一気に四ケタに行ってしまった。新年早々、パイパー・ジャフレイのサファ・ラシチ氏が、グーグルの目標株価を445ドルから600ドルに引き上げ、投資者たちを驚かせた。この数字を超える目標価格は、たぶんそう簡単に出ないだろう、と誰もが思った。しかし、700ドル、900ドル、1000ドルを一息に飛び越えて、2000ドルの予想が発表された。
ラシチ氏の600ドル論は、全ての投資家に受け入れられたわけではない。現に、冷笑するマーケット関係者もいる。だが、今回の2000ドル予想には、さすがに皆、適切な言葉が見つからない。ようするに、呆れて物が言えない状態だ。
とにかく、発表した本人、カリス社のマーク・スタルマン氏に説明してもらおう。「先ず断っておきますが、2000ドルはカリス社からの公式予想ではなく、私個人の意見です。グーグルの市場は、私たちが予想する以上に大きく広がることでしょう。急ピッチでマーケットを拡大していくでしょうから、年間売上1000億ドル達成もそう遠いことではないでしょう。
グーグルは広告収入だけに頼った会社ではありません。次世代の金融サービス、ヘルスケア、それにデジタルサービス部門へ急速に進出していくことでしょう。90年代のインターネットバブルと、グーグルを同一視してはいけません。グーグルは本物です。」せめて1000ドルくらいなら話題性があったかもしれないが、2000ドルでは、グーグルファンも興醒めしたようだ。
さて、ここで質問。アナリストはなぜ目標株価を発表するのだろうか。こんな意見がある。以前、ヘッジファンド・マネージャーとして活躍した、アンディー・ケスラー氏を引用しよう。「目標株価ゲームが、また流行っています。何も知らない投資者たちが餌食になることでしょう。面白いニュースが無い時、アナリストは目標株価を発表します。これがウォールストリートのやり方です。」
クリスマスや感謝祭は休みでも、株式市場が連休になることは滅多にない。年間250日の取引日があるから、新鮮な話題が常に必要だ。今週から決算シーズンが始まり、アナリストたちは忙しくなるが、半面ホッとしていることだろう。本当のニュースが出てくるのだから、しばらく無理に目標株価ゲームをする必要がなくなった。