第4四半期収益は+82.4%。しかし、一株利益がアナリストの予想に満たなかったため、水曜、グーグルは401ドル78セント、7.14%安で取引を終了した。こう書くと暴落のように聞こえるが、寄付きは389ドル86セントだから、開始ベルと同時に買った人は一日で約3%の利益を得たことになる。
グーグルの意外な決算に慌てたのは投資者だけではない。目標株価500ドルで分かるように、多くの証券会社はグーグルに買い推奨を出していたから、寄付き直後さっそく押し目買いを訴えるアナリストが続出した。「この下げ幅は正当化できるものではありません。明らかに狼狽売りです。グーグルは確実に広告収入を伸ばしているだけでなく、ライバルのヤフーからも市場を奪っています。今日の下げは買いのチャンスです。」これがアナリストたちの言い分だ。
この下げで、一人のアナリストが見直された。名前はスコット・デビット。スタイフェル・ニコラス社のアナリストだ。実はデビット氏、先月18日にグーグルの売り推奨を発表していた。その日グーグルは444ドル91セントで終了だから、水曜の引け時点で+9.6%だ。正に読みが当たったわけだが、決算発表後、氏は次のようなメモを顧客に送っていた。
・同業者ヤフーに見られた収益の伸び悩みはヤフーだけに限られた問題ではなく、サーチエンジン業界全体に当てはまる。今回発表されたグーグルの決算は、この見方が正しかったことを証明している。
・グーグルの急成長期は、既に過ぎ去ったと思われる。長期的に展望すれば、サーチエンジンは高成長分野だ。これからもグーグルがリーダーの地位を保つことが予測されるが、株価はしばらく横ばいになるだろう。
・現時点でグーグル買いを薦めることはできない。買うなら300ドル台の中間あたりが妥当と思われるが、実際の買いタイミングやグーグルの収益見通しは、後ほど発表したいと思う。
・グーグルの売り推奨、そして正当株価400ドルに変更はない。
デビット氏に賛成するアナリストは、こう語っている。「これから、本格的な春がやって来ます。季節的要因になりますが、春そして夏はサーチエンジンの利用者が減る傾向があります。ここで振り返ってほしいのは、グーグルが決算を発表する前の株価430ドルです。ファンダメンタルズ的な立場から分析すると、430ドルを正当化するには、毎年グーグルの売上は108%上昇する必要があります。」
アナリストの意見だけではなく、肝心なグーグル側の話を聞いてみよう。「予想以下に終わった一株利益ですが、これは税金の支払いが大きな原因です。普通なら30%ほどの税率なのですが、海外業務の拡張にともない、今回の税率は41.8%に上がってしまいました」、と最高財務責任者は説明している。
早速あるアナリストが、通常の税率で一株利益を計算し直したら、1ドル82セントという結果が出た。予想されていたのは1ドル77セントだから、確かに税金がグーグルの利益を削ってしまった。だからといって、グーグルに同情するアナリストはいない。「税金はビジネスコストの一部です。適切に税率の予測ができなかったのは、完全にグーグルの落ち度です。」