「花火を期待してはいけません」、と語るのはチャールズ・シュワブでチーフ・インベストメント・ストラテジストを務める、リズ・アン・ソンダース氏だ。退屈な2006年度の米国株式市場を予想する氏は、新興成長市場、日本、大型成長株、そしてヘルスケアへの投資を勧めている。
なぜ方向性の無い、横ばい市場が予想されるのだろうか。ソンダース氏はこう説明する。「上昇マーケットが継続する可能性もありますが、平均以上の伸びを展開するのは難しい状況です。最近の強い経済指数を検討すると、具体的にいつ連銀が金利引き上げを終了させるかが予測できません。これでは投資者が積極的に買うことは無理です。」
オイル、ガソリンなどのエネルギーセクターを推すのは、オーク・アソシエーツのエド・ヤーデニ氏だ。「2006年度に大きな心配材料はありません。インフレ懸念はありますが、実際に米国経済を脅かすことはないでしょう。2006年、米国経済は3.5%増が見込まれ、2%のインフレ率を予想しています。」
どうしてヤーデニ氏は、これほど低いインフレ率が予測できたのだろうか。「鍵は生産性です。過去10年間、アメリカの生産性は年間3%の割合で向上しています。来年も同様な伸びが期待できます。高い生産性はインフレを抑えるだけでなく、企業の利益を上昇させます。もちろん、それは労働者の収入を上げ、更に生活水準を高める結果になるわけです。」
これだけ明るい見方のヤーデニ氏だから、米国株式市場から簡単に8%以上のリターンが望めるという。「グローバル化が急テンポで進む2006年は、引き続きエネルギーセクターが注目です。物資や人が今以上に頻繁に世界を動き回ることになるのですから、ガソリンやオイルの需要が増大します。関連したオイルサービスセクターも伸びることでしょう。」
それでは、2006年の心配材料はなんだろうか。ヤーデニ氏の希望的観測を、地政学的な出来事が台無しにしてしまう可能性がある。ニューヨーク世界貿易センター、ロンドン地下鉄が最近の例だが、テロリストが一時的にマーケットに与える影響を無視することはできない。ハリケーンなどの自然災害も、経済に強烈なダメージを与える。地域的に特に注目したいのは、北朝鮮とイランの核兵器プロジェクトだ。正確な情報を集めて、敏感な投資家を目指したい。