まだ1カ月以上残っているが、そろそろ税金の確定申告が気になる頃だ。たとえ給料以外の収入が無い人でも、所得税申告書に、間違い無く書き込むのは骨が折れる。住宅ローンの利子、教会などの団体への寄付、それに医療費やベビーシッターに払った金などは所得から控除できるから、やはり専門家からのアドバイスが欲しくなる。そんな要望にこたえてくれるのが、H&Rブロックだ。
スーパーマーケットの隣、ショッピングセンターの中、そんな人通りの多い場所にH&Rブロックは事務所を構える。個人納税者にアドバイス、申告書の作成、そして書類の提出までやってくれるから利用者の数は多い。
金曜(24日)、ニューヨーク証券取引所に上場されるH&Rブロックは、8.65%の大幅下落になった。報道によれば、H&Rブロックは2004年度と、2005年度の決算報告書をやり直さなくてはいけない。何故か?報告書には会計ミスがあり、そのためH&Rブロックは税金を3200万ドル(37億4400万円)過少支払いしていた。
税金の専門家が、税金の間違いを起こしていたのでは話にならない。これでは、株を投げたくなっても仕方ないだろう。CBSニュースや多くの報道機関が指摘していることは、H&Rブロックが抱えている法的トラブルが、今回の税金過少支払いにつながったものと見られている。
H&Rブロックは、誤解されやすいローンプログラムが問題になり、集団訴訟されていた。誰でも税金の払い戻しは、今直ぐにでも受け取りたいと思うものだ。こんな客の気持ちを利用して、H&Rブロックは客にローンをすることで高金利を稼いでいた。もう少し説明しよう。
例えば、Aさんには3000ドルの払い戻しが見込めるとしよう。このAさんに対して、H&Rブロックのアドバイザーは、こんな提案をする。「国から払い戻しの小切手が送られるには数ヶ月かかります。しかし、この金額全部を2、3日中に受け取る方法があります。」こんなふうに持ちかけられたら、興味を持つ人が多いことだろう。
ようするにH&Rブロックが、Aさんに3000ドルを貸して利子を取るわけだが、金利は超割高の40%から700%だ。これが集団訴訟になった経緯なのだが、2005年12月21日、H&Rブロックは訴訟解決策として、6250万ドルを支払うことに同意した。
これで一件落着、と思ったがH&Rブロックの法的トラブルは消えない。2月15日、カリフォルニア州検事総長事務局は州法と連邦法違反で、H&Rブロックを訴えた。検事総長事務局によれば、高金利ローンのほとんどは低所得家庭がターゲットになり、そしてこれはローンであるにもかかわらず、H&Rブロックは払い戻し、という表現を使っていた。
H&Rブロックが大きく下げた理由のもう一つは、この税金ミスニュースと前後して発表された、ガッカリな第3四半期の収益だ。どちらにしても、確定申告まで1カ月と少し。こんな状況では、H&Rブロックの客は大きく減ることだろう。