会社が出来上がる。ここで歴史を振り返れば、1984年、裁判所の命令でAT&Tは長距離専門の電話会社になり、更にベル・テレフォン・システムは7つの会社に分割され、事実上ベル・テレフォン・システムによる市場の独占が終わった。

しかし、それから20年以上経った今日、電話業界は大きく変わっている。2005年1月、SBCはAT&Tを160億ドルで買収し、新社名はSBCではなくAT&Tに決定した。同年5月、べライゾンは長距離電話会社MCIを84億5000万ドルで買収し、そしてスプリントとネクステルが合併した。最近ではレベル3がプログレス・テレコムを吸収したが、どれも今回のAT&Tとベルサウスの規模には遠く及ばない。

ジーン・キンメルマン氏(消費者保護団体)は、「これは完全に独占禁止法を無視した行為です」、と語りAT&Tのベルサウス買収阻止運動を開始するようだ。USAトゥデイによれば、買収が成立すると、AT&Tは22州から7000万件の電話サービス、5400万の携帯電話サービス、そして1000万のインターネットサービスを獲得する。そうなれば、全サービス料金が一斉に値上げされる可能性があるわけだ。

この買収は独占禁止法に違反するだろうか?一株当たりに換算すると、ベルサウスの買収価格は35ドル80セントだ。現在ベルサウスは+9.7%の34ドル50セントで取引され、買収価格に近づいている。ようするに、投資者たちは、買収がほぼ間違いなく成立すると見ているわけだ。テレコム業界に詳しいデービッド・カウト氏も、この買収は比較的やさしい条件付きで許可が下りるだろう、と述べている。

メリル・リンチのデービッド・ジャナゾ氏もカウト氏に賛成だ。「政府側は、AT&Tの状況説明に納得することでしょう。電話会社は、毎年数パーセントの顧客をケーブルテレビ会社に奪われています。それに、たとえ買収がうまく行ったとしても、心配されているようなAT&Tによる携帯電話市場独占は起きません。」

買収で恩恵を受けるのは誰だろうか?今日、AT&Tには13州に700万の高速インターネット顧客がいる。高速インターネットサービスの名前は、AT&Tヤフーだ。2000年からAT&Tは、ヤフーだけをパートナーとして、高速インターネット市場の開拓を進めてきた。

ゴールドマン・サックスのアンソニー・ノト氏の意見を紹介しよう。「買収成立後も、ヤフーが現在と同様な契約をAT&Tと結んだとしましょう。85%のマージンで計算すると、ヤフーはベルサウスの顧客が増えることで、年間売上が1億ドルほど上昇しそうです。ですから、キャッシュフローも9000万ドルの増加が見込めます。」どちらにしても、現時点では憶測にすぎない。買収が認可されるには、長ければ12カ月の時間が必要なのだから。

名声は富を約束する?

名声は富を生むだろうか?そんな特集が、バンクレート・ドット・コムにあった。アカデミー賞やノーベル賞を取ったら、一生楽をして食っていけそうだが、どうやら必ずしもそうではないらしい。早速いくつか紹介しよう。

アカデミー賞と富
いつ、どのように、そしてどのカテゴリーで受賞したが重要になる。映画評論家のエマニュエル・レビー氏は、こう語る。「映画俳優の年齢は、受賞後の収入に決定的な要素になります。若ければ若いほど有利です。初めてのノミネートで受賞することも、収入を大きく増やす結果になります。典型的な例は、ダスティン・ホフマンです。1967年、「卒業」で29才の時アカデミーを受賞しましたが、出演料は1万7000ドルでした。しかし、受賞後は一気に40万ドルに跳ね上がっています。

映画俳優としてスランプ状態にある時の受賞も、収入に素晴らしい効果を与えます。好例はヒラリー・スワンクです。1999年、「ボーイズ・ドント・クライ」でアカデミーを取りましたが、その後まったく良い映画に恵まれず、俳優としてスランプに陥ります。そんな状況で現れたのが、スワンクの女優としての才能を正しく評価していたクリント・イーストウッド監督です。結果は、イーストウッド監督の目に狂いはありませんでした。「ミリオンダラー・ベイビー」で、スワンクは2度目の受賞をはたし、トップスターの座も獲得しました。」俳優や監督の受賞は収入を大幅に伸ばすが、それ以外の部門での受賞は単なる名声に終わるようだ。

