米国不動産投資家たちは思案している。住宅市場が冷え込み始め、ここで不動産に資金をつぎ込むことは賢明でない。安全確実に行くなら、4.13%の定期預金という手もあるが、やはり妙味に欠ける。どこに資金を移すべきか?南カリフォルニアの不動産で、大きな利益を上げたブルース・マクマイケン氏は、こんなことを語る。「不動産が、いきなり大暴落になるとは思いませんが、今年は株投資を考えています。まだ多くの割安株を掘り出すことができるはずです。」
PNCファイナンシャルのジェフ・クライントップ氏によれば、去年の終わり頃から、個人投資家たちの株に対する関心度が高まっているという。特に先週、ダウ指数が瞬時1万1000を突破したニュースは、更に投資家たちを刺激する結果になった。
振り返ってみれば、2000年3月、ナスダック指数は5132ドルの新高値を記録した。しかし翌月、インターネットバブルがはじけ、2002年10月には1108ドルにまで落ち込んでいた。この間、マクマイケン氏が投資していた南カリフォルニア不動産は2倍以上の伸びとなり、本格的な不動産ブームが訪れたわけだ。
全米不動産業協会の発表によれば、2006年度の住宅販売数は4.4%減が予想されている。また、住宅建築数も去年を6.6%下回るようだ。2005年、中間住宅価格は12.9%の上昇だったが、今年は5.1%ほどの伸びになるらしい。どちらにしても、積極的な不動産投資時代は終わった。
ベビーブーマーたちが60才になる。退職後のために、不動産やそれに関連したミューチュアルファンドに金を入れていたが、新しい投資先を見つけなければならない。普通なら大企業の社債が選ばれるのだが、倒産が噂されるゼネラルモータース、そして破綻してしまった大手先物ブローカー、レフコの件もあるから社債投資に尻込みしてしまう。それなら国債、という手もあるが、利回り逆転現象が起きているから不安になってしまう。
「残されたものは株しかありません」、とクライントップ氏は言う。「2001年から今日まで、S&P500指数に属する銘柄は、平均で46%の成長です。しかし、株価収益率は逆に22.2から13.8に下がっています。」投資者は、人気株に集中する傾向があるから、必ずしも割安株に資金が集まるとは限らない。だが、間違いなく個人投資家は株式市場に戻り始めている。現に、マンハッタンのEトレードに足を運ぶ投資者数は、去年の同時期を50%上回っているそうだ。2006年は株、さぞ証券会社が喜んでいることだろう。