連銀はあと何回金利を引き上げるつもりなのか?議会で証言するバーナンキ氏(連邦準備理事会議長)に向けられた、率直な質問だ。「あと2回で終了です」、とは言わなかったが、バーナンキ氏はこう回答した。「短期金利に関しては、二つの間違いが起きる可能性があります。一つは上げ過ぎてしまうこと、もう一つは中途半端な上げで止めてしまうことです。」
ケンタッキー選出の、ジム・バニング上院議員が指摘したことだが、長期にわたる行き過ぎな金利引き上げで、連銀は米国を不景気にしてしまったことが何度かある。だから今回も同様な悪結果になるのでは、とバーナンキ氏に疑問を投げた。「実は、私も同じ心配をしているのです」、と言ってくれたら面白かったが、実際は全面的に前議長グリーンスパン氏の方針を肯定して、更なる利上げが必要であることを示唆した。
ほとんどのアナリストやエコノミストは、3月27、28日の連邦公開市場委員会で、短期金利は4.75%に引き上げられることが確実と読んでいる。それほど米国経済は強く、悪性インフレの危険があるのだろうか?最近の状況を見てみよう。
1月の小売売上は2.3%の上昇を記録し、アナリストが予想していた+0.9%を大幅に上回った。クリスマスセールが期待された12月は、たった0.4%増という冴えない結果だった。度重なる金利引き上げが効き始め、いよいよ経済は冷えこみ方向、と結論したエコノミストも多かったが、1月の売上がそんな見方を打ち消してしまった。また、1月の小売売上を去年の同時期と比べると、なんと10%の上昇だ。個人消費は衰えるどころか、更に弾みがついたわけだ。
2005年第4四半期GDP(国内総生産)は、予想外に少ない+1.1%だった。しかし、アナリストたちはこの数字が、2月28日に上方修正される可能性があると言う。最初に発表された数値には、明らかに全てのデータが含まれておらず、+2%以上の修正になることもありえるようだ。2006年第1四半期のGDPは、既に2005年度の第4四半期を上回ることが予測されているから、上方修正の有無はどうでもいいことかもしれない。
バーナンキ氏も議会で、米国経済は着実健全に成長している、と証言しているから、3月の利上げは間違いなし、そして5月の利上げは、ほぼ確実といったところだろう。ここで注目されるのが、去年の終わり頃2006年度後半に経済冷えこみを予想していた多くのアナリストが、見方を上向きに変更してきたことだ。そのため株式市場に対する考え方もやや強気になり、極端な悲観論が聞こえなくなっている。
バーナンキ氏が言うように、米国経済が健全な伸びを示しているなら、株は買える。現に、利上げが悪影響になる金融銘柄が先を見越したように積極的に買われている。バーナンキ氏の証言も終わり、上記したように次の連邦公開市場委員会は3月27日だから、まだ1カ月以上先の話だ。おまけに決算シーズンも終了しているから、投資者たちは割り切って買うことができる。もちろん、1カ月という条件があるから長期投資に向いたマーケットではない。売り叩かれた金鉱株、オイル株の反発狙い。あるいは、エネルギー価格下落で好調な運送運輸株買い。面白そうな1カ月になりそうだ。