トニー賞と富
トニー賞は、ブロードウェイ俳優に与えられる最高の賞だ。「アカデミー賞は直ぐ収入に影響しますが、トニー賞が直ぐ高収入に結びつくことはありません」、と演劇評論家のデービッド・シェワード氏は言う。「トニー賞は名誉ある賞ですが、受賞後の収入は5%から10%上がる程度です。受賞後、映画に出演して収入を大きく増やす道もありますが、ラスベガスでの公演も割りの良い収入になります。現にブロードウェイのスターは、ラスベガスで2万ドルから3万ドルの収入が一週間で得られるようです。」

ノーベル文学賞と富
「大きな賞は本の売上を上昇させますが、ノーベル文学賞は売上には好影響になりません」、と指摘するのはプレーリー・ライツ社のポール・イングラム氏だ。「ノーベル賞は作家の全作品が評価された上で与えられる物であり、一つの作品だけが対象になるわけではありません。ノーベル賞を受賞した作家に共通しているのは、受賞前に一定の読者層が既にあったという事実です。ですから受賞が原因となって、読者数を更に大きく伸ばすことは稀です。」本の売上は増えないかもしれないが、ノーベル賞の賞金額は魅力的だ。1千万スウェーデン・クローナだから、約1億5000万円になる。

詩人と富
詩を書くだけでは食べていけない。だが、詩人にも賞金が得られる賞がある。ノーベル賞とは比べ物にならないが、ウォレス・スティーブンズの賞金額は約1600万円だ。受賞後も各出版社から引っ張りだこ、ということは無いから、詩人の重要度は低い。

誰もが映画スターになれるわけではない。スターになったからといって、アカデミー賞が約束されたわけでもない。好きこそものの上手なれ。好きなことをして食べていけたら幸せだ。

投資者に共通して見られることは、非論理的になりやすく、自分たちの意見を過剰評価することだ、とエール大学教授、そしてイボットソン・アソシエーツ創始者のロジャー・イボットソン氏は言う。効率的市場という理論があるが、これは投資者に先入観が無く、論理的に適切な判断ができることを仮定している。もしこの理論が事実なら、株価は正当評価額を上回ることは決して無い。

1990年代の終わり、米国投資者は超割高になったインターネット銘柄に殺到した。長年にわたる心理学者たちの研究によれば、私たちが何かの決定をする時は、決まったようにに不合理な判断をする傾向がある。心理学と経済学が結びつくことで、行動経済学という新部門が誕生した。

行動経済学は、既に私たちが気がついている、現実の投資者は非論理的であり、状況を自分たちの都合の良い方向だけでしか判断できないことを証明した。投資者の近視的な行動が、結果的に不動産バブルやインターネット株バブル、そして季節的に起きる株の1月現象などを作り上げるわけだ。

投資で成功するためには、不合理な道理に合わない行動を排除しなくてはいけない。投資者が陥りやすい、5つの悪い癖を、イボットソン氏に説明してもらおう。

1、投資者は身近な株に引きつけらる。
米国投資者の401K口座(企業年金制度、確定拠出型年金)を見てみると、ほぼ25%が自社株で占められ、外国株はたったの7%しかない。海外マーケットを無視することは大きな利益を逃すことになり、自分に身近な株だけではバランスのとれた投資ができない。

2、投資者は感情に支配される。
後悔することを避けるために、投資者は中々損切りができない。どんなに株価が下がっても、もとの値段に戻ることを信じて持ち続ける。また、首尾よく株価が上がってもジックリと株を保持することができない。これも後悔を避けるためが原因だ。今売らなければ、明日は下がってしまう。そうなる前に利食っておこう、というわけだ。

3、投資者は自分の能力を過剰評価する。
これは女性よりも、男性が犯しやすいミスだ。自分は他の投資者よりも優れている。絶対に自分は、平均的な投資者ではない。ウヌボレと言うこともできるが、これは頻繁すぎる売買に結びつき、結果的に多額な手数料を支払うことになる。

4、近視的な状況判断。
有望な銘柄を見つけると、投資者は必要以上の資金をそれに割り当てる傾向がある。これで勝負だ、と大きな賭けに出るが、これは投資資金を分散させることを忘れた不適切な行動だ。ホームラン銘柄が、そう簡単に発見できることは無い。常にバランスを考慮して、衝動的な売買を避けたい。

