まだ九日ある。それとも、もう九日しかない、と言うべきだろうか。クリスマスセールが始まった11月25日、別名ブラック・フライデイ、消費者はつかみ合いの喧嘩を起こすほど買い物に荒れ狂った。しかし、売上の良かったのはこの日だけだ。ひょっとしたら、今年のクリスマスセールは思ったほどの伸びが期待できないかもしれない。
まるで消費者は冬眠してしまったようだ、という報道を裏付けるように、アメリカズ・リサーチ・グループの調べによれば、クリスマスショッピングを終えたのは、たった25%の人たちだけだ。特に今年変わっているのが、通常クリスマスの2週間前から売上のジャンプが見られるのだが、今のところ全くその気配が無い。
メリルリンチのアナリスト、マーク・フリードマン氏を引用しよう。「クリスマス直前の2週間は、小売店にとって最も重要な期間です。40%以上の売上は、この2週間に集中するのが普通です。」また、NDPグループのマーシャル・コーエン氏はこう語る。「全く消費者にエンジンがかかりません。こんなに買う気の無い状態が見られたのは、2001年に一度あっただけです。ショッピングセンターに行っても、簡単に駐車する場所が見つかるのですから、明らかに何か変です。」
なぜショッピング熱が上がらないのだろうか。あるアナリストは、我慢比べの比喩を使って説明する。「最初に、まばたきするのはどちらでしょうか。消費者でしょうか、それとも小売店でしょうか。消費者は我慢比べが上手くなりました。今、店に行くべきか、それとも値下げを待つべきか。正に我慢比べの最中です。」
上記したフリードマン氏も、我慢比べ説に賛成する。「クリスマスイブは土曜です。消費者はこの土曜日に、大バーゲンセールが来ることを期待しているようです。」小売店経営者は、さぞイライラしているだろう、と思ったのだが、NDPグループのコーエン氏は、経営者たちに焦りの色はまだ見えないという。
泣いても笑っても残りは九日、最大手のウォルマートは積極的な値下げ作戦を既に発表している。どちらにしても、また今週末がダメなら、小売店はパニックボタンを押すことだろう。少し違った意見だが、物がそう盛大に売れなくても問題はない、と述べるアナリストもいる。「消費者に買う気がないのは、買いたい物がみつからないからです。残りの九日間は、商品券の売上が大きく伸び、これが小売店を救うことでしょう。」たしかにそうだ。へたな物を贈るより、商品券の方が無難かもしれない。