威勢の良い東京市場、「こんな大相場は初めて。チャートの上昇トレンドが崩れるまで行くしかない!」、そんな声が聞こえてくる。売上、新製品、一株利益などのファンダメンタルズだけを頼っていた人が、チャート分析に興味を持ち始めたようだ。
チャートを分析すると言っても、どこから手をつけたらいいのだろうか。さっそくテクニカル分析の大ベテラン、ジョン・マーフィー氏から、いくつか重要なポイントを説明してもらおう。
1、長期チャートから分析を始めること。月足チャート、そして週足チャートの順番で過去数年間の株価動向を観察しよう。こうすることで、銘柄の大きな流れを把握することができる。長期トレンドが確認できたら、日足、さらに60分足などの日中足に移ろう。私は短期投資専門だから、週足は要らない、という意見もあるが、短期トレンドは中期トレンドから大きな影響を受ける事実を覚えておきたい。
2、長期トレンド、中期トレンド、短期トレンドがつかめたら、どのトレンドで投資するかを決めよう。もし中期トレンドを選んだなら、利用するチャートは週足と日足だ。週足チャートが銘柄のトレンドを表し、日足で売買タイミングを計る。週足トレンドが上向きなら、空売りをしてはいけない。
3、支持線、抵抗線の位置を確かめよう。支持線近辺で買い、抵抗線近くで売ることが基本になる。支持線は以前の安値付近、そして抵抗線は過去の高値あたりにできやすい性質がある。
4、たとえ棒上げ状態な銘柄でも、休みなく永遠に上昇することはない。もし下げ始めたら、どのあたりで止まりそうかを予測しておこう。一転反発が起きやすい場所は、高値から1/3下げた所、次が半値戻しレベルだ。
5、トレンドラインを引いてみよう。上昇するトレンドラインは、切り上がる安値を結び、下降するトレンドラインは右下がりの高値を結ぶことで引ける。単純な方法だが、これで銘柄のトレンドが明確になる。
6、移動平均線を利用しよう。トレンドの転換は、二本の移動平均線を入れることで確かめることができる。4日と9日移動平均線、9日と18日移動平均線、それに5日と20日移動平均線が人気のある組み合わせだ。株価が横ばいの時は、移動平均線が役に立たないことを覚えておきたい。
7、ストキャスティクスなどのオシレーターも使ってみよう。株にトレンドが無い時は、移動平均線が当てにならないことを上記したが、こんな状況で力を発揮するのがオシレーターだ。ストキャスティクスが80以上なら株は買われすぎ、20以下なら売られすぎを示す。
8、トレンドが明確な時は移動平均線、そして横ばいの時はオシレーターを利用することを説明したが、この使い分け方はADXをチャートに表示させることで明瞭になる。ADXが上昇中なら移動平均線、下降中ならオシレーターが適した環境だ。
9、オシレーターや移動平均線の他にも、出来高の分析を忘れないようにしよう。出来高は、投資者のマーケット参加状態を表す重要な指標だ。新高値が記録されても出来高が平均以下なら、その銘柄が更に大きく上昇することはない。膨大な出来高で安値更新なら、それは売りのクライマックスになる可能性がある。もちろん、連休直前などは出来高は極端に減るから、全ての出来高を同様に扱ってはいけない。