これだけ材料があれば、一波乱あってもおかしくない。マーケット関係者には、忙しい一週間になりそうだ。最大の関心事は、火曜(31日)にやってくるFOMC(連邦公開市場委員会)だ。14回目の金利引き上げになることは誰も疑わないが、会議後の声明文が徹底的に分析されることだろう。
先週金曜に発表された、第4四半期米国GDP(国内総生産)は、予想に満たなかっただけでなく、ここ3年間で最低の成長率、+1.1%だった。さっそく財務長官、ジョン・スノー氏はこう記者団に語った。「発表されたGDPは、2005年度の強い米国経済が、正確に反映されていないようです。今回の数値を、あまり重要視するのは間違いです。第4四半期だけに限られた特殊要因が、GDPを下落させたと思われます。」
スノー氏ほど楽観的でない、バーナード・バウモール氏(エコノミック・アウトルック・グループ)の意見を紹介しよう。「2005年の最終段階で、アメリカ経済は大きく減速しました。引力の法則は健在です。米国消費者は、大きな借金を抱えています。上昇する金利、高いガソリンやオイルが好影響であるはずがありません。おまけに、消費者の貯蓄率は0です。GDPが下がって当然です。」
一方、金曜のマーケットは弱いGDPニュースを歓迎した。ダウ指数は+0.90%、ナスダック指数+0.93%、そしてS&P500指数は+0.78%だった。米国経済の失速は、金利引き上げを完全に終了させる、と解釈したわけだ。「予想を下回ったGDPに、投資家たちは歓声をあげました。1月31日の利上げが、金利引き上げサイクルに終止符を打つ可能性があります」、とJPモルガンのアンソニー・チャン氏は言う。
GDPが衰えた原因は何だろうか?自動車と航空機の不調が、一番のマイナス材料となったようだ。ボーイング社でのストは航空機発送を遅らせ、社員割引の廃止は自動車の売上を大幅に後退させた。「自動車業界が不調なことは、別にめずらしいことではありません。意外だったのは、政府があまり軍事関連物資を購入しなかったことです。イラクでの戦争が終わりになり、政府は軍事費の調整をしているようです」、とエコノミストのデービッド・ワイス氏は述べている。
アナリストたちの、もう一つの見方を付け加えておこう。「+1.1%のGDPは無視です。それは既に去年の話です。31日のFOMC(連邦公開市場委員会)ばかりが注目されていますが、今週の金曜には雇用統計が発表されます。暖かい冬の影響もありますが、強い雇用状況が明瞭になることでしょう。結局またインフレ懸念がマーケットに戻り、投資者たちは失望することでしょう。31日のFOMCで、金利引き上げが最後になることはありません。」今週の相場は荒れそうだ。