5、貯蓄意識が無い。
株やファンドに投資していても、投資者には長期的な目標が無いから、儲かると直ぐ使ってしまう。現に、アメリカ人の貯蓄率は大恐慌以来初めてマイナスになり、貯蓄意識の欠乏が明確に表れている。長期的な視野に基いて、老後や子どものために着実な投資をしたい。

トレンド・ノックアウト、ダブルトップ・ノックアウト、蝶ネクタイ。変な名前だが、これらはスイング・トレーダー、デイブ・ランドリー氏の得意技だ。単にトレードだけでなく、投資アドバイザーとしても活躍する氏には、さまざまな質問や相談が持ち込まれる。ここで、最も多い相談の一つをランドリー氏に語ってもらおう。

「見るからにボディービルダー、まるでアーノルド・シュワルツェネッガーのような男性からの相談でした。仕事を辞めて、来週からデイトレーダーになると言うので、どの程度の経験と実績があるかを聞いてみました。回答は、全くの初心者なので来週からセミナーなどを受けて徹底的に勉強するつもり、というものでした。

いきなり会社を辞めるのではなく、少しずつトレードの勉強をしていくことを勧めましたが、よほど決心が固いと見え、なかなか説得することができません。その時、ふとある考えが浮かびました。夕食を兼ねての相談だったので、私は少し突き出た腹を軽き叩きながら、こう言いました。今夜はダイエットを忘れて、大いに食べよう。来週からボディービルディングを始めて、来月の大会で優勝を狙うことにしよう。この言葉で、彼は納得してくれました。」

先ず夢を持つこと。そして現実的な計画に従ってゴール達成に向けて歩み続ける。ここで、トレードを成功に導く8つのルールをランドリー氏から紹介してもらおう。

1、理論的に正しいトレード方法を身に付けること
火星と金星の並び方が悪いから、今日は株が下がる。天秤座の位置が株式指数に好影響を与えそう。占いのような手法に頼るのではなく、統計の裏付けがある、確率の高いパターンだけを習得しよう。

2、株数は少なめに
どんなに確実に見えるパターンでも、必要以上に多い株数を買ってはいけない。たった一度のトレードが、口座残高に大打撃を与えることがあることを覚えておこう。

3、ニュースは無視
良いニュースだからといって直ぐ買うのはいけない。肝心なのはニュースではなく、ニュースに株価がどう反応するかだ。

4、トレード手法の利点欠点を理解すること
横ばいマーケットでうまく行く手法は、トレンドが明確なマーケットでは役に立たないことが多い。状況に合わせて、トレード手法を使いこなそう。

5、最善の銘柄を選ぶこと
将来に期待して、いつ上がるとも分からない銘柄を買ってはいけない。買うなら強い上昇基調にある、しっかりした株だけを狙うことだ。

6、毎日トレードする必要は無い
絶好なコンディションが毎日訪れるはずがない。トレードは、自分が設定する条件が全て揃った時だけだ。

7、全体的な流れを把握すること
個別銘柄だけに目が行ってしまうが、マーケット全体、それに各セクターのトレンドにも気をつけよう。

8、適切なトレード管理
株が買えたら直ぐ損切り注文を入れること。思惑どおり株が上がったら、一度に全部売るのではなく、分散して利食うことが大切だ。

ランドリー氏は、8番目の売りを分散させることを特に強調する。誰にでも経験のあることだが、売ったとたんに株が暴騰することがある。また、損切りの値段設定にも注意が必要だ。あまりにも見え透いた位置に損切りを入れることは、マーケットメーカーにみすみす株を奪われる結果になりやすい。それを防ぐには、買値から25セント下がったら損切る、といったように皆が好む最近の安値などを利用しないことだ。

狙いは水セクター

1995年1月17日、神戸を襲った大地震は24万の家屋を破壊し、6000人以上の命を奪った。救助隊の直接的な働き以外にも、日本全国そして海外から薬、食料品、毛布、テントなどが送られた。こんな過酷な状況で、生存者の方々が最も欲した物の一つは水だった。清潔な水を飲みたい。体を洗いたい。ご飯を炊きたい。とにかく水が切望されたようだ。

「1950年以来、世界の人口は2倍になりました。しかし、水の使用量は2倍ではなく3倍に膨れ上がっています。石油なら、新しい油田を開発することで供給量を増やすことができますが、水はそう簡単にいきません。どんなに科学が発達しても、水を生産することはできません。」、とアナリストのジョン・ディッカーソン氏は言う。

