Thursday December 29, 2005

US Market Recap

逆イールド現象が見え始めたアメリカ

2006年、アメリカの不況は間違いない、と断言する人たちがいる。理由を聞くと、イールド・カーブ、という単語が即座に返ってきた。国債利回りが、米国経済に悪影響をおよぼすのだろうか。その前に、少し説明しよう。

イールド・カーブとは、国債の利回り曲線のことだ。国債には3カ月、6カ月で満期になる短いものから、10年、30年といった長いものがある。普通の状況なら、短期のものほど利回りが低くなるから、30年物が一番高い利回りになる。問題なのは、この利回り曲線に異常な事態が起きている。

今日の利回りを見てみると、2年物が4.35%、5年物が4.30%、10年物が4.34%、そして30年物が4.50%だ。なんと2年債券利回りが、5年物と10年物を上回っている。たしかに30年物が最も高い率を示しているが、2年物国債と大した差は無い。

このように、短期債券の利回りが長期債券利回りを上回ることを逆イールド現象と呼び、これが米国経済の不安材料になっている。1970年以来、アメリカは6回の不況を経験した。サンフランシスコ連邦準備銀行のレポートによれば、これら6回の不況が訪れる前には、逆イールド現象が起きていたという事実がある。

6戦6勝、的中率100%だが、「今回は状況が違っています」、と言うのはJPモルガンのスチュアート・シュワイツァー氏だ。「以前6回の逆イールド現象は、短期と長期利回りの両方が上昇しました。今日の場合は、短期利率が上がりましたが、長期金利はほとんど動いていません。心配されるインフレも、実際の物価上昇はおだやかですから、米国経済に大きな悪影響をおよぼすことはないはずです。それに、クリスマスの小売売上は順調でしたから、個人消費が急速に冷え込むことはありません。」

逆イールド現象をそれほど気にする必要がないなら、2006年度の心配材料は何だろうか。投資アドバイザー、ヒュー・ジョンソン氏を引用しよう。「米国経済が最も恐れるのは連銀です。インフレ退治を目標に、連銀は短期金利を上げすぎてしまう可能性があります。連銀が10年物国債利回りに注目していることを願います。」

投資者はどう動いたら良いだろうか。アナリストたちは、銀行などの金融機関を避けることを勧めている。銀行は短期金利で借りた金を、長期金利で消費者に貸し付ける。だから、現在の金利状況ではローンビジネスが不利になるわけだ。また、米国経済を正しく把握するには、国債の利回り曲線だけでなく、新規就業者数や失業率などの雇用統計に注意を払うことが重要だ。

Stocks You Need To Know About

ニュースに慌てた売り手

ホール・フーズ・マーケット(WFMI)が、S&P500指数を構成する一員に選ばれた。突然のニュースに、慌てふためいたのが売り手たちだ。

12月19日、以前の高値抜きに失敗してWFMIは弱気な尻尾ができた。MACDもその前日に売りシグナルだから、空売った人がいたのは間違いない。

しかし、今日のニュースは強烈だった。内輪の情報でもない限り、昨日買い戻せた可能性はほぼゼロだ。もちろん、忍耐強くこの株を持ち続けた人には、嬉しい年末ボーナスになったことだろう。

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Wall Street English

回復する消費者信頼感

Consumer confidence continues to bounce back and is now at its highest level since Hurricane Katrina struck the Gulf Coast

消費者信頼感は、ハリケーン・カトリーナ以来、最高のレベルにまで回復した。上向きになった雇用状況、それにガソリンの値下がりが好材料になったようだ。

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