1999年12月、米国株式市場はブルマーケットのピークを迎えていた。「向こう6年間で、最も伸びる可能性がある銘柄はどれだと思いますか?」、と投資者に質問していたら、どんな答えが返ってきただろうか。たぶんインターネットのイーベイ、それにバイオテックのメッドイミューンなどが挙げられたはずだ。
しかし、事実は全く違う。投資コラムニスト、ジョン・マークマン氏の話を聞いてみよう。「実際に計算してみましたが、過去6年間で一番成長したのは、ソーダでお馴染みのハンセン・ナチュラルです。2000年の1月から、何と3739%の上昇です。次が天然ガスのKCSエネルギー、これは3251%増です。そして3位は+3248%のIRISインターナショナルです。IRISは尿検査システム機器を製造する会社です。」
将来を正しく予測することは難しい。たとえば、来年のアメリカ経済はどうなっているだろうか、といった単純な疑問に適切な回答をするために、エコノミストは数多くのデータを集め分析する。失業率、新規雇用者数、耐久財受注、住宅着工件数、新築住宅販売件数、それに貿易収支などを総合して予想するのだから楽な話ではない。
エコノミストは、皆おなじ資料を持っている。それだけに、一味違った決め手になる情報がほしい。そんなものは、そう簡単に入手できない、と思われるかもしれないが、著名エコノミストたちは意外なところからヒントをつかんでいた。さっそく 2、3紹介しよう。
スティーブン・レビット氏(シカゴ大学経済学部教授)
「私の好きな風変わりな経済指標は交通量です。例を挙げましょう。インターネットバブルが弾けた時、シリコン・バレーの交通量は大きく減りました。一般的な解釈方法ですが、経済が好調な時は、ラッシュアワーの交通渋滞が極端にひどくなります。」
ナリマン・ベラベッシ氏(グローバル・インサイト社、チーフ・エコノミスト)
「レストランのウェイター、ウェイトレスのサービス度が、米国雇用状況判断に役立ちます。失業率の低い時は、質の高いウェイトレスを雇うことが難しく、レストランのサービスが悪くなります。逆に失業率が高くなってくると、レストランのサービスは向上する傾向があります。」
デービッド・ブランカキオ氏(経済ジャーナリスト)
「ミシガン州グリーンビルは、斜陽化した工業の町です。一軒の質屋があるのですが、店内に大きなソケットスパナーがおかれているのが外から見えました。この工具を使って生計を立てていた誰かが、質に入れたのです。職、仕事、これが経済を支える基盤です。古臭い言い方ですが、近所の人たちが失業中ならアメリカは不景気です。もしあなたが失業中なら、それは大恐慌です。」