エキスパートの調べによれば、中国には水不足が見られるようだ。近代化が進む中国には、カナダとほぼ同量の水があるが、中国の人口はカナダの100倍に相当する。更に、中国の総水量を中国人一人当たりに換算してみると、その量は世界平均の四分の一しかない。そのため中国の440の市は、定期的な水不足に悩まされている。

半導体、バイオテクノロジー、エネルギー、鉄などが投資対象に選ばれることが多いが、忘れてはいけないのが水だ。投資ニュースレターのエディター、ジョン・マークマン氏は興味深い例を挙げている。

「今年の動きを見てみましょう。バイオテクノロジー指数は8%の上昇、半導体指数は+6%、エネルギー・セクター指数は2%増、そして鉄などのベーシック・マテリアルズ指数は+3%です。まだこの存在を知らない人が多いのですが、水関連株に投資する、パワーシェアズ・ウォーター・リソース・ポートフォリオ(PHO)、という上場投信がありますが、これはなんと既に15%の上昇です。

私たちは鉄が無くても生きていけます。オイルを使わなくても、死ぬことはありません。もちろん、金(ゴールド)も生活必需品ではありません。しかし、水無しでは絶対に生きていくことは不可能です。長くても、10日ともたないことでしょう。水の需要は、毎年上がっています。水は金利、インフレ、不況、そして為替レートなどに左右されることのない、誰もが必要とする貴重な物資です。

誤解を防ぐために、一つ説明しておきましょう。地球上から水が無くなってしまうことはありません。科学者たちが言うように、現在地球には1千万年前と同じ量の水があります。問題は環境汚染が進み、安心して飲める水が不足するということです。現に中国が直面する水不足も、この環境汚染が原因です。

宇宙船から地球を見ると、豊富な水があることが分かります。しかし、安心して飲めるのは1%にも満たないのです。国連の統計によると、今日10億人の人たちが水不足に直面しています。この状況は更に深刻になることが予測され、2025年には、25億人の人々が極度の水不足に陥るようです。人類はオイルをめぐって、何度も戦争を起こしました。ある専門家の意見ですが、近い将来、アフリカと中東で水権利獲得をかけて戦争が始まる可能性があるようです。」水投資、どうやら考えてみる必要がありそうだ。

株を買うなら海外市場

米国投資者は1月、236億ドルの資金を、外国株専門のミューチュアルファンドに投入した。この金額は、米国株専門ミューチュアルファンドに流入した資金の約3倍に相当し、海外の株に異常な人気が集まっている。滅多に外国株のことなど気にすることがなかった米国投資者だけに、正に投資姿勢が大きく変わったわけだ。

メリマン・キャピタルのポール・メリマン氏は、「個人投資家は、明らかに外国株の追い回しを始めました」、と語っているが、これは単に現状を説明した言葉ではなく、正確には警告だ。メリマン氏や、他のウォールストリート関係者は、1999年の再来を心配している。派手な動きに魅せられて、1999年後半、多数の個人投資家がインターネット株に押し寄せた。しかし2000年、インターネットバブルが弾け、個人投資家たちは大打撃を受けた。

「仕方ないことなのですが、大上昇の後、膨大な資金がマーケットに入ってきます。大きな動きが既に展開されてしまった後ですから、更なる大きな上げ期待が裏切られる可能性が高くなります」、とニール・バートン氏(ファイナンシャル・リサーチ・コープ)は言う。1月に外国株へ向かった236億ドルは、米国史上最高の金額だ。

外国株とは全く比較にならないが、米国株専門ファンドへ移った資金も増加している。12月は流出額が流入額を上回る状態だったが、1月、米国株式ファンドは、82億ドルの新たな資金を獲得した。2005年全体を振り返ってみると、米国投資者は1046億ドル相当の外国株専門ファンドを購入し、312億ドルのアメリカ株専門ファンドを購入した。

モーニングスター社の調べによれば、平均的な外国株専門ファンドは過去3年間、毎年29.2%の利益があった。(米国株専門ファンドは+20%)特に中南米だけに焦点を絞ったファンドの結果が目覚しく、ここ三年間で毎年+64.2%の成績を出している。2006年度だけの様子を見ると、外国株ファンドの平均は+7%、そして米国株ファンドは+4.6%だ。

