コーラは何種類あるかご存知だろうか?コカコーラとペプシコーラの二つだけで十分だ、と言う人もいるが、フール・ドット・コムのロビン・ギーリー氏によれば、世の中には少なくとも20種類以上のコーラがある。ここで疑問になるのは、選択肢の数と売上だ。
実際にこんなテストが、カリフォルニア州のスーパーマーケットでおこなわれた。一口にジャムと言っても、ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、と色々ある。そこでこのスパーマーケットは、日によって販売するジャムの種類数を変えてみた。ある日には6種類のジャムを棚に並べ、ある日には24種類のジャムを置いた。
結果はどう出ただろうか?6種類だけ販売した日と、24種類を販売した日を比べたら、ジャムの売上が良かったのはどちらの日だろうか?24種類は、圧倒的に6種類の選択数を上回っている。豊富な選択数は、ジャムの売れ行きに好影響となっただろうか?
6種類だけ並べた日には、店を訪れた36%の客がジャムを買った。24種類が置かれた日は、買い物客のたった3%がジャムを買った。多種類のジャムを取り揃えることは、売上にはマイナスだったわけだ。ブリンクの著者、マルカム・グラッドウェル氏はこう説明する。「あれもこれもと選択肢が多すぎると、私たちは適切な判断ができなくなります。大量な情報は私たちの判断能力を麻痺させ、けっきょく何も選択せずに終わってしまうのです。」
現在アメリカには、7000種類のミューチュアルファンドがある、とロビン・ギーリー氏は言う。7000!?豊富どころか、これでは種類が多すぎて、どれに投資するべきかが分からない。正に判断能力の麻痺だ。一々丹念に調べていたら、どんなに時間があっても足りない。7000、本当に恐れ入る数だ。
情報の集めすぎは株投資にも悪影響だ。よくこんな話を聞く。「O社の収益はここ6カ月で30%も上がっています。新製品の売上は絶好調ですし、来年はヨーロッパに進出するようです。現在の株価ですが、月足チャートはまだ下げ基調です。週足は上げ基調ですが、日足チャートは横ばいです。60分足チャートにも大したトレンドは見れませんが、15分足チャートは素晴らしいアップトレンドです。」これでは迷ってしまう。
チャート分析について、一つ付け加えておこう。アレキサンダー・エルダー氏は、著書「投資苑」の中でこう注意している。「5分足、30分足、日足、月足、と多くのチャートを見てはいけません。分析ばかりに時間をとられ、肝心なトレードができなくなってしまいます。使うチャートは2つで十分です。日足で売買する人は日足と週足の組み合わせ。5分足のトレーダーなら、その5倍にあたる25分足でトレンドを確認します。」やはり、物事シンプルな方が分かりやすい。