勝利、敗北、ブレイクイーブン。30年のトレード経験、そしてシカゴ商品取引所メンバーとして活躍したジョン・モールディン氏は、こんなことを語っている。「トレードで最も大切なことは、自分で決めたルールに従って売買することです。損をするのは、いい加減な理由をつけてルールを破るからです。」さっそくモールディン氏の、トレードルールをいくつか紹介しよう。
ルール1:どんなことがあっても、損が出ているポジションの買い増し、売り増しをしないこと。
「投資資金を無くす確実な方法は難平買いです。買い足しをして損失を平均化し、回復しようとする。もっともらしい理論ですが、これは先ず成功しません。そんなに簡単に損が取り戻せるなら、ロングターム・キャピタル・マネージメントが破綻することはなかったでしょう。
どうしても買い増しをしたいなら、儲けが出ているポジションだけに限ることです。株価が上がる度に買っていくのです。永久に上昇することはありませんから、一番最後に買った株に損が出たら、持ち株を全て処分するのです。この買い足し方法は、売りのタイミングを知るのに役立ちます。」
ルール2:傭兵になれ。
「買いばかりに固執したり、売りだけに徹する必要はありません。トレーダーは金で雇われた傭兵です。強い方に付けば良いのです。状況が変わり、自分が不利になったら、早々に相手側に乗り換えることが肝心です。ジェシー・リバモアも、強気弱気を主張するのではなく、勝者はどちらなのかを見極めることの重要性を指摘しています。」
ルール3:安く買って高く売ることを目標にしてはいけない。
「高く買ってより高いところで売る。それが正解です。割安割高などとよく言われますが、いったい何が根拠になるのでしょうか?好例を挙げましょう。ノーテルは1980年代たった1ドルでしたが、2000年90ドル弱まで上げました。当たり前ですが、90ドルに到達するには、10ドル、30ドル、50ドルを通過する必要があります。高いものが更に高くなっていったわけです。私達には、適切に割高割安を判断することはできません。」
ルール4:ブルマーケットでは買いに徹せよ。ベアマーケットなら売りに徹せよ。
「急激な上昇の後、持ち株を処分し直ぐ空売りを試す人がいます。しかし、ブルマーケットでそんなことをするのは危険です。高値圏で揉み合い、更なる上昇になることが多いですから、いきなり空売るのではなく、一時的に中立姿勢の立場をとることが大切です。既に述べたように、私達に正確な割高判断はできません。マーケットはいつも行き過ぎになるものです。高いものはもっと高くなり、安いものは更に安くなります。」
ルール5:トレード方法は簡単で分かりやすいこと。
「難しい理論を応用したトレード方法が脚光を浴びますが、トレード方法は簡単なものほど役にたちます。複雑な方法は、トレーダーを迷わせる原因になります。しかし、簡単明瞭な手法なら的確な判断が素早くできます。ある有名なトレーダーは、抵抗線と支持線を使うだけで確実に利益を上げています。多額な金を払って、分かりにくいトレードソフトを買う必要はありません。エレガントなトレードは、簡単な手法だけが可能にします。」