ハリウッドが不調だ。なぜ人々は映画館に足を運ばなくなったのだろう?派手な銃撃戦、超迫力な爆発シーン、高速道路に繰り広げられるカー・チェイス、高度な技術を使った特殊効果。しかし、そんなものに大衆はすっかり飽きてしまったようだ。
CNNで映画業界を担当するポール・ラ・モニカ氏には、こんなメールが聴取者から送られている。「ハリウッドは現状を全く把握していません。ですから、大衆が何を求めているかが分からないのです。例を挙げれば、家族が皆揃って観れる映画を、ハリウッドはほとんど制作しません。アクション物やセックスばかりに重点がおかれ、最も大切なストーリーがおろそかにされています。」
低迷を打破するために、今年ハリウッドは少し違ったテーマを取り入れるようだ。ラ・モニカ氏を引用しよう。「最近のアメリカには、あるトレンドが起き始めています。宗教を取り扱ったものが売れるのです。ですからハリウッドは、宗教を題材にして、映画産業の好転を試みることでしょう。」
先月から上映が始まった「ナルニア国物語」は、宗教をテーマにした映画の一例だ。原作者はクリスチャン作家のCSルイス氏。全7巻の大作だが、ディズニーが映画化した。ボックス・オフィス・モージョー社の調べによれば、ナルニアは既に2億5000万ドルのチケット売上を記録している。
「ナルニアは宗教色が強すぎる。こんな映画はヒットしないだろう。」封切り前は、そんな意見も聞かれた。しかし、結果はディズニーに大きな収益をもたらせた。少し古くなるが、宗教映画の可能性を実証したのは、メル・ギブソン監督の「パッション」だ。アメリカ国内だけで3億7000万ドルの売上があり、これは2004年度、第3位の成績だ。
「パッション」、「ナルニア国物語」、次は何だろうか?5月、ベストセラーになった「ダ・ヴィンチ・コード」がソニーのコロンビア映画から封切られる。主演はトム・ハンクス、そして監督はロン・ハワードだ。まだ数ヶ月先の話だが、今から大きな期待が寄せられている。
この宗教ブームに投資できないだろうか?もう一度ラ・モニカ氏の言葉を記そう。「トーマス・ネルソン社は、聖書やキリスト教関連書籍の出版社です。2005年度は10%以上の伸びでしたが、これは一般の出版社を上回る成績です。セーラム・コミュニケーションズは、キリスト教音楽を中心にしたラジオ局です。今年の収益は33%増が見込まれています。」宗教ビジネス、単なる一時的なブームだろうか?