皆がそっちへ行くならこっちへ行こう。あまのじゃく、と言われるかもしれないが、投資者にもそういうタイプの人たちがいる。最近の例を挙げるなら日本株だ。メリルリンチの報告によると、アメリカ人投資者が最も好む海外投資は、日本株専門ミューチュアルファンドだという。もちろん、積極的な日本株買いがアナリストによって勧められていたから、これは当然な結果かもしれない。
あまのじゃく型投資家なら、日本株は買わない。なら何を買うのだろうか。「日本株ではありません、米国株です」、と回答するのは、コラムニストのジム・ジューバック氏だ。アメリカ株?13回連続の金利引き上げで、米国経済を支えてきた住宅市場が冷え込み始めている。来年はバーナンキ氏が連銀議長に就任するが、新議長の一年目は株が低迷する傾向がある。
株選びの名人、と呼ばれるリチャード・バーンスタイン氏(メリルリンチ)は2006年の株式市場について、こんな見方をしている。「株は大した成績を上げることはできないでしょう。一ケタ台、たぶん5%以下になると思います。既に株式市場には、十分すぎる以上の資金が入り、株は上げきったものが目立ちます。こんな状況ですから、配当金を狙った投資が適しています。もう一つの問題は連銀です。連銀には、利上げをストップさせるタイミングが、全く分かっていません。」
デービッド・スコット氏(チェース・インベストメント・カウンセル)も、バーンスタイン氏と似た意見を発表している。「2006年は警戒が必要です。連銀は金利を上げ続けることでしょう。たぶん上げすぎになるはずです。インフレが企業収益に悪影響になり、S&P500指数は5%ほど下げると思われます。景気が低迷ですから、ヘルスケア関連投資を勧めます。」
アメリカ株を推すジューバック氏の要点を説明しよう。海外から膨大な資金が東京市場へ流入しているが、日本の機関投資家は日本株を売ってアメリカへ資金を送っている。これだけ巨大な金が日本から来るのは、1989年以来初めてだ。日本の国債10年物は利回りがたった1.5%だが、米国債なら4.5%ある。日本経済は上向いてきたが成長率は2.4%であり、米国の4.3%に劣っている。また、つらい経済バブルで苦しんだ経験が、アメリカを投資先に選ぶことになる。
しかし、ジューバック氏は一つ大きな警告をしている。日本からの投資は永続的に見込まれるものでなく、その運命は2006年度のドル/円相場にかかっている。「焦点は連銀の金利引き上げ政策です。上げすぎは、米国経済を減速させます。あまりに経済が弱ってしまうと、次は金利の引き下げです。これはドルを下げます。そうなっては、海外からの資金が入ってきません。」はたして、次期連銀議長は、経済を壊さずに適切なところで金利を止めるられるのか?