2006年1月31日、連邦準備理事会議長、アラン・グリーンスパン氏の18年にわたる務めが終わった。物価上昇率を低く抑えたことが、氏の最も大きな業績だ、とアナリストたちは言う。就任早々ニューヨーク株式市場を襲った暴落、二回の不景気、インターネット株に浮かれた90年代後半、そして不動産市場の冷え込みが顕著になった今日、グリーンスパン氏はバーナンキ氏に議長の座を譲る。
連邦準備理事会議長が、さも米国経済の船長であるかのように説明する人たちがいるが、議長にそこまで大きな力はない。ロジャー・イボットソン氏(エコノミスト)の言葉を借りれば、連邦準備理事会議長は電車の運転手に似ている。だから大雑把な言い方をすれば、議長にできることはスピードを上げること、そして下げることの二つしかない。もちろん電車だから、ブレーキを踏んだからといって、直ぐにスピードが落ちるわけではない。
電車は、あらかじめ敷かれたレールの上を走る。ここで右折したいと思っても、レールが無ければ運転手にはどうすることもできない。ようするに、連邦準備理事会議長にできることは、線路上を走るアメリカ経済のスピードを、短期金利を操作することで、減速させたり加速させることだ。繰り返しになるが、高速で走る電車に急ブレーキをかけても直ぐ止まらないように、過熱した経済も一度や二度の金利引き上げでは冷えこみを期待することはできない。
単に金利を調整するだけの話なのだが、経済に大打撃を与えることもある。グリーンスパン氏の前任、ポール・ボルカー氏は良い例だ。インフレ鎮圧に成功した、とボルカー氏を称賛する人もいるが、その結果アメリカは深刻な不況に陥り、失業率は大恐慌以来の高水準に達した。この辛い経験が、連邦準備理事会議長を船長と同一視することになったのかもしれない。
さて、ここで、引退するグリーンスパン氏に関する雑学的質問をしよう。
1、グリーンスパン氏の好きな野球チームはどれ?
A、ボストン・レッドソックス
B、サンフランシスコ・ジャイアンツ
C、ワシントン・ナショナルズ
D、ニューヨーク・メッツ
2、連邦準備理事会議長になる前、グリーンスパン氏はある企業のコマーシャルに出演したことがあるが、それはどこの会社?
A、IBM
B、アップル・コンピュータ
C、CBS(テレビネットワーク)
D、ディズニー
3、氏が40年代、バンドで演奏した楽器は何?
A、クラリネット
B、トロンボーン
C、トランペット
D、バス楽器
正解:1、以前はメッツファンだったが、現在はナショナルズファン(C)。
2、アップル(B)。
3、Aのクラリネット。ピアノも弾くことができるそうだ。