今年も好調な海外市場だが、先日モルガン・スタンレーは日本株と新興成長市場への投資を控えることを推奨した。あまりにも海外の株価が割高になってしまった現在、米国株の方が魅力的、ということらしい。もちろん、外国株を運用するファンドマネージャーは、モルガン・スタンレーの意見に反対だ。アジアへの投資を専門にする、マーク・ヘッドレー氏はこう語る。「外国株を無視し続けてきた米国投資家が、やっと海外投資の可能性に気がつきました。感情的になった投資家が、外国株に殺到しているわけではありません。これは自然な投資分散です。」

ヘッドレー氏に同感するファンドマネージャーは少なくない。1999年のインターネット株ブームと、今回の外国株ファンド人気は性質が違う。1999年の場合は、投資対象がインターネット銘柄だけに限定されていた。全く投資資金の分散などなかったわけだから、投資者たちは大きな傷を受けた。現在の海外株人気は個別銘柄ではなくファンドだ。集まった資金で、ファンドマネージャーは多くの銘柄を買うわけだから、一銘柄が暴落しても大きな穴を開けることはない。それに長期投資が目的のファンドだから、個別銘柄を追うように、毎日の値動きを気にする人は少ない。アメリカ人の目は、海外にまだ向いたばかり。外国株人気は、しばらく続きそうだ。

出来高の見直し

なぜトレーダーはトレンドに逆らうのだろうか?株価は抵抗線を突破して、明らかなブレイクアウトなのに、どうして素直に買えないのだろうか?もっと悪いのは、こんなことも起きる。思惑が外れて、持ち株が下げ始める。株価はサポートラインで下降が止まらず、結局ブレイクダウンしてしまう。迷わず損切らなくてはいけないのだが、こんな時に限ってヘンな理屈が頭を支配する。「今売るのは馬鹿げている。マーケットメーカーの罠にはまってはいけない!そろそろ反発が来るに決まっている。」ここで、ぜひ耳を傾けたいのが投資心理研究の第一人者、ブレット・スティーンバーガー氏の言葉だ。

「基本に戻ってください。出来高の重要性を、もう一度見直してほしいと思います。出来高は、トレーダーや投資者が持つ株価に対する意見の表明、と言い換えることもできます。例えば狭い値幅で動いていた株が、大きな出来高を伴って上放れしたとしましょう。これは、トレーダーが株価の一段高を受け入れた、という意思表示です。もう一つ例を挙げましょう。骨董品を、オークションで売ることを考えてください。買い人気がついて、値段が上がっている時は、価格がまだ正当な水準に達していないことを示します。

株式市場にも、オークションに似たルールが適用されます。売り手と買い手がぶつかり合って、その時点における正当株価が決定されるわけです。株価が大きな出来高を伴って、一方的に上げが続く時は、明らかに買いが優勢なわけですから、売りと買いのバランスが完全に買い方に傾いています。その逆に、出来高を増大させて一方的な下げなら、売り手にバランスが傾いているわけです。」

出来高の重要性について、著書「マインド・オーバー・マーケット」の中で、ジェームズ・ダルトン氏はこう記している。「出来高ほど、マーケットの状況を正確に表す指標は存在しない。たとえ上げ基調が明らかなマーケットでも、出来高の増大を伴わないなら、その上げ基調を深追いしてはいけない。」スティーンバーガー氏の話に戻ろう。

「ブレイクダウンなのに損切れなかった、と言うトレーダーに私は、よくこんな質問をします。ブレイクダウンをした時、出来高はどう動きましたか?ほとんどの回答は、値動きだけに気を取られていたので、出来高は見ていなかった、というものです。出来高は、株価に対するトレーダーや投資者の意見です。ブレイクダウンに大きな出来高が伴っているなら、これはトレーダーが株価の下げを認めた、ということです。完全に状況が変わったのですから、ここは素直に損切らなければいけません。」

トレンドに逆らうのに似ているが、ブレイクアウトを期待して買う人たちがいる。売り手と、買い手の株価に対する考え方が明確になる前に買うわけだから、これも賢明なやり方ではない。先を読むことは無意味ではないが、実際に行動を起こすのは、確かなシグナルが出てからだ。そうでないと、長い横ばいに巻き込まれることもあるから気をつけたい。

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発行:株式会社ブレイクスキャン 監修:株式会社デイトレードネット