なんの躊躇もせず、瞬時に大量な株売買を完了するロボトレーダーが、ウォールストリートの主役になろうとしている。ロボトレーダーと言っても、ロボコップのようなサイボーグが、ニューヨーク証券取引所に出現したわけではない。ロボトレーダーとは、最新機能を備えたトレード専用コンピュータのことだ。
既にCSファースト・ボストン、ゴールドマン・サックス、それにパイパー・ジャフレイでは、ミューチュアルファンドやマネーマネージャーなどの機関投資家のために、積極的にロボトレーダーを使って有利な株価での取引を実施している。成績が全てのヘッジファンドでは、上記大手証券会社以上に高性能なコンピュータを導入して、常に最善な株価をつかもうと必死だ。
「専門的流行語はアルゴリズムです」、とフランクリン・ポートフォリオ・アソシエーツのメリー・マクダーモット・ホランド氏は言う。計算や問題を解決するための手順や方式をアルゴリズムと呼ぶが、ロボトレーダーの命がこのアルゴリズムだ。現在市場で取引される株の14%がアルゴリズムをベースにしたロボトレーダーによって行われているが、セレント社の調べによれば、2008年までには25%に達することが推定される。
アルゴリズムが注目されている大きな理由は二つある。先ず第一は、2000年から株式市場に採用された小数点の導入だ。それ以前は、25ドル1/4といった形で、分数が株価に使われていたが、これが25.25と表記されることで、アルゴリズム適用が楽になった。もう一つは、スピードと効率の良さだ。一々人間の目で確かめていたら時間がかかってしまうが、ロボトレーダーは一瞬のうちに、複数取引所での株価を取得できる。
二つと言ったが、アルゴリズムを求める第3の理由が最近顕著になり始めた。証券会社のリサーチをもとにした、従来の株式投資結果に不満な機関投資家が増えている。そんなわけで、アルゴリズムにスポットライトが当たったわけだ。このまま行ったら、トレードは完全にロボトレーダーに支配されてしまうのだろうか。今のところ人間が無用になることはない。ロボトレーダーには、まだテロ事件やハリケーンなどのニュースに適切な判断を下す能力に欠けている。