先ず天気予想。月曜のニューヨークは晴れ時々曇り。最高気温は37度、そして最低気温は28度だ。まるで真夏のような温度だが、アメリカは華氏だから、摂氏に直すと最高は2度、そして最低はマイナス2度になる。これで寒さを感じていただけるだろう。
昔の子どもたちは、ゲタを蹴り上げて天気を占った。首尾よく歯を下に着地なら晴れ。ひっくり返って、歯が上になってしまったら雨だ。天気に興味があるのは、子どもだけではない。大人だって、高価なレーダーや人工衛星を使って、正しい予測に力を入れている。
天気予報を単に聞き流すだけでなく、これを使って儲けることができないだろうか?意外と知られていないのが、天候相場の存在だ。ギャンブルのような話かもしれないが、1999年以来、シカゴ・マーカンタイル取引所では、天候をベースにした先物が取引されている。2000年には、たった87枚(コントラクト)しか出来高がなかったが、2001年は131枚、2002年は4446枚、そして2005年は86万7000枚に上昇した。
金額に換算すれば、2004年22億ドルだった取引高は、2005年360億ドルに達し、約16倍の成長ぶりだ。ファースト・エナーキャストの、アグベリ・アメコ氏は、こう語っている。「天候に左右されない企業はありません。多かれ少なかれ、皆なんらかの影響を受けます。ですから、天候の先物はリスク回避対策として有効です。」
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)によれば、米国経済の20%が、直接天候に結びついているという。農業従事者にとって、天候は致命的なダメージを与えることがある。ビルの建設も、竜巻などに襲われたら大変だ。先週のように、大雪が続けば小売店の売上は下がる。ハリケーンのおかげでオイルが急騰したが、シカゴ・マーカンタイル取引所のアラン・ショーンバーグ氏は、エネルギー業界にとって、天候先物は必需品だ、と指摘する。
取引されている天候先物は、気温(華氏)が基本になる。アメリカ国内の市だけでなく、対象になるのは世界29市の気温だ。気温指数にはHDD(暖指数)と、CDD(冷指数)の二つがある。1ポイントが20ドルに相当し、もしHDD指数の11月限が208なら、この価値は4160ドルになる。
ヘッジファンドも、天候先物を利用している。予想以上に冷え込んだ12月、春のような1月、そして今月は大雪だから、天然ガス市場が大荒れになった。12月13日、天然ガスは15ドル55セントの高値を記録したが、今日の値段はたったの7ドル15セントだ。普通なら口座に大きな穴が開いてしまうが、天候先物が適切に危険を回避してくれたわけだ。
ベテラン先物トレーダー、ケビン・カー氏は、こんな見方をしている。「個人トレーダーは、いつもホットなマーケットを探しています。きっと天候先物市場は、多くの個人トレーダーを集めることになるでしょう。」アメコ氏(ファースト・エナーキャスト)も、5年以内に天候先物市場は、天然ガス市場と同程度の規模になることを予測している。誰にも身近な天候、はたして株のような人気商品になる日が来るのだろうか。