今年インターネットセクターで行けそうなものは、と尋ねれば、「グーグル」の答えが返ってくる。アップルに次ぐ人気銘柄だけに、ファンの数は圧倒的に多い。2005年、197ドル40セントでスタートしたグーグルは414ドル86セントで一年を終え、約2.1倍の成長を記録した。
まだ2006年度のマーケットは始まったばかり。さっそく、強気な見方がアナリストから発表されている。1月4日、ロバート・ペック氏(ベア・スターンズ証券)は、グーグルの格付けをピア・パフォームからアウトパフォーム(マーケット以上の伸び)に引き上げた。そして、目標株価も360ドルから550ドルに上方修正した。
マーケット関係者を驚かせたのは、前日1月3日のパイパー・ジャフレー証券からの発言だ。格付けのアウトパフォームに変更はなかったが、株価ターゲットが445ドルから600ドルに大きく見直された。
600ドル?妥当な数値だろうか、それとも法外な数字だろうか?先ず言った本人、サファ・ラシチー氏、の話を聞いてみよう。「グーグルはマイクロソフトのような、米国を代表する企業になりました。2007年度の一株収益は、11ドル91セントを予想しています。ですから、株価収益率(PER)は50です。PERの50は高すぎる、と思われることでしょう。しかし、グーグルはサーチ市場を独占し、更に他の分野にも積極的に挑戦していることを考えれば、株価収益率の50は決して不当な数字ではありません。」
先月グーグルはマイクロソフトの裏をかいて、アメリカ・オンライン(インターネット・プロバイダー、タイム・ワーナー社の一部門)の5%買収に成功した。これでますますグーグルの市場が広がったが、メリル・リンチのアナリストは、こんな見方をしている。「この買収は、サーチエンジン会社の勢力地図を変えるほどの打撃はありません。アメリカ・オンラインとのパートナーシップが成立しましたが、実際どのていど広告収入に影響するかが疑問です。ヤフー、それにマイクロソフトは、グーグルの後ろにピッタリとついています。」メリル・リンチがグーグルに与えた格付けは「ニュートラル」だ。
グーグルの売上や一株収益などを予想するのは難しい、と多くのアナリストは言う。理由の一つは、インターネット業界は激しい速度で変化するためだ。しかし、一番の原因は他社と違って、グーグルは四半期の売上や収益見通しを発表しない。
35人中26人のアナリストが買い推奨のグーグル。成績の方も、3四半期連続でアナリストの予想を上回っている。勢いのある会社には、とうぜん高い期待が寄せられるわけだから、予想どおりの決算では投資者を失望させてしまう。とにかく、見込まれている数字以上の結果を常に出すこと。今年もグーグルは全力で走りそうだ。